LINE公式アカウントを接客ソリューションとして活用。ユーザーのモチベーションを高めてコンバージョンにつなげる。
Cookie規制が進むことで、デジタル広告では、リターゲティング広告と効果データの計測に大きな影響が出るといわれています。
コンバージョンにつなげる有効な手段としてリターゲティング広告に頼っていた企業は、早急な転換が求められますし、何も対策をしなければ、なんと80%を超えるデータを取りこぼしてしまう可能性があります。
そこで今回、リターゲティング広告の補完機能として、LINE公式アカウントを活用する施策を推進している坂本 真由子さんにお話を伺いました!
どのような企業で活用されているのでしょうか?成果を出すためのポイントは何なのでしょうか?
リターゲティングの補完機能としてのLINE公式アカウント
─── ずばり、LINE公式アカウントがリターゲティング広告の補完機能を果たすとは、どのような活用方法でしょうか?
坂本:検索エンジンや広告からLPに訪問して離脱しようとしたユーザーに対して、ポップアップを表示させ、LINE公式アカウントへ誘導します。そのあと、ユーザーのモチベーションを上げていくような施策を講じてコンバージョンへ結びつけていくというやり方です。
リターゲティング広告と同様に、LPから離脱したユーザーにアプローチが可能です。
─── 具体的な活用例を教えてください!
坂本:例えばスポーツジムの場合、LPを離脱しようとしたときに「運動タイプ診断」というポップアップを表示させ、LINE公式アカウントへ誘導します。ユーザーに「友だち登録をしてみようかな」と思わせる訴求を載せるのがポイントで、診断系コンテンツも多いです。
LINEに流入したあとは、アンケートを実施するのが王道です。アンケートでユーザーの情報やニーズを引き出し、回答結果によって結果表示を出し分けています。見せる情報を回答によってカスタマイズすることでユーザーの興味を喚起し、モチベーションを上げることができます。
そして、友だち追加から一定の時間が経ったあとに、コンバージョンに誘導するメッセージを配信します。
ユーザーのモチベーションを高める活用事例
あらゆる業種業態で活用できる
─── イメージが湧いてきました!では、実際にどのような業種業態で活用されているのでしょうか?
坂本:あらゆる業種業態の企業で実施されています。デジタル広告を配信している企業さまであれば、リターゲティング広告の補完として活用するといいと思います。
目的別にアカウントをわけてセグメント配信
─── 本当に幅広いですね。それぞれの課題にあわせて活用できそうです!
坂本:目的ごとにアカウントをわけて複数運用している場合もあります。
例えば、新規ユーザー向けのアカウントでは診断コンテンツを配信し、既存ユーザー向けのアカウントでは新着情報やキャンペーン情報を配信するなどです。
─── 新規ユーザーと既存ユーザー、目的別に分けて運用するんですね。おもしろい使い方です!
坂本:新規ユーザーに診断をしてもらい、モチベーションを高め、初回購入(コンバージョン)に結びつけます。
例えばそのあと、LINE通知メッセージの施策を掛け合わせることもできるかもしれません。
初回購入完了とともに、LINE通知メッセージを既存ユーザー向けのアカウントに届くようにし、友だち追加を促します。そのあとは既存ユーザー向けアカウントで、定期購入や他商品の購入(アップセルやクロスセル)へとつながるよう設計するイメージです。
─── LINE通知メッセージの施策との掛け合わせで、さらに顧客体験を高めることができそうです。ほかにも、アカウントを使い分けるメリットはありますか?
坂本:LINE公式アカウントは、6月から料金改定があり、各プランの無料メッセージ配信数が変更されました。
LINE公式アカウントはアカウントごとに無料配信数が設定されているため、複数アカウントを持つことで無料で送れるメッセージが増えることになります。
友だち全員ではなく、既存ユーザー向けのアカウントを別で作ってメッセージを配信することは、コスト対策にもつながります。
ストック型施策であることを踏まえ、中長期計画を策定
友だちは資産。ストック型の施策
─── では、本施策でどのように成果を出していくのか、教えてください!
坂本:最初から結果が出るとは限りません。まずは友だちを増やすことを優先します。中長期的にコンバージョンを得て成果を出すために、LINE公式アカウントを育てていきます。
3か月、6か月と時間をおいて、友だちが増えてきてからだんだんと成果が出るようになってくると思います。しかし、時間をおいても友だちが集まらないケースは見直しが必要です。
─── 友だちが集まらないときは、どのような原因が考えられますか?
