見出し画像

わたしを離さないで

あらすじ:緑豊かな自然に囲まれた寄宿学校“ヘールシャム”。そこは、牧歌的な田園地帯にありながら外界からは完全に隔絶され、徹底した管理が行われている謎めいた施設だった。そんな環境の中で、幼い頃からずっと一緒に育ってきたキャシー、ルース、トミー。やがて18歳となった3人はヘールシャムを卒業し、農場のコテージで共同生活を送ることに。彼等は、初めて接する外の世界に不安や喜びを感じていく。そして、いつしかルースとトミーが恋人になったことで3人の関係も終わりを迎えようとしていたが…。 

画像1

寄宿学校に集められた子供達は『残酷な運命』が待ち受けていることを知らず、世間から隔絶した生活を送っている。そして、教師から自分たちの将来に対して疑問を持つことなく受け入れるように教育される。洗脳教育が終了し、青年となったキャシー、ルース、トミーに自由な時間が与えられる。その自由な時間を過ごすことによって、『人生の意義』を噛み締める3人。そして、『残酷な運命』に対峙した時の彼等の行動に心揺さぶられる。彼等が『残酷な運命』から何故逃げないのか、反発しないのか不思議に思うかもしれない。しかし、子供時代に徹底した教育を受けた彼等には、『逃げる』『反発』するという選択肢が無いのである。戦時中、徹底した教育を受けた日本の若者が『赤紙』がきたときに『逃げる』『反発する』という選択肢がないことと同じなのである。原作者が日本人であるが故に日本的な死生観が物語の核となるのである。

この記事が参加している募集

映画感想文

日々観た映画の感想を綴っております。お勧めの作品のみ紹介していこうと思っております。