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父が壊れた!?

朝から私は父が入院する病院に向かいました。母と妹が一晩中父の付き添いをしてくれて、病室の中に入ると二人はとても眠そうにしていました。


私「おはよう。昨日はお疲れさま、どうだった?」


妹「もう、すごかったんだよー!」と言いながら笑う妹。


母「点滴の針を抜こうとしたり、突然動き出しちゃって、ベッドから落ちはしないけど!大変だったよー。二人で仮眠取りながら交代で見てたけどね。」


は?


昨夜まで熱でうなされて、一週間で死ぬかもしれないと言われた父が急に行動活発になった?一体どういうことなんだろう?


全く訳が分からなくて頭が混乱していましたが、父に声をかけるとうつ伏せになって額に当てていた冷たいタオルの糸を一生懸命引っ張っていました。


母「これが気になるみたいでずっとやってるのよ。」


昨日とはまるで別人の父を目の当たりにした私はもう茫然とするしかありませんでした。


朝8時半頃になると、日勤の看護師さんが挨拶にきてくれました。


看護師「今日担当しますね、よろしくお願いします。」


私「よろしくお願いします。あの、父が急に動き回ってるって聞いたんですが、どうしちゃったんでしょうか?」


看護師「うーん、しんどくてじっとしていられないのかなー?熱はまだ高いままだから点滴で様子見ますね。それから、ご家族さんが側にいてくれてるから大丈夫だと思うけど、もしもの事があってはいけないのでセンサーを付けさせてもらいますね。」


センサーは父のパジャマの襟にクリップが付けられ、動きが激しいとそのクリップが外れます。その時にナースステーションのコールが鳴る仕組みになっています。父の体動が激しく、ベッドから落ちる危険性がある為です。


私「分かりました。よろしくお願いします。」


妹「あとね、口から食べちゃいけないのに私のお茶を見てちょうだいって言うんだよ。だから父さんから見えないところで食べたり飲んだりしてるんだよ。」


そうだったのか。決して良くなかった訳ではないようだけど、動いたり話したりできるのはちょっと嬉しいねと三人で話をしました。けれども、脳の腫瘍のせいなのか針を自分で抜こうとしたり、食べられないのに物を欲しがったりするのは危険性を理解できてはいないということなので、何とも言えない切ない気持ちになりました。


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