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DAY8:使われている音楽が好きな作品〜音楽劇『ロードエルメロイⅡ世の事件簿』〜

 絶対音感もないし、音楽の素養もないに等しいが、それなりに“耳がいい”という自覚はある。

 とは言えど、舞台で使用される音楽は、彼らがメインになるジャンル(ミュージカル、クラシックバレエ、オペラ等)以外は「付属品」だ。作品をよりよくするための手段。

 だから、自分にとって最初から最後まで「音触り」がよく、かつ、音楽がいいなと思った作品を挙げることにした。 


 『ロードエルメロイⅡ世の事件簿』。
 TYPE -MOONが展開する根強い人気を誇る『Fate』シリーズ(『Fate/stay night』)のスピンオフ作品。19世紀のロンドンに近しい世界を舞台に繰り広げられる不可思議な事件を、エルメロイ氏と助手のグレイが中心に解決していく(意訳)。

 三田誠氏の緻密なストーリー構成と洪水のように注ぎ込まれる知識と、いとうみねじ氏の麗しいキャラクターデザインで人気の本作。
 舞台版は『音楽劇「ロードエルメロイⅡ世の事件簿-case.乖離城アドラ-』(以下、舞台事件簿)と題され上演。主演の松下優也氏をはじめ、演技だけではなく歌唱力が抜群にいい俳優と、アニプレックスがお金をかけた舞台美術と衣装が大変素晴らしい舞台。わたしはサンケイホールブリーゼにて観劇。

 (ここまで読んだらお気づきの方もいらっしゃるだろうが、わたしはFateのオタクだ。正確には”だった”だけど。今でも展開されている作品は追える範囲で観たり読んだりはしている。中でも事件簿は世界観から大好き。19世紀のロンドンに似た街並みを見ただけで興奮するし、錬金術や魔術が使われる現実(のような世界)は理想でしかない。作品を一言で表すと「救いのあるミッドサマー」。余談だがFGOは沼だ。気をつけろ!)


 「歌がうまい」と言うのはいろいろと種類があるけれど、舞台事件簿の場合は、どこにも不協和音が存在しないのは、四季か宝塚だけだと思っていたので、とにかく衝撃だった。みなさま、お歌が、うまい。プロだから当然なのかもしれないが、「歌がうまい」は決して当たり前ではない。

 加えて、事件簿はアニメの制作がアニプレックスのため、当然舞台制作にもそちらが関わってくる。アニプレックスは天下のソニー傘下の会社。そこが介入してくるとどうなるか。

 耳に入る「音楽」が良質になるのだよ。

 世界観が中世ヨーロッパイメージというのもあって、モダンクラシック調の音楽が多く、それに役者の声がのると空気が華やかになり、音が彩られる。映画『オペラ座の怪人』の演出に似た感覚。 

 (配信を買って見ていたことをここで思い出す)

 お金をかければそりゃあいいものは作れるし、質もそこそこ保証はされる。けれど素材の扱い方はそこに携わる人によってやはり変わるもの。良質な肉は、調理するシェフの腕で味が左右されるのと同じ。

 舞台事件簿は劇伴のCDを販売してほしいと切に願ったはじめての作品。(四季やブロードウェイミュージカルはサブスクでも聴けるし、最近は2.5次元もあるし、アニメのサントラもサブスクで楽しめる)
 円盤買わないと聴けない、というのは商売上手ということにしてく。自分の中で。

 代わりにアニメのサントラをBGMに、こちらを執筆する。

  音楽がいい、から事件簿はいいぞ。という話に若干すり替わってしまった。許してほしい。本当に面白いの。
 ちなみにアニメのサントラは巨匠・梶浦由記氏。聴くだけでヨーロッパの街並み、これから幕が上がる不穏なミステリーのいずれは知ることになる結末を思って心が弾む。


 作品の知識の有無に関係なく、音楽は楽しめるものだから。シャーロック・ホームズなどお好きな方は、きっと響くものがあるはず。ちょっとした異国気分を味わう手段に、ぜひ。

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