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アウラ、東京大学 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 修士に合格しろ(概要+英語+研究計画書+面接+研究室見学)

アウラ「ありえない・・・・・・この(情報系知識ゼロの)私が!」


はじめに


みなさんこんにちは。sophytoeatです。
2024年度冬院試 東京大学 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 修士課程で、第一志望の研究室に合格しました。というわけで10番煎じくらいですが、次に受ける人のために合格体験記を書こうと思います。情報系の知識がほぼゼロの状態から始めたので、院からコンピュータ科学やりたいという方にとっては参考になるかと思います。
一応理系ですが化学専攻なので、数式やプログラミングとは縁遠い学生時代を送りました。なので知識量は文系と同じくらいだと思います。
自分の失敗談を踏まえ、なるべく最短で合格できるようなルートを提示できれば幸いです。
文章が長くなってしまうので、何本かに分けて記事を公開します。

受験の大まかな流れ

2023年5月くらいに行きたい研究室が決まり、そこに向けて勉強を始めました。しかし8月の夏院試には受からなかったので、2月の冬院試でリベンジしました。夏院試では一橋大学 データサイエンス科に受かっていましたが、どうしても希望の研究室に行きたかったので、冬院試をがんばりました。総勉強時間は1800 ~ 2000時間くらいです。

夏の院試の点数は

  • 英語(TOEFL iBT): 82

  • 一般教育科目(プログラミング): 80

  • 専門科目(創造情報学): 167

冬の院試の点数は(点数が分かり次第公開)

  • 英語(TOEFL iBT): 82

  • 一般教育科目(プログラミング): 105

  • 専門科目(創造情報学): 138

でした。なぜか冬の方が点数低いのに受かってました。冬院試は結構難しかったので全体の点数が低かったのでしょうか。もしくはAI系に人がめっちゃ集まってて僕の志望先の研究室は人気がなくなっていたのかもしれません。

自分の大まかな経歴

学部時代は大阪府立大学(現ハム大)で化学を専攻していました。
大学院はロンダして東京大学 広域科学専攻 相関基礎科学科でフェムト秒レーザーを窒素分子に当てて、わちゃわちゃやる研究を行っていました。
残念ながら東大ではあまり熱心に研究をせず、コンピュータ科学系の授業を大量に聴講したり(自分はCSをやっているという雰囲気に酔いしれて、授業行くだけで満足してました)、スタートアップの立ち上げをやったりして、めちゃいろんなことをやっていました。

新卒では楽天グループ株式会社に入社し、そこから研修を経て楽天モバイル株式会社の経営企画に配属されました。正直ここでの仕事はあまり興味が持てず、心殺しながら仕事していました。

次に何やろうかなと色々と考えていたところ、大学院時代の分子のシミュレーション、スタートアップ時代にやっていたVRのPoCを通じて、仮想空間に非常に大きな可能性を見出したことを思い出しました。ここらへんの細かい話はそのうち別の記事で出したいです。仮想空間がらみの研究がしたい+仮想空間の様々な技術開発や議論はアメリカで盛んに行われているので、海外にいろんなコネのある研究室で結果出したらアメリカ行けるんじゃね!?というガバガバ計画でまた大学院に入学することを決めました。

