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モーリシャスのドキュメンタリーを見た。

こんにちは。
Sotaです。
今日は『モーリシャス 汚れた海 失われた楽園の長き闘い』というNHKのドキュメンタリーを見た感想を綴りたいと思います。

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モーリシャスはインド洋に浮かぶ島国で、東京都と同じくらいの土地に126万人が暮らしています。アフリカの中では比較的裕福な国で、世界各国から観光客が訪れています。拡大図でもこの大きさ、実際世界地図で見たら胡麻粒くらいしかないように感じます。

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「インド洋の貴婦人」とも称されるモーリシャスはあのマーク・トウェインに
「神はまずモーリシャスを創りそれを真似て天国を創った」と言わしめました。数々の珊瑚礁が織りなす絶景はまさに最後の楽園だと思います。
調べればすぐ美しい写真を見ることができました。
そこでは観光客をもてなし、ともにビーチに出て平和に暮らす人々の営みがありました。2020年に2つの危機が襲うまでは。

【巨大な船が目の前に】
2020年7月、三井商船が運行する貨物船「ワカシオ」が島から沖合わずか約1.5kmの場所で珊瑚礁に突き刺さりました。ワカシオは全長300mと超巨大で、そのような船は島から15km離れて航行するルールがあったにも関わらず。
沿岸警備隊が何度も警告したようですが反応はなかったそう。
当時、船には貨物は乗っていませんでしたが4000トンの油が積まれていました。
船長、副船長は逮捕されましたが、「パーティをしていた」ということ以外は明らかになっていないようです。

【割れる船体、漏れる重油】
本来、船が座礁すると専門の業者が引き上げを行います。実際モーリシャスでは過去に二度船が岩場に乗り上げていますがどちらも無事でした。
ではなぜ、今回のような大事故に繋がってしまったのか。
大きく3つの理由が挙げられます
・巨大だったこと(上記の規模)
・乗組員全員のPCR検査陰性の証明が必要だったこと
・船を引き上げる業者が近くにいなかったこと
事故後すぐに対応できれば引き上げは可能だったかもしれませんが、日が経つにつれ船体は砂に沈み込み、対応不可能になってしまったのです。
座礁から約10日後、船首が浮き上がり船体にヒビが入り始めました。そして恐れていた油漏れが起き始めたのです。

【Covid -19との二重苦】
モーリシャスの最初の苦悩は新型コロナウイルス蔓延で空港を封鎖したことによる観光業へのダメージでした。特に海辺に住む人たちにとってロックダウンは重大な影響を与えました。
例えば、タクシー運転手やレストラン経営者などです。
そこに重なったのが今回の事故でした。

【現地住民、警察の活躍】
油が漏れ海辺に到達した後、軍による除去作業が始まりましたがすぐに、住民もボランティアで、油の侵入を食い止めようとオイルフェンスを作り出しました。それには島特産品のサトウキビの藁が使われていました。
警察はヘリコプターで油を回収し流出を1000トンで抑えました。
どちらも必死の連携が生んだ偉大な行動だと強く思います。

【生態系への被害】
いよいよ、一番気になるところに踏み込んでいきます。
今回の事故で被害を受けたものの一つ目はマングローブです。
マングローブは河口付近に生息しており、油を被ったことにより呼吸ができなくなり枯れ始めたり、葉が変色したりしています。
マングローブは豊かな生態系を作っているので、枯れてしまうことはそこの生態系が全滅してしまうことを意味するのではないでしょうか。
次はサンゴです。今の所油の直接的な影響はわかっていませんが、船に押し潰されて砕けたサンゴが生きているサンゴ礁を覆ってしまい死んでしまう可能性が指摘されていました。


海の生き物への大きな影響はあまりわかっていません。
しかし事故から1ヶ月後、分裂した船首がインド洋に沈められ、その直後に40頭のイルカが死亡した事実がありました。
この悲しい話に対し怒りを示し市民が立ち上がり、首都ポートルイスで75000人のデモを行いました。
おかしいことにはおかしいと言える、素晴らしい人たちだと感じました。

デモ

【商船三井、日本政府の補償・支援】
船を運航していた商船三井は責任を取り、今後数年間で8億円を支援することを決めました。これは事故とコロナによって閉鎖された貧困地域の保育園の存続にも使われます。日本政府も300億円を拠出することを発表しました。
彼らには、お金だけの支援ではなく当事者の意見をしっかり聞き、本当に必要なものを提供することを祈ります。

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【復興、人々の思い】
このビーチはモーリシャスで最も美しいと言われているブルーベイです。このビーチにも多くの油が流れ込み、事故後4ヶ月ほど封鎖され住民は悲しんでいました。

でも、ついに1月、待ち侘びた海開きが行われたのです!!
人々は楽器や歌で喜び合いました。
日本人記者がそこを取材すると、「あなたが来てくれて嬉しい。日本人にもモーリシャスに来てほしい」と言ってくれていました。普通なら日本に悪い印象を持ってもおかしくないでしょう。彼らの温かさに感動してしまいました。
他に取材したレストラン経営者も悪影響を受けたにも関わらず、「日本は憎まない」という発言。前向きな姿勢に胸を打たれました。適切な支援で恩を返してほしい、強く思いました。

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毎年恒例のサマーフェスティバルは今年も無事開催されました。国民が一丸となって二重苦を乗り越えたことの象徴です。厳しい苦難を凌ぎ、新たな一歩を踏み出そうとする彼らの思いを少しでも私の拙い文章で感じ取り、この事故に関心を持っていただくことを期待し締めくくりたいと思います。
https://www.dailymotion.com/video/x7zrtob ←是非!!

ではまた。

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