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【連載小説】上京日記#8 入試

志望校を決め、受験勉強を始める。
周りはおそらく高校に入る前から大学行くことが目標だったのだろう。

私は出遅れていた。

しかし幸いにも進学校に通っていたためか、日々の授業をしっかり受けるだけでもある程度は受験対策になっていた気がした。

センター試験当日、私は緊張でお昼も食べられない。

午後には国語の試験があったが、緊張で頭が真っ白。
先生の予想では今年は簡単かも。
しかし、実際はかなり難しかったと、後の分析で判明した。

・・・惨敗だった。自己採点するまでもなくわかる。

(緊張のほぐし方、中学の時に部活の先生に習ったっけ。
自分と向き合っておけばよかった。
高校受験の時みたいに塾行きたいって頼み込めば良かった。)

今さら後悔なんて遅いけど後悔しかなかった。

会場から帰宅すると1本の電話が鳴った。

「もしもし」
『おーお前か!元気か?』
「・・・ううう」
じいちゃんからの電話に一気に涙腺が崩壊した。

「どうしたの!?誰!?」
「もしもし!?何泣かしてんのよ!」
『いや俺何もしてねえよ!』

お母さんとじいちゃんの口論が聞こえる。

じいちゃんに泣かされたわけじゃないって、
センターでダメだったんだって、涙があふれすぎて言えなかった。

『一生懸命やりきったら涙なんかでなくて受け入れられる』
いつかの誰かが言っていたのを思い出した。



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