対策の概要

創造情報学専攻は英語 + 研究計画書 + 一般教育科目 + 専門科目 + 面接という構成になっています。
英語と研究計画書と面接はほぼ足切りにしか使われず、合否にはほぼ関係ない説が濃厚です。点数の傾斜は公開されてませんが、先輩や合格体験記の傾向から見ると
英語 : 研究計画書 : 一般 : 専門 : 面接 = 0 : 0 : 1 : 2 : 0
or
英語 : 研究計画書 : 一般 : 専門 : 面接 = 0 : 0 : 1 : 1 : 0
となっているみたいです。※これらは根拠のない推測です。
創造情報学専攻において、一般教育科目は数学 or プログラミング、専門科目は創造情報学 or コンピュータ科学 or 数理情報学 or システム情報学 or 電子情報学の4つから一つ選ぶ形になります。
よって計8通りの受け方があるのですが、情報系の知識0から始める方にとって一番オススメはプログラミング + 創造情報学の受け方です。
なぜなら情報理工の数学はかなり難しく、勉強しても専門科目には使えません。一方でプログラミングは0から勉強しても、1~2ヶ月で6割くらいはとることができます。またプログラミングの能力は、入学してからのインターンや研究室などで活用することができます。創造情報学の第1問と第2問は擬似コードを書かせる問題もあり、プログラミングをやっておくとそのまま対策に繋がります。
創造情報学の第3問の語句問題は運ゲーだと言われますが、しっかり時間をかければ満点を狙えます。僕は夏冬第3問はどちらとも満点でした。
この記事では英語と研究計画書と面接について、お話しようかと思います。

英語(TOEFL iBT)

テストをいつまでに受ければよいか

リミットを毎年勘違いする学生がいらっしゃるので、要注意です。情報理工の出願締め切りが6月くらいです。TOEFLは受け終わってから東大にレポートが送付されるまで1ヶ月半位かかると言われています。おせぇよ高い金出してんだからもうちょい早くしろ遅くとも5月中旬くらいには受け終わる必要があります。十分に余裕を持ちましょう。TOEFL iBTは値段が高く、何度も受けたいものではありません。しかし意外と点数がブレることがあるので、せめて2回は受けておきましょう。英語は上達に意外と時間がかかるので、早めに取り組みましょう。研究室に入ってからも、社会に出てからも使います。この際に英語を勉強する習慣をつけておきましょう。(英語を勉強する習慣を失って苦労している人間が僕です)

どれくらいのスコアを取ればよいか

人気の研究科故に競争が激しくなっている情報理工ですが、基本的にスコアが60 ~ 70あれば足切りをクリア出来るのではないかと考えています。受験者のスコアも70 ~ 100あたりかと思います。英語はほぼ合否に関係ないので、早めにあしきスコアを取って、一般と專門の勉強に集中しましょう。

対策の概要

基本的にリーディング(以下R)とリスニング(以下L)で点数を稼ぐことになります。RとLはみんな大学受験でやっているため、点数を取りやすいです。またこの2つを対策すると、スピーキング(以下S)とライティング(以下W)の点数も上がりやすくなります。SとWは文章を読んだり、英語を聞いたりして、その内容をまとめて回答する、という項目があるためです。勉強の優先順位は圧倒的にRとLが高いです。
iBTで70を取るならば、R: 20 L:20 S:15 W:15あたりが妥当なラインかなと思います。
僕は基本的に使用した教科書は公式本です。クソ高いですが、メルカリなどで何とか安いのを購入しましょう。

細かいTOEFLの勉強法については他に圧倒的に詳しいサイトや動画があるので、そちらを参考にしたほうが良いと思います。
いちばん重要な語彙だけどのように勉強したかを載せておきます。単語は重要です。語彙力がないと何もできません。単語はしっかり押さえましょう。

僕はAnkiというアプリに手作業で3800のわからない単語を入力していきましたが、今思えばその時間をプログラミングに使うべきだったと思ってます。。。恐らくこのnoteのエクセルデータを使うと手作業をゼロに出来るはずです。

研究計画書

よほどしっちゃかめっちゃかなことを書かなければ、研究計画書で落とされることはないと思います。しかし面接で痛い思いをしないようにちゃんと書きましょう。ちゃんと書くとそれなりに時間がかかるので、早めに取り組みましょう。また研究計画書を書くことで、自分が何をしたいか見えてきます。どういすれば良い研究計画書が書けるかの指針は暦本先生のスライドが参考になります。

といっても情報系でない人が、情報系の研究計画書を書くのは難しいものです。良いやり方かはわかりませんが、最低限書類審査を突破出来るやり方を提示します。基本的にその研究をやる意味、新規性、提案手法、評価手法、参考文献が書かれていれば良いと思います。

