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【経営者向け】「採用やめよう」から「スマート経営」へ

はじめに

こんにちは。ランサーズの曽根(@hsonetty)です。

先週に非常事態宣言が解除されてからというもの、世の中の空気感も大きく変わりましたね。街中でも、直近の週末や、まさに本日から営業を再開する飲食店なども増えて、徐々に活気を取り戻しつつあるように感じます。

先日、就活生の皆さんへの会社説明会をオンライン開催したのですが、本日は就活の解禁日でもあります。学生のみなさんは、これまでのブランドネームにこだわりすぎず、「この未曾有の有事にすばやく変化できる企業はどこか」「その変化の中で自身が成長できる環境はどのようなものか」という観点を加えて検討していただくのが良いのではないでしょうか。


さてさて、前回は「従業員体験2.0の世界」というテーマで、おもに人事の視点に立ったときの新しい時代の従業員の体験(Employee Experience)について書かせてもらいましたが、今回は経営者の視点に立った話になります。

今回、経営の観点での少し難しい内容やワードも含んでいるかもしれませんが、ぜひぜひ最後までご笑覧いただけると幸いです!


「採用やめよう」で伝えたかったこと

さかのぼることちょうど1年前の2019年6月1日。ランサーズで「#採用やめよう」というキャンペーンを開始しました。日経新聞であえて逆さまの広告を出したりして、ありがたいことに色々なメディアで話題にしていただき、キャンペーンを通して多くの方にメッセージを届けることができました。

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新卒就活の解禁日にあわせる形でスタートしたうえに、わりと「イキった」感じのメッセージだったので(笑)、ともすると誤解をされやすい表現だったかもしれませんが、伝えたかったことは、「日本の価値観をアップデートしよう」ということでした。 ※詳しくはぜひ↓の記事をご覧ください。

たとえば、「職業=会社員」という考え方。あるいは、「正社員の方がえらい」というなんとなくの偏見。そして、人手が足りないときに「まず正社員を採用」する、という先入観。

そういったもろもろの前提条件を、当たり前と思っている常識を、新時代に向けてアップデートすべき。そんなメッセージをこめて当時、キャンペーンを展開しました。

それからちょうど一年が経過した今、幸か不幸か、期せずして、働き方をとりまく日本の価値観は、大きな変化やアップデートを余儀なくされているといえます。

1年前にこのキャンペーンを展開した当時からずっと考えていることも含めて、日本の企業は、このタイミングで何をアップデートすべきなのか、あらためて整理してみたいと思います。


リモートワークは変化の表層にすぎない

現在、緊急事態宣言があけた状況下、アフターコロナの働き方をめぐって、各社、いろいろな議論をされているのではないかと思います。

特にこの1ヶ月半、在宅・リモートワークを実施した状況を振り返ってみて、リモートワークを継続するべきかどうか、継続する場合はどのように継続するのか、が主要な議論の論点になっているのではないでしょうか。

リモートワークをそのまま継続するもよし。リモートワークとオフィスワークを職種やグレードにあわせて使い分けるもよし。あえて完全出社に戻してみて、リモートワークとの比較をあらためて判断するというのもよし。各社、その判断が今、問われているタイミングだと思います。

たとえばサイバーエージェントは、リモートワークの利点を分析し、9人以上の会議は原則web会議とすること、月曜のみリモートデイとすること、これをまずは6月の一ヶ月間まわしてみること、を決めたそうですね。


もちろん、リモートワークの継続是非は、重要な論点です。でも、ここでひとつお伝えしておきたいのは、リモートワークは、働き方の変化における表層の部分、氷山の一角にすぎないのではないか、ということ。より本質的なパラダイムシフトが今、日本企業に求められているということです。

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すでに多くの人が指摘しているように、リモートワークになると、明確な業務の切り出しや指示出しが必須になりますし、そして時間ベースではなくミッションや成果にもとづく評価が重要になってきます。

そうすると、「人に仕事をつける」「就職ではなく就社」的な考え方を前提とした、日本のこれまでの「メンバーシップ型」雇用の価値観にも変化が生まれるでしょう。

メンバーシップ型にももちろん利点がないわけではないですが、ジョブのフォーマット化やミッション・成果ベースの評価などは、今後、日本企業の生産性を大きくあげていくと思います。

個人的には、日本のこれまでのメンバーシップ型から直線的なジョブ型への移行にはハードルも色々とあると思っていて、メンバーシップ型の良い部分も一定取り入れた「パートナーシップ型」というモデルを提唱しています。

