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パンズ・ラビリンス

1944年のスペイン内戦下を舞台に現実と迷宮の狭間で3つの試練を乗り越える少女の成長を描くダーク・ファンタジー。ギレルモ・デル・トロ監督がメガホンをとり、ファシズムという厳しい現実から逃れるため、架空の世界に入り込む少女を通じて人間性の本質に鋭く切り込む。イマジネーションあふれる壮大な視覚技術を駆使して生まれたクリーチャーや深く考察されたテーマに根ざした巧みな演出が衝撃的。

あらすじ:1944年のスペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリアは、この恐ろしい義父から逃れたいと願うばかり自分の中に新しい世界を創り出す。オフェリアが屋敷の近くに不思議な迷宮を見つけ出して足を踏み入れると、迷宮の守護神が現われ彼女に危険な試練を与える。

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今作品はグリム童話の世界である。 冷酷非道な義父とその義父に服従する身重の母。 少女は現実から逃げる手段として架空の世界を創り出す姿は痛々しい。 彼女が創り出した怪物や妖精は、辛い現実から逃避する産物である。
怪物が3つの試練を少女に与えるのだが、2つ目の試練に出てくるクリーチャーはピーター・グリーナウェイのベイビー・オブ・マコンの世界のようにおどろおどろしい。最後は少女の現実と幻想の世界がシンクロするのだが、ハリウッド映画ではありえない終幕である。今まで戦争映画をこのような手法で描いた作品はなかったと思う。ギレルモ・デル・トロ監督に拍手を送りたい。



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