見出し画像

バスケ史〜だから跳ぶのをやめられない〜No1.プロローグのようなとある1日

冬から春になろうとする季節になると、なんとなくに足を踏み入れた体育館を思い出す。
あのなんとなくの仮入部からふわっとはじまってしまったバスケなしには語れない人生。
「何年バスケやってるんですか?」と聞かれて、数えられなくなってきたから「10年以上です」としか答えられないそんな雑なわたしのバスケ史を、少しずつ書き残してみようと思う。

・・・

寒くも、熱気の交わった冬の体育館に乾いた音が響いた。
それはシュートを阻止するためにボールを思い切り弾いた音。
小さいから勝てないそんな法則の受付拒否は17年目に突入。

・・・

小学校で部活は9歳から、なんて制限をかけておきながら部活は3つ(ブラスバンド、サッカー、ミニバス)しか選択肢がなくて、消去法でだったかなんとなくだったか、たいした意気込みもなく踏み込んだ体育館とこんなに長い付き合いになるとは誰が想像しただろうか。

本当は、中学の部活ではバレー部に入りたかった。お父さんがバレーボールをやっていたから。でもミニバスのチームメイトと義理でバスケ部の仮入部に行ったら「そらの、入ってくれるよね」と先輩たちの今思えば歓迎なのだろうけど、その時は圧力にしか感じなかった。「オワタ、入りませんなんて言えない」という恐怖で、結局バレー部の仮入部すら行かずにわたしのバスケ史はまた続くことが決まった。

ひとりのコーチと、ふたりの顧問の出会い。めちゃくちゃ強い市内のチーム(全国大会出場チームが3チーム)で勝てない悔しさのバネ、この3つが揃って、気づけば有り余る体力を発散する場所から、なくてはならないわたしを構成する一部になっていた。

DNAレベルではよく頑張った方だと思うんだけど、プレーヤーとしてはいまいち不満な身長。わたしより小さいプレーヤーもたまにいるから、あまり小さい小さいと言ってはいけない気がするんだけど、不利であることには違いない。それでもわたしは負けるだなんてさらさら思っていないのが、漫画のワンシーンのようだと思っている。

寒くも、熱気の交わった冬の体育館に乾いた音が響いた。10cm以上背の高いプレーヤーが、まさかわたしの手が伸びてくるとは思わなかったのだろう。手に当たったボールはゴールに向かって放たれようとしていたがフロアに打ち付けられた。

「うわぉ!」夢中にボールへ飛びついただけで、負けてたまるかとか強い思考回路が働いていたわけでもない。後付けで褒めるとすれば、相手のサイズに怯まず跳んでいたこと。

跳んだらたまに、届く。
届いた時の音が、またわたしを蘇らせる。

ゴールに弾かれたボールを取り合うことをリバウンドというのだけれど、リバウンドは大きい人たちの戦場化することが多い。その戦場は、身長、ジャンプ力を軸にプラスタイミングやボールの軌道変化の見極めという頭脳戦が加わる。そこに小さいやつらがごちゃごちゃいてしまうと、味方の邪魔をすることもあるから、精鋭部隊がゴール下の戦場へ赴く。

けれど、バスケットのコートは狭いもので、そこに10人もひしめくものだから時々その戦場へ迷い込んでしまうことがある。そして迷った時、わたしは幼い頃迷子になったらその場から動くな、と躾けられ、何度かの迷子もたった数分で迎えが来るし、放送を使ったこともない。でも、コート上で迷子になった時にその躾けなんて頭をよぎるわけもなく、気持ちだけはビックに思いっきり跳んでみる。

「うわっはっはっ!」

コート内はもちろん、コートサイドにいる人たちも笑ってくれる。物理的に勝てるわけのない人が勝つというのはどの時代の漫画でも描かれ、人間の大好物だ。偶然であろうと、たまたまであろうと、全身の筋繊維が縦にビヨッと伸びきるまで思い切り跳んで掴むと、そのボールがまた愛おしくなる。

小さいからこその戦い方をしてきた。小さいからこそ大きい人より得意なことがある。でも、大きい人が適していることもちょっぴりやってみたくなるのは、きっとチームメイトがそのポジションで輝いているからなのかな、なんていっちょまえにまとめてみる。

たとえ、いま身長が一気に10cm,15cmと伸びようとわたしは今のポジションを変えることはない。きっかけは小さい人が活躍しやすいポジションだったのは事実だけれど、そのポジションにはとっくに魅せられていた。いまはわたしだからそのポジションをやっているだけで、小さいからやっているわけでは、ない!

だから跳ぶのをやめられない。バスケットが大好き。
汗をかくし、心臓が破れそうになるくらいきつかったり、大人になってまでするような怪我じゃないのをかましちゃうこともあるけれど。

これからも細々と続いてゆく自分史のなかのバスケット編を、もう少し深掘りしてみようとおもうんだ。過去を振り返ったところですさまじく平凡なのだけれど、ね。

いいねを押してもらえると、私のおすすめスタバカスタムがでます。カフェラテ以外が出たらラッキー!