坂本:ポップアップを表示させるページを絞りすぎていたり、ポップアップの発動条件をかなり厳しくしていたりすることがありますね。ポップアップが表示される回数が少なければ、友だち追加数も少なくなってしまっています。
─── ユーザー視点で考えると、ポップアップは「邪魔くさい」という印象をもってしまいそうです。
坂本:たしかに、お客さまから「あまりポップアップを表示させたくない」といったお声をいただくことがあります。
ですが例えば、発動条件を、一度ページを閉じたら60分間は表示しないとか、無操作の時間が一定過ぎてから表示させるなど、工夫次第でユーザーの利便性を落とさないようにすることができます。
また、どうしてもポップアップを表示させたくないという場合には、固定のバナーを設置したり、メルマガに友だち追加のURLを入れたりする方法をおすすめします。
─── 友だちが増えてきたら、次はコンバージョンを増やすための施策でしょうか?
坂本:そうですね。シナリオ(配信設計)の改修をしたり、ユーザーに追加の情報を自動で送り、興味をもってもらう「ステップ配信」をしたりして、獲得率(CVR)を改善していきます。
─── シナリオの改修は、どのような視点で行なうことが必要でしょうか?
坂本:ポップアップの表示率やクリック率、友だちの追加率、アンケートの完了率、獲得率(CVR)、などの指標を定期的にチェックして特に課題となっている部分から優先的に改修します。
─── 獲得率が上がってくると、ある程度「型」ができあがってくると思います。次はどのような施策を行なうとよいでしょうか?
坂本:次は、さらにコンバージョンを増やしていくために、友だちを増やす施策を実施します。例えば、LINEの友だち追加広告(CPF)を実施するのも一つですね。
─── なるほど。最初の3か月で、コンバージョンが増えないからといってやめてしまうのは本当にもったいないですね。
坂本:広告と違って、本施策で集めるLINE友だちは「資産」になります。すぐに結果が出るものではありませんが、中長期的に必ず成果につながります。
LINE広告との併用でコンバージョン数が2倍に
─── 実際に社内ではどのような成果事例がありますか?
坂本:LINE広告のリターゲティング配信と併用して本施策を行なったところ、コンバージョン数がおよそ2倍に増加した事例があります。
アンケートでデータを取得し、セグメント配信をしたことで売上高6.7倍
─── コンバージョン数は2倍、獲得率もかなり上昇しているんですね!ほかの事例も教えてください!
坂本:アンケートでデータを取得し、ユーザーのニーズに応じたメッセージを配信したことで、売上高が6.7倍まで伸長した事例があります。
アンケート回答後にはクーポンを発行し、ユーザーのモチベーションを高め、コンバージョンへと結びつけることができました。
検討初期段階のユーザーにアプローチする接客施策
ライトな情報をフックにして興味を喚起
─── LINE公式アカウントを活用して新規ユーザーのモチベーションを上げていく本施策ですが、新規ユーザーというと、どのようなフェーズのユーザーを指すのでしょうか?また、どのような訴求をしていくといいのでしょうか?
坂本:まだ検討初期段階のユーザーを指します。ニーズが明確になっておらず、どのような軸で比較検討をしたらいいのかもわかっていません。
そういったユーザーには、「その情報だったら知りたい」と思ってもらえるような、商品やサービスに直接関係のないライトな情報をフックに、LINE公式アカウントに誘導します。診断が王道ですね。
友だちになってもらったあとは、LINE上で情報を重ねて届け、モチベーションを上げていきます。
LINE公式アカウントを単なるメッセージ配信ツールとして使うのではなく、接客ツールとして活用するイメージです。
─── なるほど。検索エンジンや広告経由でコンバージョンするような、既に検討段階にあるユーザーとは、違うフェーズにいて重なることはなさそうですね!
友だち追加後、6日間が勝負
─── 検討初期段階のユーザーに情報を届けていくわけですが、早く届けることも重要になってきそうです。
坂本:そうですね。友だち追加後、6日間が勝負です。
LINE社の調査によると、友だち追加から6日以内がメッセージのクリック率が最も高いそうです。友だち追加をして熱が冷めないうちに、追加の情報を届けることが大切ですね。
ソウルドアウトは、デジマ施策の全体設計をサポート
─── では最後に、読者へのメッセージをお願いします!
坂本:私たちソウルドアウトでは、LINE公式アカウントのサポートだけではなく、お客さまのデジタルプロモーション全体の効率や最適化を目指します。本施策の成果や効率だけを見ているわけではありません。核となる原因を突き止め、すばやいPDCAを回していきます!
ご興味のある方は、お気軽にご相談ください!
編集後記
広告での短期施策ももちろん重要ですが、中長期的に資産となり得る施策もおろそかにしてはいけません。単なるメッセージ配信ツールではなく、接客ソリューションとしてのLINE公式アカウントの魅力が伝われば嬉しいです。
【インタビュー・執筆・編集:みやたけ(@udon_miyatake)】
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