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すべてがいっぺんに急激に変更するとは思いませんが、少なくとも昭和から平成にかけて数十年の間続き、そして「働き方改革」の文脈の中であれだけ喧伝されても早々には変わらなかった根底の価値観が今、ついに溶け始めてきているのだと思っています。


日本の企業は「スマート経営」へシフト

では、そんな変化が起こり始めている中、日本の企業はどうすればよいのか。ランサーズ では、この時代において「スマート経営」へのシフトが必要だ、ということをメッセージとして打ち出しています。

Withコロナのこの1-2カ月のある種強制的な経験をへて、Beforeコロナの状態に戻るのか。経験をふまえた知見をいかして、Afterコロナのニューノーマル(=新しい常識)へと移行するのか。

我々としては、仕事のあり方=働く様式を「スマートワーク」へ、オフィスのあり方=働く環境を「スマートオフィス」へ、チームのあり方=働く仲間を「スマートチーム」へと進化させていきたい。これらを総合した新しい経営のかたちを「スマート経営」と呼んでいます。

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必要に応じて、いつでもどこでも仕事ができる、誰でも必要な情報にアクセスできる、社外人材も活用できる。

これまでは雇用を前提とした社内の人材による、定時・出社を基本としたオフィス勤務を前提としていたけれど、今回、非定時・在宅を基本としたリモート勤務が(セキュアな環境を担保したうえで)半ば強制的に実施された。これによってさらに、社内の人材だけでなく社外の人材も活用した新しい経営がグッと身近になったと思います。

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では次に、「スマート経営」への移行による企業のメリットは何でしょうか?簡単にまとめると、以下のようなものになると思います。

▼スマートワーク:時間と場所の固定観念をとりはらい、自由と責任の両輪をあわせたルールや制度をうまく導入することで、一人ひとりの生産性をあげ、残業代など不要なコストも削減することができます。これまで政府が推進してきた「働き方改革」で本質的に目指すべき姿がここにあります。
▼スマートオフィス:従来のオフィスのセキュアな環境をリモートでも担保できるようになると、これまでの単純な「情報集約機能」としてのオフィスは不要になり、その分の固定的なコストは浮き、また今後の事業継続において必要なリスク分散を行うことができます。
▼スマートチーム:社外の人材を活用することによって、事業環境にあわせた流動的な経営を行うことができます。たとえば新規事業をスタートしたり事業をスケールさせたりするときに、固定的なコストをかけることなく、スピーディにチームを構築し、かつ社内にない知見も得ることができます。

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より一般的な用語に置き換えると、経営の「デジタル化」と「流動化」が圧倒的に進んでいくことだと思います。いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)が進み、変化の激しい事業環境の中で、よりフレキシブルな経営を実現していくことができるようになります。

一方で、上記のようなメリットが実現できると同時に、以下のような疑問や懸念もたくさん出てくるのではないかとと思います。

▼スマートワーク:働く時間と場所のルールをそんなに自由にして、本当に生産性はあがるの?むしろ生産性が下がってしまうのでは?一人ひとりの個人は良いとしても、チームでの生産性はどうなの?
▼スマートオフィス:在宅も良いけど、オフィスの今後の役割はどうなるの?在宅でのセキュリティ環境って本当に大丈夫?オフィスの機能をすべてオンラインやリモートで実現できるの?
▼スマートチーム:社外人材の活用って、情報管理は大丈夫なの?業務委託契約で社員と同様のレベルでコミットしてくれるの?社外人材を活用すると社内にノウハウはたまらなくなってしまうのでは?

これらについては、とても重要な論点になる(かつ長くなる)ので、次回の記事にて、さらに詳細に考えをお伝えしていきたいと思います(ので、しばしお待ちくださいませ!)


まとめ

それでは、今回のまとめです。

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ちょうど1年前に「採用やめよう」のキャンペーンを展開していた時には、まさか1年後に、このような圧倒的な価値観の変化が進む状況になっていようとは、想像もできませんでした。変化はときに、ひとびとの想像をこえて、急激に起こりますね。

もしかすると、もう平時なんて幻想かもしれなくて、「もう、ずっと、有事」と考えたほうがよいのかもしれません。会社が変わる、オフィスが変わる、チームが変わる、メンバーも変わる。特に経営者の皆さんにとっては、ヒリヒリする思考を迫られている毎日ではないかと思います。

次回は、本記事で概要をお伝えした「スマート経営」の具体的な中身となるスマートワーク、スマートオフィス、スマートチームのさらなる詳細について、事例もふまえてご紹介したいと思います!


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