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新たなビジョンで、第三創業期へ。2021年の経営を振り返って。

今年もVPoEの倉林さんのポストではじまったランサーズのAdvent Calendar。メリークリスマスな最終日、トリを務めさせていただきます、ランサーズの曽根です。どうもこんにちは。

今回は、今年のランサーズの経営を振り返りながら、最近メディア向けに実施した事業戦略発表会の中でアナウンスした新ビジョンや新規事業について書いていきたいと思います。

ベンチャーでの事業や経営に興味を持っている人、パーパスってますます大事だよねと思っている人、新規事業をやってみたい・やっている人。そんな人たちにとって、少しでも参考になれば嬉しいかぎりです。


恐れずに勇気をもって「大きな車輪」を回す

思い起こすと昨年末、マザーズに上場してちょうど1年経った振り返りとして、↓のようなnoteを書きました。

当時の振り返りの中で大きかったテーマは、経営の「大きな車輪」を回すということ。足元の事業や組織はもちろん大事だけれど、それらを高速に回すだけでなく、より長期の視野で経営の車輪を回すということ。

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当時、1年前に走らせていた車輪の感覚は、以下のようなものでした。

▼上場すると、3か月ごとにやってくる決算発表のリズムにあわせて、どうしても目線が短期になってしまう
▼拡大していく中で、なかなか事業と組織、現場と経営がかみあわず、どうしても対立構造が生まれてしまう
▼上場企業として、ルールや計画など、守るべきものが多くなった中で、どうしても小さくまとまってしまう


思い起こせば、年が明けた今年の初め。コロナ禍ではありましたが、オフサイトでの経営合宿を行って、あらためて経営メンバーで振り返りを行なった際に、キーワードになったのは「恐れ」と「勇気」でした。

上場後の経営において、「なぜやってしまったのか?」という作為の暴走を防ぐ守りのガバナンスに対して、「なぜやらないのか?」という不作為の暴走を防ぐ攻めのガバナンスが欠けていたように思います。

もう少しひらたくいうと、あれをやってはいけない、これはやらなければいけない、というルールにとらわれすぎて、積極的に大胆に機会をとらえる「勇気」を持つことができていませんでした。

見えない組織の慣性を変える・壊すことに「恐れ」を抱いて、ある意味で縮こまっていた自分たちを奮い立たせて「大きな車輪」を動かしていくために、経営の道しるべとなるような3ヵ年計画を策定し、対外的に発表し、経営として大きく投資をすることを決めました。

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投資をしていく中で、とりわけ開発・プロダクト組織を強化することに注力し、エンジニアの採用をひたすら繰り返し、そして採用活動と平行する形で新規事業や新サービスを続々とリリースすることができました。

おかげさまでエンジニアを中心に多くの仲間が増え、エンジニア組織だけでも社員で50人、フリーランスも含めると100人を超えるチームとなり、サービスとしての開発アウトプットが飛躍的に増えたことは、今年2021年の大きな収穫となりました。


車輪を「なめらかに」回す新たなビジョン

そんな形で、勇気をもって経営の大きな車輪を回し始めた2021年。しかし、動き始めた中で気づいたのは、車輪がなかなかかみ合っていない・軋んでいるな、ということでした。

何がかみあっていないのか。走りながら考え続けて、たどりついたのは2つの仮説でした。

まず一つは、大上段のミッション〜ビジョン〜目標〜戦略〜方針がうまくかみあっていないということでした。

未来へ向けてさまざまな新規事業を構想していく中で、4年前の2017年につくった「テクノロジーで、誰もが自分らしく働ける社会をつくる」というビジョンが、自分たちの事業を制約している状況でした。

「個のエンパワーメント」というそもそものミッションに立ち返ると、上記のビジョンのスコープを超えて、我々としてやりたいこと・やるべきことがたくさんあるよね、と気づいたのです。

