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臨床工学技士としての私のマインド

私は臨床工学技士(以下MEと記載:medical engineerの略※)という医療資格を持っています。その資格を持ち、どういうマインドを持って医療現場で働いてきたのか、をまとめてみました。

※現在はCE(clinical engineer)と言われることが多いです。



1.機械と患者とスタッフを繋ぐ"架け橋"として

院内(主に病棟)の機械でトラブルがあったら、看護師からMEに連絡が来ます。色々な「現場の困った」に対応しなきゃいけません。そこで

・機械由来のトラブルなのか
・患者由来のトラブルなのか
・ヒューマンエラーなのか

この切り分けが大切になります。つまり、現場でのヒアリングが重要になります。この役割はMEじゃなくても全然良いのですが、私としてはここに、機械と患者とスタッフを繋ぐ架け橋として、MEの存在意義を見出しました。

ちなみに、中には「(ヒューマンエラーって)私達が悪いの?」と突っかかってくる看護師の方も多くいました。怖いですよね。しかしどんな医療従事者も"今起こっているトラブルを解消したい"、その思いは一緒のはず。
本質を見失うことなく、現場の困ったに真摯に向き合うこと。自分の心を守るんじゃなくて、目の前の患者に起こってるトラブルを解消すること。
その心意気があれば、コミュ障の私でも対応できました!


2.大切なのは、機械のトラブルを見抜くことではない

※勿論、機械トラブルを見抜くことは大切です。ですが、それが無くても乗り越えることはできます。

一人の技術力や知識には限界があります。
勿論、当直で呼ばれたときに私が見抜けなかったら、患者に不利益が被るのは事実なので、経験値UPは必須です。ただ、トラブルは私の成長を待ってはくれません。
そんな時は「一人で出来ないなら、皆の力を借りる」このスタンスを私はすごーく大切にして仕事をしてきました。困ったときにどれだけ人を集められるかって話です。怖い先輩含めて……。

私の知ってることと、他のスタッフが知ってることを合わせれば、その時の最善策が出ますからね。


3.後輩との向き合い方 〜どんな職種にも言えること〜

ME現場の全てがそうとは思いませんが「失敗したら怒られる」ことを恐れる人は多いと思います(私もそうなんですけども)。
でもそれって何故だと思いますか?

先輩の指導、本質から外れてる時あるよなー。

と、私は思うのです。自分が働いた所以外にも、様々な施設を見てきましたが、言葉を選ばないで言うなら人格否定の指導、が多いような印象を感じます。

・こんなのも分からないの?
・君、いらない
・やる気ないの?
・勉強してないんじゃない など

おっしゃるように勉強が足りないのも事実です。やる気にムラがあるのも問題だと思います。ですがそれを言って、今目の前にある問題解決しますか?って話。

自分で言うのもアレですが、私はある程度後輩から慕われていたと思っています。先輩に物怖じせず意見を言っていたからもあると思うんですが、一番は後輩への指導方法かなと思います。

誰だろうとも、ミスは許さない

絶対に、許されない。自分の手技一つで人の命が左右される怖さは常に持っていて欲しい。
でも絶対起こると思っています。
そして後輩がミスを起こす理由のひとつとして「経験値不足だから」というものがあると私は思います。
以下にミスをした後輩へ、私がどう指導したかを2つ記載しました。

◆隠蔽体質を減らす
経験値不足の後輩に対する指導として、私が必ず行ってきたものは「少しでも不安になったら、必ず連絡して」と伝えることす。
そして連絡をしてきた後輩には怒りません。だって怒る必要ないじゃないですか。「勉強不足だ」と今ここで言って、目の前の患者に何のメリットがあるんですか?(過去の先輩たちに向けて喧嘩を売る)

ここで新しく知って、
次に一人で自信を持って出来たらそれでよい

その彼らの尻拭いをするのが、先輩である我々ですよ。隠蔽体質はこれで幾分減ったと思います。

◆ミスを今後に繋げるための指導
そして彼らにまずヒアリングすることは「どういう状況だったのか」という客観的な事実です。相手の粗捜しのためではありません。彼らがどのタイミングで間違えたのかを、明確にするために聞きます。

① "ここまでは合っていて、ここから間違っていた"を明確にする
② 正しい知識と、ミスの怖さを教える
③「どうして間違ってしまったのか?」の検証は個々人に任せる

ここで大切なのは、「後輩が勉強不足だから」とか「後輩の医療人としての自覚の無いからだ」とか、そんなの患者にとったらどうでも良いことだと、指導者も自覚することです。

人格を否定しない先輩を、後輩達は慕いますし、「あの先輩みたく知識も経験値も増やしたい」と追いつけ追い越せ勉強をしてくれます。(それが合わない人はここで辞めます。それはそれで良いのです)


【おまけ】わたし、失敗しないので?

上司から「お前はほぼミスしない」と信用を得た私の話を以下にまとめました。

◆私は透明人間/手を出さず、ただ見学するだけ
独り立ち前の私は"先輩のコピーが出来るようになるまで"、先輩の後ろで隠れています。笑 この時の私は「この先輩は一人の時、どういう優先順位で、どういう手の動きで、手技を行うんだろう」という事を意識して見学をしました。
多くの人は、特にバタバタしてる医療現場ですから「自ら力になりたい、動きたい」と思いますよね。しかし私は違います。

いまの私は戦力として居るわけじゃない。言わば存在意義のない透明人間。ならばここで手伝って先輩に自分の存在をアピールするよりも、今後、独り立ち出来るようにするために、棒のように突っ立って見学をする。

(勿論これはケースバイケースだし、先輩の技量にもよります)

将来的に一人で対応することになる。その時のために出来ることを……と考えた結果、私はこのようなスタンスを大切にしています。

◆独り立ちまでの3ステップ
【1回目の見学】全てを見て大雑把にイメージをまとめる。
【2回目の見学】※少し手技の手伝いを指示されるかもしれない。
1回目で大雑把にまとめたイメージが合っているかの確認と、見落としていた先輩の動きを見つけて、イメージの肉厚化をする。
【3回目の見学】※この辺りで独り立ちを言い渡されるだろうけど、不安なら「まだ不安です」と言う。
自分が一人で動いているつもりで、先輩の動きを見学する。

これはあくまで一例です。
最初は私もグズグズな出来損ないでした。環境を一旦リセットし立て直してから、このようなマインドとスタンスを持って、現場と向き合ってきました。
失敗しないので、とまでは言い切れませんが、独り立ちの成功体験は自信に繋がりますし、その自信がさらなる知識取得にも繋がっていきます。もっと知識を増やして、もっと結果を残す、そういうサイクルになっていきます。
結果的に、どんどん現場へ還元できるのです。

以上になります。最後までお読み頂きありがとうございました!


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