新型うつの特徴|社会に出る自信がなく不安に押しつぶされている

新型うつ=思春期心性ということは、新型うつの回復は、憂うつを自分に引き受けて、抑うつを生き始めるということでしょうか?

新型うつ病とは、従来のうつ病とは違って、会社にいるときは死んだような虚ろな目をしているが、家に帰ると遊び着に着替えて活き活きしている、そんな状態に対して用いられます。ある所では病気、ある所では元気です。

これらはうつという名をかりてはいますが、本態は「なんちゃってうつ」です。うつではないのですね。ただ社会に出ることが怖くてしかたのない状態です。ですから思春期心性なんです。思春期は社会に出る直前の時期ですから。

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■社会に出る不安(重圧)

高校生や大学生になってくると、だんだんと社会を意識せざるを得なくなります。その意識が強くなりすぎると、早く家に帰って引きこもっていたいと思うようにもなります。外にいると涙も出てきたり、自分のやることなすことすべてに、自信を失います。

思春期はただでさえ敏感な時期。いったん周囲への意識が強くなりすぎると、そこから戻ってくる(自分の中で落ち着ける)までにグルグルと同じことを考えだし、それ以外のことが考えられなくなります。分かっているけれどやめられないという強迫的な思考に乗っ取られます。憑りつかれる感じです。つらい時期です。

思考が感情を押さえつけて、出したい感情も封じこまれます。だから、自分の感情に気づくのが数日後ということもあります。時間差でないと感情を感じないわけなので、今を生きている実感がしません。ただただ焦って、不安で、涙が出て…、そんな繰り返しの毎日を経験します。自分が何でこうなったかも分からなくなります。自分の存在価値など微塵も感じることができません。

敏感になっているので新しい環境などは最悪です。皆と同じようにやらないといけないと思って、頑張って友だちを作ったりバイトに出たりします。新しいことに果敢に挑戦しようとします。けれどすべてがストレスになって襲ってきます。色々とうまくいかないことが重なって、やれることはなくなっていって追い込まれ、もっとも簡単なストレス解消の方法、過食に走る人もいます。

「社会に出る」ストレスというのは、これほどまでに重圧なのです。200%しんどいです。その重圧の中、不安だけが広がっていき、途方にくれて泣き暮らす。

これが思春期の後期にやってくる不安ですが、思春期心性の人々も似たような不安を抱えています。「早く家に帰りたい」病とも言えるでしょう。
Simon & Garfunkel - Homeward Bound (from The Concert in Central Park)

こんなストレスがかかりづつけるので、遺伝的に統合失調症の素因のある人にとっては、この成人になる時期は危険です。発症のきっかけにもなったりします。

◇五月病も「思春期+新しい環境」が原因

ラジオでは五月病も、今回の新型うつと同じツールを持っているという話をしています。思春期の人が、学校や会社で新しい環境に置かれて四月に頑張りすぎると、そのストレスによって、ゴールデンウィークの休日をはさんで、急にやる気がなくなってしまいます。

■社会に出ることが不安な方へ

思春期あるいは思春期心性ゆえ、社会に出ることが怖くなるというお話でした。ではどうすれば社会へ出ていけるのか?

  • 社会に出ないという選択肢をとる

これもひとつですが、それでも社会に出たい場合は、

  • 思春期あるいは思春期心性の時期を生き切ることです。

自分の感情の一つ一つを大切に、自分の感情をウォッチしながら、自分の人生を整理していくことです。

これを1人でやるのは大変なので、カウンセラーの手を借りるのもいいでしょう。時間はかかりますが、そうやって思春期を突破していけるといいですね。

■新型うつから「本当のうつ」へ

新型うつは思春期心性でした。ですから、自分が自分の憂うつを引き受けられるようになると、新型うつから本当のうつになります。そこまでくれば、成人期のうつの治療に乗れるでしょう。

本当のうつ病」って、高橋和巳先生の本にもありましたね。あれが一般的な成人期のうつです。成人期心性のうつが、本当のうつです。

ただ、思春期心性を成人期までもってくることが大変な作業です。新型うつの治療というよりも、その人の人生観全体の構造を変えていく作業だからです。

例えていうと、東京タワーの展望台をちょっと改修すれば済むという話ではなく、東京スカイツリーを建築するというスケールの話になります。

■まとめ

  • 新型うつ病は思春期あるいは思春期心性の人に特徴的な「なんちゃって」うつ病です。

  • 社会にでる重圧が背景にあります。

  • 社会に出ない選択肢を取るか、思春期を生き切ることです。後者の場合、カウンセラーと進めましょう。

◇ラジオおやすみカフェ:今宵のメニューは…百万遍の近くの京大の東側にあったアパートの一室を借りたジャズ喫茶

■他の助けを求めるのもいいでしょう

もし、社会に出ることがうまく行かない場合は、臨床心理士などの心理の専門家にアドバイスを求めるとよいでしょう。時間はかかるかもしれませんが、あなたのカウンセリングがうまくいきますように。

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