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思いおこせば、2017年にビジョンを変えたときも、「時間と場所にとらわれない新しい働き方をつくる」というかつてのビジョンが、ビジネスや事業の展開を制約していました。

時間と場所の自由は、あくまで自分らしく働くことの手段であって、逆に時間や場所をあえて決めて自分らしく働きたい個人やフリーランスはいるよね、という気づきがあったのです。まさにその時と似た状況だな、と。

もう一つ感じていたのは、自分たちでサービスを育てていく中で、クライアント向けの力学と、ランサー向けの力学がうまくかみあっていない、ということでした。

これは、実は私自信が楽天市場でビジネスをしていた時も感じていたことなのですが、マーケットプレイスをつくり、双方向のユーザーに向き合う中で、ビジョンや思想がどちらかに偏ると、どうしても片方のステークホルダーに組織やチームの目線がいきがちになるのです。

ランサーズにとっては、クライアントの案件があって初めてランサーの活躍が可能になるし、同様に、たとえば楽天市場でいうと、ユーザーの購買行動があって初めて店舗さんが商いを行うことが可能になるのです。

経営陣で議論していく中で、『我々の目指す「個のエンパワーメント」でいうところの「個人」って誰なんだっけ?』『ターゲットにしている中小企業でビジネスを前進させている経営者も個人だよね?』『そういう「企業の中の個人」たちもエンパワーメントできるしするべきだよね?』と。

そんな話をしている中で、この車輪のかみあわなさを解消して、車輪を「なめらかに」回すために、ビジョンをアップデートすることを決めました。そして、クライアントとランサーの両方のユーザーへの価値提供を言語化した"Dual Vision"をつくろう、という話にいたりました。

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誰のためにこのビジョンをつくるのか


クライアントとランサーの両方への価値提供を言語化する"Dual vision"をつくると決めた後は、コロナ禍ではありましたが、社内でオフラインでのワークショップを重ねて、ビジョンの文言をブラッシュアップしていきました。

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ちなみに皆さん、ビジョンをつくったことはありますか?

ビジョンって、明確な基準がない中で、つくるのがとても難しいのです。「パーパス経営の時代」なんて言われますが、「乾けない」世代の我々にとって、ビジョンの意義はますます大きくなっています。我々は何のために働くのかがますます問われるようになってきた、ということです。

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議論を進めていく中で、我々が目指したい世界観や届けたい価値について、大枠の方向性はかたまっていったのですが、最後、激論になったのが、実際のビジョンの文言の中で使われるキーとなる用語や文言のトンマナ。

▼使い古されているけど一般的にはわかりやすい用語 vs 社内では使われているけどユニークすぎて一般的にはわかりにくい用語
▼長ったらしくてなかなか覚えにくくい文言のトンマナ vs とても覚えやすくて短くシャープな文言のトンマナ

これらの案をいくつか並べて、最終的に議論になったのは、「このビジョンは、誰のためのビジョンか」ということでした。

ビジョンが最も正しく深く伝わってほしいのは、投資家でも、ユーザーでもなく、誰よりもまずはメンバーです。そして、これからの未来において仲間になってくれる人たちです。

まずは社内の仲間たちがこのビジョンを信じて伝道師になってくれるために、少々とっつきにくくても我々らしいユニークな用語で、少々覚えにくくても誤解を生まないしっかりとした文言でいく、と決めました。

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新規事業で新たなビジョンを「具現」化する

いったんビジョンを文言まで含めてとくに従業員をターゲットにして決めたものの、ビジョンてどうしても抽象度が高いので、いくらその策定プロセスに関わってもらったとしても、そんなに簡単には伝わらないものです。

ビジョンを決めてから、経営合宿でその浸透方法について議論したり、全社集会で折に触れて何度も話したり、コーポレートサイトをフルリニューアルしたり、全社の〆会でユーザーさんを実際に読んで新ビジョンが意味するところを具体的にあぶりだしたりしました。