  1. まずは第一志望の研究室のプロジェクトを見る

  2. その中から自分が興味ありそうな論文を引っ張ってくる

  3. https://iis-lab.org/misc/paperreading/を参考にして論文を読む。ちなみに研究計画書を書くのに論文は50本くらい読む必要があるみたい。僕もそのくらい読みました。

  4. どうにかして読んだ論文の中から、まだ研究がされていないところを見つける

  5. 提案手法は別の論文から取ってくる

  6. 別の論文で使われていた評価手法を使う

以上です。ちゃんとした研究者から殴られそうな方法です。しかし研究計画書を詰めても合格に近づかないので、まずは合格して研究室に入ってからしっかりと結果を出しましょう。一応僕が冬院試で出願した研究計画書を載せます。正直ゴミすぎて見ても何の意味もないと思いますが、参考までに。
ツイッターで@sophytoeat までご連絡いただければ、1時間¥2000で研究計画書を添削いたしますので、是非ご利用ください。

面接

面接の評価は+1, 0, -1のどれかの点が与えられます。僕は夏冬どちらも+1でした。夏は半分くらい質問に答えられなかったし、冬もあまり良い回答は出来ませんでしたが、最高評価でした。面接で急に叫ばない限りは+1が与えられるはずです。研究計画書について1, 2回聞かれることがあるので、面接の前日に研究計画書の復習をしておくと良いでしょう。
夏では第一志望、第二志望の教授から質問されましたが、冬では第一志望の教授からしか質問されませんでした。また冬の方は面接の時間がすごく短かったです。総合文化研究科の修士の時も面接の時間が短かったので、受かってる人は面接時間が短い傾向があるかもしれません。

夏院試で聞かれた質問

  • まずは志望動機について話してください(第一志望の教授)
    → 簡単な経歴となぜ第一志望の研究室を受験したかについて話した

  • (第一志望の教授から)やりたい研究の詳細について聞かれた。自分はデータベースなしでも髪の物理シミュレーションをうまくやるという研究計画だったので、なぜデータベースをわざわざなくすのか聞かれた

  • 会社でやっていたことは?(第二志望の教授から)
    → 試験勉強でニートしてたので、答えられなかった。さすがにニートでしたとは言えないので、機密上お話できませんと答えた。

冬院試で聞かれた質問

  • まずは志望動機について話してください(第一志望の教授)
    → 夏と同様。この質問は聞かれると出願者に配布される資料にもあるので、話せるよう準備しておきましょう。

  • 研究計画書の手法はどの論文のものですか?論文の出版年、筆者及びその所属を教えて下さい
    → 覚えていたので、そのまま回答。

  • ただ単に論文の内容を拡張したのみで、研究としては成り立たないと思うのですが、いかがでしょうか?
    → 「ごめん、それはまじでそう」を丁寧な言葉で説明した。

  • 研究手法の欠点を指摘。これをどう克服するかの質問
    → この欠点については自分もわかっていたので、素直に「考えたのですが、わかりませんでした」と答えた。

研究室見学について

早めに行きましょう。教授にメールするのは怖いですが、そこは頑張りましょう。基本的には返信が来ますが、まれに返信が帰ってこないこともあるので、その時は2, 3回リマインドしましょう。第一志望、第二志望、第三志望くらいまではちゃんと見学に行きましょう。なるべく多くの研究室に行って、過去問の解答や他の研究室の評判、生徒の雰囲気を確認しておくと良いです。研究室見学は本当に大事なので、見学の際に確認しておいたほうが良いかなというポイントを挙げます

