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良いUXとは?新人デザイナーが共通点を事例から探ってみた

こんにちは。SOMPO Digital Lab サービスデザイナーの和嶋です。私はジュニアサービスデザイナーとして今年SOMPOに入社し、UXデザインについてはまだまだ勉強中の身です。

先日チームで良いUXと悪いUXの事例をリスト化する機会があり、メンバーの好みが現れているものから世間で広く認知されているものまで様々なサービスやプロダクトが挙げられました。自分が気に入っているものに共感してもらったり、私もメンバーが紹介してくれた事例に共感できるものがありとても面白かったです。

その時に、多くの人が良いと思っている理由は意外と言語化されていないのでは?と思いました。

そこで、普段利用しているメジャーなサービスで私自身がGOODだと思っているポイントや、メンバーのおすすめサービスのうち今回私が初めて体験してみてGOODだと思ったポイントを明確にし、それらの共通点を探ることで新たな学びを得たので、みなさんに共有したいと思います!


小売

【1】 Amazon.com(アメリカ)の返品システム

https://la-life.info/amazon-retern

言わずと知れた世界最大級の通販サイト。「送料無料」や「置き配」といった顧客ニーズに応えるサービスを先駆けて展開。

1. どんなものでも返品可能
アメリカ訪問時によく利用していたが、日本では返品を断られるような顧客都合の使用済み製品(食品もOK!)をパッケージがなくても返品・交換でき、大変ハードルが低くて驚いた。

2. 再利用を想定した外装
返品時に外装袋が再利用できるつくりになっており、「SAVE THIS REUSABLE BAG FOR RETURNS 」(この再利用可能なパッケージを返品時に使ってください)と書かれていて、返品・交換を受け付ける意思を感じる点が良い。

3. どこでも簡単に返品できる
実店舗を持つスーパーや現地配送業者(UPS)と連携して返品サービスを展開しており、なにかの予定ついでに商品だけ持っていけば梱包作業や伝票を作成せず返品ができる。


【2】 LOCONDO

返品・サイズ交換ができる、服・靴のファッション通販サービス。2011年に開始してからの1年間で登録会員数は10万人を超え、サイト訪問者数は月に100万を達成した。

https://www.locondo.jp/shop/

1. 気兼ねなく返品でき購入の心理的ハードルが下がる
私はこれまでパンプスが足の形に合わないことが多く、オンラインで靴を買うことに抵抗があった。このサービスを利用するようになって、家で好きなだけ試着して合わなければ返品させてもらい、お気に入りの1足を探すことができるようになった。

2. 靴探しが楽しくなる
リアル店舗で靴を探す時はブランド別にショップを回らないといけなかったが、LOCONDOは取り扱いブランドが豊富で、沢山ある選択肢の中から移動の労力をかけずに探せる。

3. 配送の柔軟さ
配送日数がかかるがその分送料が安くなる「急ぎません便」や、割増で遅くまで配送してもらえる当日配送、提携店舗での受け取りなど様々な配送オプションがあり、あらゆる都合に対応してもらえて便利。


健康・スポーツ

【3】 LINEドクター

スマホ・ケータイ所有者のうち83.7%が利用する「LINE」上で予約から診療、決済を完結できるオンライン診療サービス。

https://doctor.line.me/user

1. 移動しなくて良い
常時服用する薬が多いせいで、週末、疲れきっているにも関わらず、病院と薬局には何としても行かなければならない。そんなしんどい時にこのサービスを利用して、「病院・薬局に行かずに済む」ありがたみを痛感した。加えて、移動や外出準備の手間が省けることも相当な価値だと思う。

2. 待ち時間の削減
通常の通院だと、病院と薬局それぞれで受付/会計時の待ち時間によるストレスを感じるが、それらがオンライン化されることで通院において発生するあらゆる待ち時間が削減された。

3. ニーズから絞り込める
オンラインサービスの多くは診療科目から探すことが多いが、このサービスは「何の薬が欲しいか?」というニーズから検索ができるので何科にかかれば良いかわからないユーザーに対応していて新しい切り口だと感じた。


【4】 あすけん

食事内容、運動量、体の状態を記録し、アプリ上でAI栄養士のアドバイスが受けられるダイエットサポートサービス。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000078.000058653.html

1. 改善点とネクストアクションがわかる
好き嫌いが多く、栄養バランスを意識するために使い始めたが、AI栄養士に「摂取カロリーは問題ないが塩分や脂質が多い」ことを指摘されて食事の傾向を掴むことができた。加えて具体的な改善点のアドバイスももらえるので、料理をする時に調味料を減らしたり、購入するお肉の種類を脂質が少ないものに変えるようになった。

2. 記録を続けやすい
私はレコーディング系のサービスはいつも記録が面倒で続かないのだが、写真の自動認識やMYレシピ登録、バーコードスキャンなどで簡単に記録できるので無理なく記録を続けられていると感じる。

3. 応援サポーターがいる感覚
女性栄養士を模したキャラクターからのコメントや定期的なメールでの呼びかけ機能によって、サポーターからリマインドされているような感覚になって「記録しなきゃ!」という気持ちになる。


交通・輸送

【5】 クロネコメンバーズ

クロネコヤマトでおなじみのヤマト運輸が提供する、荷物のお問い合わせ、集荷・再配達受付をより便利にできる個人向け会員サービス。

https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/campaign/app2015/lp_001.html

1. オンラインで完結できる
よく荷物を送るため集荷依頼や伝票作成をすることが多く、同じ発送先に送る際に同じ情報を何度も入力するといった手間がストレスになっていた。このサービスでは送り状作成〜配送料の支払いまでアプリ上で完結し、発送履歴からの再度発送の申し込みや宛先登録ができるため発送がとても楽になったと感じる。