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とはいえ、ビジョンが新しくなったところで、何が変わったのか、ということをしっくり腹落ちするのは、なかなか難しいものです。

新ビジョンにふさわしい、その世界観を少しでも「具現」しているような、わかりやすい新サービスや新規事業が必要でした。

幸いなことに、自分たち自身で日々ユーザーに向き合い、自分たち自身で自社サービスのドッグフーディングを続けてきた中で、この新ビジョンとあわせて発表するにふさわしい新サービスをいくつかアナウンスすることができました。

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たとえばスライドの一番下にある"Lancers Teams"は、ランサーズでハイヤリングしたランサーさんを中心に、フリーランスや副業やOB/OGを活用して3か月でエンジニア人員を倍にの100人にするという"New Normal"な体験をした中で着想したサービスです。


まるでAWSのEC2のように、いつでもどこでもイシューベースで働いてくれる流動的なエンジニアチーム、つまり「第二開発部」をつくるというユニークなアイデアを具体のサービスに落とし込んだサービスであり、ここからの展開がとても楽しみです。


「崖から飛び降りる」新規事業チームをつくる

これまでたくさん新規事業を立ち上げて、たくさんつぶしてきたりもしましたが、その立ち上げにおいて大事なのは、テクニックやアプローチだけでなく、その事業を立ち上げる意義=パーパスと情熱=パッションをもったチームだな、と最近強く思います。

「事業づくりはチームづくり」とはよく言ったものですが、社内向けにメンバーを募集するワークショップを開催したときに印象的だったことがありました。それは、一緒に新規事業をつくっているリーダーが、Linkedinの創業者であるリード・ホフマンの「スタートアップとは、崖の上から飛び降りながら、飛行機をつくるようなものだ」という言葉を引用していたことです。

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社内スタートアップでもある新規事業は、成功するかどうかなんてわからない。そんな中で、誰でも、崖から飛び降りるなんて怖いし、その中で飛行機をつくるなんて無理ゲーですよね。

そう、スタートアップとか新規事業って、ほぼ無理ゲーなんです。だからこそ、そんな恐れや諦めの感情を吹き飛ばす、飛び越えさせるような、ワクワクできる道しるべや旗印が重要になるんです。

今回新たに発表した「Lancers Digital Academy」は、個人の才能を開花させるべく、最先端のデジタルスキルを体得して、認定バッヂを取得して、仕事も獲得することができる、日本初の仕事連動型のデジタル教育サービス。

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誰もが自分らしく才能を発揮して、「誰かのプロ」になるために。何者でもなかった人が、「何者か」になるために。そういう「誰かのプロ」になっていく人を、私たち自身が自らつくって増やしていくために。

今まさに立上げに向けて準備していますが、新ビジョンの実現に向けた意義を説き続け、情熱をもった創業チームを組成したばかり。爆速で動いている中で、これからサービスをリリースできるのが今から楽しみです。


新たなビジョンと、新たな仲間で、第三創業期へ


あらためて振り返ってみると、大きな車輪を回し始め、車輪を回すエンジンを投下し、車輪が回る仕組みを開発してきたこの一年。

車輪を回す仲間を積極的に増やし、車輪が回る仕組みとしてビジョンも新しくし、そのビジョン×仲間の掛け算で新規事業をいくつもしかけた一年。

ただ、今回リリース・アナウンスした新規事業は、第一弾。まだまだこれから新規事業をたくさん仕込んでいくつもりです。

なぜなら、ビジョンもアップデートし、大きな目標を掲げたから。そして、それを実現していくための仲間も圧倒的に増えたから。

新たなビジョンを掲げて、ランサーズはこれから第三創業期へ突入していきます。

これからさらに大きな車輪を回していくうえで、一緒のバスにのる仲間を、もっと増やしていきたいと思っています。少しでも興味を持ってくれた人は、ぜひお声がけください。いつでもお待ちしております!


あらためて、メリークリスマス。そして、良い2022年を!

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