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「ユーザーを褒めるデザイン」について分析してみた

こんにちは。SOMPO Digital Lab プロダクトデザイナーの林です🙆‍♀️ 皆さんは、「サービスを利用していたら、不意に自分を褒めてくれてちょっと嬉しくなった」という体験はありませんか?私は最近言語学習アプリを日々の日課にしているのですが、アプリの中でキャラクターが自分を褒めてくれるのが、継続の大きなモチベーションになっています。そこで、今回は「ユーザーを褒めるデザイン」に注目し、それがサービスにどのような効果をもたらすのかについて記事を書いてみようと思います!

世の中のサービスからユーザーを褒めるデザインを収集したところ、褒めのタイミングや内容によって下記の6パターンに分類することができました。
以下では、各パターンの共通点や傾向の分析をシェアできればと思います。


【01】 初めてのアクションをユーザーが行った時

測定や記録など、ユーザーがサービス内で重要なアクションを初めて行ったタイミングで、褒める演出が挿入されます。


【👀具体的な参考例・傾向】

👉 丁重に褒める、大袈裟に褒める(すごく〜、記念すべき〜)
サービスから褒められる貴重なコミュニケーション機会に、インパクトに残るような演出を施すことで、ユーザーはサービスに好印象を抱きやすくなります。

参照元:Upmind/ SUNTORY+ / みんチャレ / Spotify

👉 紙吹雪やクラッカー・旗のように記念日をお祝いしたり盛り上げるようなクリエイティブを用いる
初めてのアクションにイベント感を演出し、ユーザーのわくわくした感情を引き出すことができます。

 参照元:Wantedly

👉 その他の気づき
 モーダルや半モーダルを利用していることが多い
・次のアクションへの導線がわかりやすい
初めてのアクションはサービスのゴールではなく入口のため、ユーザーがスムーズに次のアクションに進めるよう、次のアクションへの導線を明示するなどフローを妨げない工夫がされています。

参照元:Wallet / Twitter / CARADA

(参考として挙げさせていただいているアプリ開発の裏側も面白いのでオススメです🙏)


【02】 タスクを消化した時

学習アプリやトレーニングアプリなどのユーザーに対して日常的にタスクを課すサービスにおいては、1つのタスクが完了したタイミングで、その達成感を盛り上げるような演出が挿入されます。


【👀具体的な参考例・傾向】

👉 「ランクアップ」「お疲れ様」などシンプルな言葉で褒める
日常的に目にする画面のため、過剰な褒め言葉はユーザーにくどさを感じさせてしまいます。

参照元:SUNTORY+ / CASH / mikan / AppleWatch
(画像:https://eigomonogatari.com/mikan-review/)

👉 サービスのキャラクターを登場させる
特徴をもったキャラクターを登場させることでサービスが擬人化され、褒められる行為や応援される行為をよりリアルに感じることができます。

参照元:Walken / Duolingo / mikan

👉 何を達成したのかを具体的に記載する
何を褒められているのかをユーザーに正しく認識してもらうことで、アクションの再現性を高めることができます。

参照元:Slack
(余談ですが、Slackのこのページはこんなにもデザインパターンがあることをご存知ですか?)


【03】 アクションをユーザーが継続して実行した時

ユーザーがサービスを連続・複数回利用している場合に、「ログイン連続◎日目!」「今日も来てくれたんですね!」のように継続利用について褒めるパターンです。


【👀具体的な参考例・傾向】

👉 「合計◎日目」など、積み重なった時間を数字で表わす
継続できている期間を数字で表すことで、サービスにかけてきたコストを実感させ、継続意欲を煽ります。

参照元:Duolingo / muute

👉 他のユーザーとの違いを明確にする
獲得したバッジ数やランキングによって現在のステータスを明確にし、ユーザーのやる気を高めます。

参照元:SUNTORY+ / note / GoogleMaps
(画像:https://freesim.tokyo/3080/)

👉 意図しないタイミングで褒める
ログインした直後やタスク消化の後など、意外なタイミングで褒められると嬉しさが増します。

【04】 他ユーザーから評価された時

アクションに対する他ユーザーからの評価が、サービスを通してユーザーにフィードバックされます。


【👀具体的な参考例・傾向】

👉 他ユーザーからのアクションをフィードバック
実際に存在している他ユーザーからのフィードバックを取り入れることで、よりリアルに自分が評価されているという実感を抱かせることができます。

参照元:GoogleMaps / note / SUZURI


【05】 目標を達成したとき

設定された目標に到達した場合に、お祝いの画面が挿入され、ユーザーの気分を盛り上げてくれます。


【👀具体的な参考例・傾向】

👉 各サービスの個性を強く反映し、スクリーンショットしてシェアしたくなるような演出をする
👉 自動では消えず「閉じる」や「次へ」を押すまで表示される仕様
オリジナリティの強い画面でインパクトを与えるだけでなく、閉じるボタンをタップするまでは画面が消えない設計にすることで、体験のピークをしっかりとユーザーに印象づけ、サービス全体に対して好印象を抱いてもらうことができます。

参照元:TSUMTSUM / Duolingo / AppleWatch
(画像:https://getnews.jp/archives/2917109)


【06】 記念日のとき

誕生日やサービスの利用開始1年など、イベントをユーザーと一緒に祝福してくれます。

参照元:りそなグループ / Twitter
(画像:https://uragawa.work/media/4373/)

(参考例に挙げさせていただいた『りそなグループアプリ』の事例を読むとより工夫の背景への理解が深まりそうです🙏)


まとめ:ユーザーを褒めるメリットとは

ここまで読んで頂きありがとうございます。今回の分析で、様々なサービスで「ユーザーを褒めるデザイン」が使われていることがわかりました。
では、ユーザーを褒めることでサービス側にはどのような効果があるのでしょうか?

💡 利用開始直後の離脱防止
サービスの利用を開始した直後は、ユーザーが最も離脱しやすいと言われています。まだサービスの利用に不慣れで使い方への理解度が浅いときに、サービス側からアクションを褒めてもらうと、ユーザーは自分の操作が間違っていないことに安堵するとともに、次のアクションに対してやる気を持って進むことができます。

https://andrewchen.com/new-data-shows-why-losing-80-of-your-mobile-users-is-normal-and-that-the-best-apps-do-much-better/

💡 リテンションの向上・継続ユーザーの育成
やらなくてはならないタスクは煩わしく、避けたくなるものです。しかし、達成した時に好意的なフィードバックを繰り返されることでユーザーがモチベーションをキープしたままサービスを利用することができます。他ユーザーから好意的な評価が得られているというフィードバックも、サービスの利用を継続するモチベーションになります。

💡 サービスへの愛着
目標達成や記念日などのイベントをユーザーと共有する体験は、サービスとユーザーの距離感を近づけ、より親密な関係を構築するのに役立ちます。

推測されるものを上記にまとめてみました。日常的に使用してもらいたいサービスであるほど、ユーザーとの信頼関係はとても大切ですよね。事例の中にも含まれていますが、個人的にはSlackのサービスの個性が十分に生かされたニクい褒め演出についつい心が躍りがちです。今回の記事が、皆さんがサービス設計を考える際の参考になれば幸いです🙏