見出し画像

十二話 家出計画

どうにも眠れない私は、読書をしようと思った。
とその時、部屋のドアがバーン!と開いた。
「乃亜ーーーーーーーーーーーー!!!」
姉が泣きながら、私の部屋に入って来た。

「私、本当は乃亜の精神病院行きに反対でしたの!」
泣きながらベッドの私に抱きついてくる姉。
一応布団を掛けているから、外着でいることはバレていない筈だ。
そう、家出の準備していることはバレていない…筈だ…。
「両親に毎晩乃亜を施設に入れないでと、頼んでいたんですの!」
勝手に捲したてる姉美亜。
「それでも、お父様もお母様も全然聞く耳を持ってくれませんの!!」
気持ちは嬉しいが、いかんせん顔が近過ぎだ姉よ…。
私に似た姉の切れ長の瞳から、止め処なく透き通った涙が溢れて来ている。
「私のたった一人の妹だもの、私が守ってあげなくてはと思いましたのに…」
さめざめと泣き崩れる姉。
泣き崩れた拍子にもっと私に抱きついてくる。
「力及ばずとても悔しいですわ!」
ぎゅーっと力強く私を抱きしめる。
く、苦しい。やめてくれ…。

「でも安心なさい!精神病院に入ってもこの姉が毎日お見舞いに行って差し上げますわ!」
お見舞いって、私は別に私は病気じゃないし…。
「貴方が事故にあって昏睡状態の時も毎日病院に行って…」
「貴方の身体を隅々まで拭いて差し上げましたわ!そう!隅々まで!!」
もう泣き止んでいたが、ものすごいドヤ顔で更に顔を近づけてくる姉。
事故の時も毎日病院に来てくれたのか、いい姉だな。
でも、何故か姉の行為にドン引きしてしまう私。
「でも、お姉ちゃんは私の面倒見るの嫌なんでしょう?」
そう問い掛ける私。
「あ、あれは勉強に疲れてつい言ってしまったのですの…」
何故か顔を赤らめる姉。
「こんなに可愛い妹を疎ましいと思ったことは一度もありませんわ!」
流石に何度かは疎ましいと思ったことあるだろ…?
私の顔に自分の顔を擦り擦りしてくる姉。
たまにデレるんだよな、我が姉は。

私はずっと無表情でドン引きしている。
姉はしげしげと私の顔を見つめてくる。
「貴方、私に隠し事してませんこと?」
え?なんでばれたの!?ハッとしてしまう私。
「やはり。貴方の考えていることは何でもお見通しですわ!」
姉は私の掛け布団を、バッと取り払ってしまう。
パジャマでなく、外着のコートまで着ている私…。

この記事が参加している募集

眠れない夜に

よろしければサポートお願いします❗ たいへん励みになります。