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【オープン社内報#39】クラフト化する社会

こんにちは。株式会社ひらくの染谷拓郎です。

 今週は2回、木曜と日曜に講演会が続きます。木曜日は静岡県牧之原市で公共空間活用に関するもの、日曜日は茨城県常総市で開催している「Joso Collective」のふりかえりの会として、OpenA /公共R不動産の馬場正尊さんをお迎えします。

 人前に出るにあたりいつも心がけているのは、その講演のテーマに関心のある人にとって、なにかひとつその人にとって発見があること。「ああ、面白かった」と思える時間には、たいてい新たな発見があります。そして新たな発見をもたらすには、ふだん自分がいる場所ではないところから輸入・転用することが肝要です。(最近一番面白かったのは、医療業界を改革されている企業の方とディスカッションしたこと。知的好奇心が爆発して、その会社に転職したいと思ったくらい。)

 では「ふだん自分がいる場所ではないところから考える」とはどういうことか、書きながら考えてみたいと思います。

 11月15日、マイクロソフトの年次イベントで「Microsoft copilot」に関するトピックスが発表されました。昨年からAIに関するニュースが続々と出てきていますが、いよいよ、テックに強い層ではない一般の人々でもAI実装サービスを普通に使うときがきたようです。

 こうしたサービスが一般的になると、わかりやすい業務削減として「まるで秘伝のタレのように代々引き継がれてきたエクセルデータの更新」的な作業は、かなりの範囲で人の手を離れ、かつミスも少なくなることでしょう。僕も新入社員のとき、秘伝のタレExcelを引き継いでよくケアレスミスしていて「網目が大きめのザル」という不名誉な称号を得ていました。

 超文系の人たち(あるいは取り残された僕たち)の言い訳として、「いくらAIが発達しても、プロンプトを入力するための”命令力”を身につけるには教養は必須である。だからその教養を得るためのステップで仕事を作れるはずだ」というものがありますよね。それも、実はあまり説得力がないように感じています。現時点では命令力がなければ活用が難しいものも、対話しながらニーズを拾ってくれるようになり、そこからプロンプトが定義されるようになるでしょう。のび太くんがぼんやりしていても、ドラえもんが彼の想いをちゃんと汲み取って提案してくれるように。

 僕は新しい技術を取り入れて無駄な作業を削減することは大賛成ですし、ドラえもんが実装されることも楽しみです。でも仕事をつくる側としては、それでもまだ残されるフロンティアがどこかを探さなくてはいけません。そこで、ひらくのビジョンとして掲げた「場と機会をつくり、うれしい時間を提供する」が、これから求められる価値観に当てはまってくるように感じています。どういうことか、少し切り口を変えます。

 近年、クラフトビールが一般化してきましたが、他にも、クラフトサケ、クラフトコーラ、クラフトチョコレートなど、さまざまなものがクラフト化しています。僕は、クラフト~~を、「大量につくり大量に売るという薄利多売を前提としたビジネスとは別の軸をつくること。地域に根差し、商圏を広げすぎず、ファンコミュニティをベースとしたブランドを持つこと」という理解をしています。出版においても、「クラフトプレス」という言い方で小部数で流通させる本づくりをしている人もいますよね。

 最大公約数を見つけにいくのではなく、特定の人に対して強く訴求する(かつクローズドではなくひらかれている)ものを提供すること。それは、ウェルビーイングにおける「主観的な幸せを感じる時間が持続することを大切にする」にも接続する考え方だと思います。

 今後、「クラフトコミュニティ」「クラフト時間」的な価値観もより強調され、全国横並びの施策ではなくその土地に住む人のことを本当に考え実践している「クラフト自治体」に住みたいという人も増えていくはずです。

 つまり、「ベースアップ」を前提に成長してきた社会が、AIが成熟することで「チューンナップ」に力を注げるようになった結果、よりそれぞれが「クラフト化」していくということです。n化とかスケールを求めるのはベースアップの考え方でしたが、今後はより個別最適(あるいは個別最高)を目指すチューンナップサービスが増えていくことでしょう。

 僕は、このあたりにやれること、できることが残されている気がしています。3年後には当たり前になっている社会を見越して、いまからプロジェクトを仕込んでいかなければいけません。

 ということで、今朝僕が考えた「ふだん自分がいる場所ではないところから考える」で出てきたのは「クラフト化する社会」というワードでした。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。今日もがんばりましょう。

染谷

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今週の「うれしい」
週末、子ども会のお祭りで大判焼きの販売係を担当しました。声かけの方法をいくつか試しながら、どうしたらより売れるかを考えながらやるのが楽しかったです。結果、「いまなら焼き立てをすぐご用意できますよ」が最強ワードでした。

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