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生徒の能動的な学びのために

今も昔も高校の教師は生徒のために多様な授業を展開している。
ここでは、誰しも一度は感じるであろう「なぜあの先生の授業はわかりやすいのに、この先生の授業はわかりにくく眠気さえ感じてしまうのだろう?」という疑問について”教師の行動”に焦点を絞って考えていきたい。

全体の流れ
1,調査方法
2,生徒からの評価が高かった授業
  日本史B
  英語表現
3,生徒からの評価が低かった授業
  世界史A
        数学B
4,考察
5,提案


1,調査方法


①私が所属するクラスの授業{現代文B、古典B、数学Ⅱ、数学、コミュニケーション英語、英語表現、日本史B、世界史A}を対象に該当授業における教師の行動を5分単位で記録。記録をもとに発問Q、指名や小テストなど生徒の意識や理解度により大きな差が生まれると思うものI、ペアワークなど生徒全員が参加せざるを得ないものAとして各授業のおおまかな流れをまとめる。
(各授業の流れ.PDF参照)

→・発問と指名は多くの授業で行われている
 ・ペアワークは授業によりばらつきがある

②該当授業の教師8名に
・授業において生徒が能動的に参加できる  ようにするために工夫していること
・生徒が受動的になっていると感じたときに具体的に何か対応しているか
・ペアワークや発問の目的、工夫
以上3点について口頭または記述回答で集計
(教師へのアンケート結果.PDF参照)

→教師一人一人に異なる工夫があるものの
発問や教師の話し方に言及した回答が多かった。一部、音読や号令の重視、アウトプットの機会の創出などの回答も見られた。

③該当生徒19名に
Ⅰ 他人の意見に触れる、考える時間がある
Ⅱ 受け身的、考えることが少ない
について1人各項目1~3票で集計
(生徒へのアンケート結果.PDF参照)
→現代文を除き、各科目明らかな結果が現れた。

2,生徒からの評価が高かった授業

日本史B
・前回の授業を個人で振り返る時間の確保
・ペアワークで問題を出し合う時間の確保
・史料は全員で音読
・授業中の発問は全員同時に発声
・単元ごとに説明問題で知識の整理

英語表現
・文法などを生徒同士で説明
・映像を見て状況描写など教科書にとらわれない課題設定
・授業冒頭には毎回小テスト
・授業半ばにペアワーク

3,生徒からの評価が低かった授業

世界史A
・映像や関連エピソードを多数紹介
・授業の流れが毎回同じ
・ペアワークなど全員を巻き込むものがない

数学B
・オリジナルプリント配布
・公式などの証明を丁寧に解説
・発問、ペアワークはほとんどない

4,考察

生徒が能動的に学べる授業かどうかは、いかに教師の説明が丁寧か或いは教材のオリジナル性に優れているのかではなく、授業中に生徒同士で学びあったり得た知識をアウトプットする機会があるということが重要な鍵を握っていると言える。さらに生徒からの評価が高かった科目では、指名など特定の生徒のみが発言する時間が他教科に比べ少ないこともわかった。
一方で多くの教師が言及していた発問については、今回の結果からは生徒の評価との関係性はわからなかった。

5,提案

今回の調査を通して生徒の能動的な学びのためには、ペアワークなど生徒全員が授業に参加できるような工夫、さらに説明問題や自由英作文のように得た知識を実際に使う『アウトプットの機会』を授業内に設けることの必要性が見えてきた。
確かに昨今話題のアクティブラーニングやICT機器の活用などは明日から急に取り入れるのは難しいだろう。しかし授業で教えた知識をアウトプットする機会を確保することならいつでも始められると思う。生徒同士で問題を出し合ったり、短い文章を書かせてみたり、ちょっとしたことでもいい。
「わかるとできるは違う」という言葉があるように、実際自分の言葉にしようとすると案外難しい。だが、この経験を重ねることによって生徒の中に自ら学ぶ姿勢が備わっていくのではないだろうか。






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