2. 荷物のリマインド
メンバー登録することで配送予定が事前にLINEや専用アプリから通知され、注文したことを忘れているもののリマインドにもなっている。

3. お互いにメリットがある
事前の配送通知で自分が不在のタイミングを避けて配送依頼ができるので、再配達の罪悪感がなくなった。これは顧客視点で配送の体験を改善した結果だと思うが、ドライバー側の負担軽減や効率化に繋がるというWin-Winの好循環が生まれていると感じた。


【6】 Uber(アメリカ)

日本ではUber Eatsでその名が知れたUberが展開する「ライドシェアサービス」。目的地へ移動したいユーザーと自分の車を使ってお金を稼ぎたいドライバーのマッチングができる。

https://www.cnet.com/roadshow/news/uber-comfort-electric-ev-ride-hailing-go-get-2022/

1. 移動時の手間を削減
目的地や支払い方法の事前設定・チップ後払い機能によって、これまで移動する瞬間にユーザーが行っていたタスクを移動の前後にずらすことで、急いでいてストレスを感じやすいシーンにおけるユーザー体験の向上につながっている。

2. セキュリティ面で安心感を得られる
私はアメリカで利用した際に治安の面から不安を感じたが、車の特徴(車種やナンバー、ドライバーの顔写真)の掲示やリアルタイムの位置情報表示、ドライバーの評価制度があり安心して利用できた。

3. 移動体験以上の価値
アメリカでは日本に関心を持ってくれているドライバーの人も意外と多く、ドライバーや相乗りした人達との会話が弾んだことが印象的で、移動体験向上以上の価値が生まれていると感じた。


飲食

【7】 一蘭

福岡発祥の大手とんこつラーメンチェーン。日本の主要都市に複数展開し、現在は海外への進出も果たしている。

https://ichiran.com/ganso/#counter

1. 個食前提の設計
今回メンバーにおすすめされて初めて行ってみたが、全て仕切られているカウンターや入店から退店まで個食を前提とした流れが設計されており驚いた。人前で食事をするのがあまり得意ではない自分にとって外で食事に集中できたのは新鮮な体験だった。

2. ラーメンを食べる人の気持ちを理解
カウンターには給水機が設置されていて、ラーメンを食べるときに水が沢山飲みたくなる顧客の気持ちをよくわかっていると感じたし、店員さんの手間も省かれていてお互いにメリットがあると思った。

3. コミュニケーションしなくていい
要望を伝える「ご要望カード」なる木札が設置されており、店員さんと会話を一切せずに済むコミュニケーションを突き詰めている。

4. ドライになりすぎない
一方で、ラーメンが出来上がりカウンターに置かれた後にのれんが降りるまで店員さんが奥で深くお辞儀しており、おもてなしの心が感じられる。


【8】 スターバックス

言わずと知れた、世界大手のコーヒーチェーン。2023年時点で、世界83か国に36,634店舗を展開している。

https://www.starbucks.co.jp/company/

1. 程よい親しみやすさ
店員さんの呼びかけが「こんにちは〜」「こんばんは〜」から始まり、カウンター越しのちょっとした会話やカップへのメッセージで程よい距離感と親しみを感じて癒される。先日行った際は飲み物だけ買うつもりだったが、レジで店員さんとの会話が盛り上がっておすすめのスイーツを追加してしまった。

2. 時流に合わせたコミュニケーション
元々は「サードプレイス」として店内での体験を追求しているイメージだったが、コロナ禍の影響もあってか最近はドライブスルーやモバイルオーダーなど店内に留まらない体験が設計されており、顧客との関係構築に柔軟に対応している。

3. 環境への配慮と顧客ニーズの両立
私は紙ストローの肌触りがどうしても苦手だが、プラスチックストローをお願いすると環境に配慮した生分解プラスチックストローをもらえるので罪悪感が和らぐ。


共通して見えたこと

1. ユーザーが迷わない設計
LINEドクターではニーズからの絞り込みによって病院の検索ができること、一蘭の入店〜退店までの導線設計、あすけんのネクストアクションの提示など、機能や使い道の選択肢は多ければ多いほど良いという訳でもなく、ユーザーが迷わずスムーズに一連の利用を完了できることを目指している。

2. ユーザーもサービス提供者も幸せになる
クロネコメンバーズや一蘭など提供者の存在があるサービスは、体験設計の起点は顧客目線だったと思うが、UXを追求した結果として提供者にもメリットが生まれて事業へ良い効果を与えており、お互いが幸せになっている。

3. 既成概念やこれまでのやり方を疑う
LOCONDOやAmazonは「買い手の都合では返品しにくい」というみんなが当たり前に受け入れているネガティブな前提をテクノロジーの活用や他事業者との連携によって解決し、顧客満足を高めている。

4. オペレーション効率とホスピタリティを両立
一蘭やスターバックスのように、仕組み化してオペレーションの効率化を図る一方で、体験の始まりや終わりの部分では人とのコミュニケーションを入れることでおもてなしの心や人間味を感じられる体験が設計されている。

5. ちょっとした手間を削減してハードルを下げる
Uberは移動時、LINEドクターは待ち時間など、テクノロジーの活用によってユーザーのタスクを利用前や後にずらして手間を削減することで、サービス利用でユーザーが一番ストレスを感じやすい瞬間の負荷を軽減させ体験を向上している。


今回言語化してみることで、世間でみんなに良いと言われている理由やその評価に繋がる体験がどのように設計されているのか?を改めて知ることができ、多くの学びがありました。この学びを実際の業務に活かせたらと思います。

ちなみに、昨年もデザインチームで良いサービス・プロダクトの事例を取り上げているのでこちらの記事もぜひご覧ください。


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