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秘密の花園

秘密の花園
バーネット 1911

作者バーネットはイギリス生まれのアメリカの女流作家です。この「秘密の花園」はシャーロット・ブロンテの「ジェーン・エア」を下敷きにして描かれました。これまでバーネットが子供の成長を描いた物語の「小公子」「小公女」とは異なり、性格の悪い子供達が主人公である点が新機軸でした。バーネット(1849-1924)晩年の作品で、現在も多くの国の子供達に読まれています。

メアリはインドで生まれ育った。両親の邪魔にならぬよう、乳母の手で甘やかし放題になり、誰にも愛情を抱かず、我儘でヒステリックで病気がちで、誰からも愛されない子供に育った。メアリが9才の時、コレラが流行り、乳母も両親も亡くなってしまい、メアリは父の姉の夫であるクレーベンに引き取られる事になり、イギリスにやってきた。家政婦メッドロックにこれから向かう屋敷についての説明を受けるが、メアリはひねくれているのでメッドロックを感じが悪いと思った。そしてメッドロックの方でもメアリのことをそう思っていた。
メアリは1日目を始めたが、着替えから何から何まで世話を受けていたメアリは何も出来ない。メアリはここでの生活には馴染めないだろうと感じていた。外に出たメアリは屋敷の女中マーサから聞かされた、締め切られた花園を捜して歩いた。そしてその庭らしきところの木にコマドリがいるのに気付く。菜園を管理する無愛想な老人ベンにコマドリの話をすると、ベンは急にニッコリして口笛を吹いてコマドリを呼んだ。この鳥はベンの唯一の友達だった。ベンはメアリに自分達はにたものどうしで、見かけ通りに感じの悪い人間で、友達が出来ないと言う。メアリは初めて自分を意識した。自分の寂しさに気がついたメアリは、コマドリに「友達になって」と優しく呼びかける。
メアリは外を歩く生活を続け、少しづつ健康になっていった。メアリは秘密の花園のことを毎日気にしていた。ある日、何故庭が閉ざされたのかをマーサから聞く。その庭はクレーベンの妻が愛した庭だったと。その夜、メアリは風の音に混じって泣き声を聞く。マーサは風の音だと言うのだった。ある雨の日、所在ないメアリは図書室を探しに行くことにした。しかし、広い屋敷で迷ううちに、また泣き声を聞いた。壁掛けの裏のドアから続く新たな廊下を見つけた時、メッドロックに見つかってさんざん叱られ、部屋に連れ戻された。メアリは廊下の先の部屋に誰かが閉じ籠っていると確信する。
その二日後、空が晴れた。春が近づいてきた。メアリはコマドリが掘り返していた土の中から古い鍵を見つける。コマドリと風のおかげでメアリは蔦に隠された扉を見つけ出す。鍵は回り、メアリは秘密の花園の中に入って行った・・・。

子供達は庭に触れて自立していきます。庭を慈しむことで自然から健やかな生命力を受け取る。人間同士も同じ。他者に思いを注ぎ癒す時、自分にも思いが注がれて生命力が得られる。回復する。

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