  1. 先生の研究スタイル、性格をしっかりと確認しよう
    一番大事。この前も、そしてこの後も記事で出てくる色々な情報の中でこれが一番大事。先生の性格やスタイルが肌に合わなければ、どんなにその分野の研究が好きでも一瞬で嫌いになります。僕はアカハラの先生に当たったことがあり、その時は同級生が鬱になったり、中途退学したりしました。また他研究科の他研究室の話ですが、女子がセクハラに合って鬱になったり、学生が就活しようとしたら虐められたりとトンデモな話をよく聞きました。本当に人生狂わされます。アカハラ研究室の学生は、直接先生の良くない話を見学しに来た学生には言いません。自分が悪口を言ったと話しが漏れるのは怖いし、そもそももうアカハラが日常になって、異常と感じないことがあります。
    なので他の研究室もしっかりと訪問して、自分の行きたい研究室の先生の評判を確認しましょう。
    もう研究室のアカハラ、セクハラ、パワハラで人生狂わされたという学生の話は聞きたくありません。皆さん本当に慎重になってください。
    また研究スタイルも、先生や先輩が指導してくれるのか、それとも1人で黙々とやっていくのか、どのスタイルが良いかは人それぞれの好みがあると思います。どういう研究スタイルで研究室が運営されていくか、確認しましょう。
    研究室の卒業生に連絡するのも良い手段です。研究室の卒業者一覧から名前を探し、ツイッターなどで連絡を取ってみましょう。卒業して後腐れがない分、率直に色々と話してくれます。M2, D3の学生ももうしがらみがないので、色々と話してくれる可能性は大です。
    希望先の研究室の先生が定年まで後何年か確認しておきましょう。自分がDまで進学するとしたら、最後まで先生は面倒を見てくれるかどうか確認しましょう。

  2. その研究室にいる学生
    先生の次に大事。その研究室にいる博士が新4年生の女子にセクハラして、その子がめっちゃ困っていた。と言う状況に友達が遭遇しました。修士で卒業していく学生はすぐにいなくなるのでいいですが、博士課程の学生がどういう人かは、なるべく確認できたほうがいいです。みんなとみんな気が合うというのは不可能に近いですが、古株の学生はやはり影響力が大きいので、どういう人か確認できたほうが無難です。
    またその研究室にいる先輩は将来の自分になる可能性が大きいです。同じ環境で育つわけなので。研究室の先輩が自分の進みたいキャリアと同じ方向性かどうか確認しておきましょう。

  3. 教授にメールを送る時期
    2月は学位審査などで教授はものすごく忙しいです。メールをするのは早ければ早いほどいいですが、なるべく冬の季節は外しましょう。学生もピリピリして塩対応になります。また研究室訪問は土日、GWなどは避けましょう。学生が研究室におらず、有益な情報を得ることができない可能性があります。

  4. 過去問
    直接研究室見学にいくと、研究室にいる学生が過去問を提供してくれることがあります。紙媒体で提供してくれることは少ないので、USBを忘れずに持っていきましょう。連絡先を交換して後日メールで送る、というのは送る側からすると面倒に思う可能性があり、無言ぶっちされる可能性があります。

  5. 学生にお土産を持っていきましょう
    チョコかおかし10個くらいが一箱になっているやつを持っていきましょう。教授に会う際に手みあげを持っていくのは、いやらしい意味が出てしまうので、避けた方が無難です。しかし過去問が欲しければ学生さんたちには手みやげをしっかりと持っていった方が良いでしょう。昨今情報系の人気は爆裂なので、多くの人が過去問欲しいと詰め寄っているはずで、学生さんたちも後輩でもなんでもない外部生になんでわざわざ後輩が不利になることをしなければ、と内心思っているかもしれません。おまけに過去問を整理して見れる形にして渡すのは結構面倒くさいです。 よほどコミュ力に自信があり、1,2時間の喋りで仲を深められるならともかく、過去問をもらいやすくするためにお礼は渡しましょう。

  6. レベルの高い研究室を訪問しよう
    興味がなくても、その専攻で学生のレベルが高いと言われている研究室を訪問しましょう。まずそのような研究室の学生はマジメなので、過去問をきちんと整理して保管している可能性が大きいです。またレベルの高い研究室というのはどういうものなのか、見ておくことは今後の人生に役立ちます。

次は一般教育科目であるプログラミングについてお話します。

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