見出し画像

スターシステムと骨董品

僕は会話の中で数々の引用を使う。

友達と1つの肉まんをわけて食べる時も、
いいよいいよ…

半分に割った歪な方を僕がもらうよ

 

常から僕は、「自分1人で自身を表現すること」に難解さを感じてしまう。

同時に僕は骨董屋だ、骨董というジャンルもまさにそうだ。良さを説明するのに、スターの手を借りた方が手っ取り早い。

 

僕の人生観・骨董観はスターシステムで成り立っている。

 

1.スターシステムとは

 スターシステムとは、「〇〇がいることをした前提として目的を達成するための、プランの立案方式」だ。

 たとえばキムタクのキャラありきのこちらのゲーム。
この例はまさにそうだろう。


 ほか、スポーツ、興行などで耳にする機会が多い言葉だが、会話でもこの手法は使われる。

夏目漱石を全ての人が知っている前提で、「月が綺麗ですね 」と言い、受け取り手は「I Love You 」と受け取る。

これもきっと「スターシステム」だ。


「愛してると伝えたい」という目的のために、夏目漱石に登場してもらい、自身の気持ちを代弁してもらう。
受け取り手が夏目漱石を知っている時に、目的は達成される。



対して冒頭の僕のセリフ。

もちろん僕のオリジナルな言い回しではない。

自分の感情を彼に代弁してもらおうとプランを立案したのである。

 

半分に割った赤いリンゴのイビツな方を僕がもらうよ
2人はそれでたいがいうまくいく

スガシカオ「アシンメトリー」

「ああ、アベ君は、イビツな方をもらってでも、私とうまくいきたいんだね」

そう受け取って欲しかったのだ。

 サイッコーにウィットに富んだコミュニケーションだぜ…!
※大抵「え、なんて?」と聞かれて「ア、イヤ、コレハデスネ…」と口吃る。


2.漫画におけるスターシステム

 

スターシステムが採用された漫画をはじめて読んだのは、「銀河鉄道999」と「男おいどん」松本零士作品だ。

それぞれに環境・言動・見た目がそっくりな青年が登場する。

 「地球そっくり」な星に住むあだち。
「東京」で貧乏暮らしをする大山昇太。

そっくりな2人の関係性はなにだろうか、と晩酌中の父に尋ねた。「これはスターシステムという手法で…」

「スター」と「システム」

このクールな2つの言葉を併せた言葉、 幼い僕には格別な聞き心地だった。
意味はよくわからなかった。

とにかく、スターでシステムな、あだち・大山青年は素敵な男性に思えた。


「勇気リンリンどどめ色」というセリフに憧れ、ラーメンライスも滅茶苦茶美味そう。

僕はパンツにサルマタケを生やしたかった。

 

 

3.骨董品は漫画だ

 

「骨董品の良し悪しを見分ける術を教えてください」

冒頭でも触れている通り、僕は骨董屋だ。

 
これはよく聞かれる質問。
ただ、皆難しく考えすぎだと思う。

僕にとって骨董品は漫画だ。たとえるなら僕は「漫画を売る本屋」だ。

本屋さんで「漫画の楽しみ方を教えてください」
そう聞くだろうか。(聞く人もいるだろうけど。)


勝手に読めばいい、好きに解釈すればいい。
漫画と骨董品は、そういうコンテンツだ。


4.骨董品の楽しみ方


乱暴に突き放してもしょうがない。
簡単にご説明したい。

例えば古い箪笥、これは様々なスターが一堂に集まる、ショーだ。

金具・塗り・箱作り、それぞれを当時、別の職人=スターが手がけていた(鍛治屋・塗師・工人)場合がある。

こちらは明治頃の仙台箪笥(SOLD)


木目を生かした塗りが良くて惚れてもいい、箱の完成度にも感心させられるだろう。

それぞれの成り立ちや良さがわかると「箪笥というショー」に参加してるそれぞれの名役者が、一層輝いて見える。

各スターの活躍は、また違う舞台(箪笥に限らず、彼らの作ったであろうモノたち)でも拝見できる。

これが僕の骨董品の楽しみ方の基本。

 
ハーロックが999でも活躍してる…!


その発見・喜びとなんら変わらない。

漫画が、「単体でも楽しめるし、作者の作品を全部知ってるとなお面白いよね」と一緒だ。


以後の楽しみ方は自在。松本零士作品に固執してもいいし、同時期の少年キング連載漫画に目を向けたっていい。

 その上で「値段をつける」
それは「漫画に対する批評文」とでも例えればよいだとうか。

再度消費者を目掛ける必要があるため、プロにしか分かりない部分、マーケティングの要素も含まれるかもしれない。

逆に言えばその手前までは努力や勤勉は必要ない。「楽しむ気持ち」だけだ。

気になった方は弊社HPを覗いていただきたい(小声)
 

5.僕の人生の表現手法はスターシステム

 
僕の人生観は、様々なスターによって成り立っている。

松本零士も、スガシカオも、骨董品たちも、「僕の人生」というショーに登場する「スター」だ。

常に輝いている、憧れているんだ、真似したくてしょうがない。

そんな僕の卑しき魂は、noteのヒットチャートを走り抜けられるだろうか。

他人の言葉を借りて自分のモノとする…それこそ松本零士が怒りそうな手法だ。
※わからない方は「松本零士 約束の場所」で検索!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?