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舞台のことなど

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演劇、舞台のことなどまとめています。
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記事一覧

関わると摩擦がおきる自然の法則

ちかくに劇場があったらなぁと思うことはある。 だけど、こうあって欲しい、という劇場じゃないなら、なくてもあっても今と変わらないのかもしれない。 関西で一番好きだった劇場も、名前が変わってしまって、今後どのような形になるのかわからない。 どんどん変わっていく。 世の中が変わっても、変わらないものってなんだろうね。 そういうことをえがくのが演劇だとおもったりする。 最近、人の嘘かホントかが、前よりわかるようになってきた。 あきらかな嘘をつく人は近くにいないけど、なんだろう、つた

「人形の家」についてつれづれと

私は戯曲を香盤表をつくりながら読むのが大好きだ。大雑把な流れを通しながら俳優たちの動きを眺めていると演劇の舞台裏と表を両方鑑賞しているような気分になってワクワクする。 イプセンの「人形の家」を読み返した。イプセンおじいちゃまは素晴らしい、ということに感動した。 近代演劇を確立したというだけあって、呼び鈴の入ってくるタイミングとか、全幕通しての会話の流れとか、緩急とか読者を飽きさせないタイミングで知らされる新事実とか、今ある舞台の基礎の基礎といわれるものががギュッと詰まっている

戯曲ってなあに?三島由紀夫『近代能楽集』

日本の戯曲は文庫化されているものが本当に限られることを実感した会でした。文庫化したけど絶版になっているものも多くて、現在手に入るのは、ハヤカワ演劇文庫だけど、それでも高価だったりするので避けました。 日本代表として選んだのは三島由紀夫『近代能楽集』。 近代能楽集には8つの作品がある。 能は「シテ」と呼ばれる主人公中心主義でできている。ストーリーと設定はとてもシンプルだし、構成も起承転結がしっかりとしている。 今回読んだのは「葵上」。 葵が入院している病院に夫である光が見舞い

機構図のすすめ にかいめ

生まれ育った土地のことを好きな人はどのくらいいるんだろう。こっちにもどってきてから、地元愛にあふれる人たちや、地元を盛り上げようとしている人たちに何人も出会った。なぜこの人達は、こんなにもこの地に愛情を注げるんだろう。私の目にそんな人達はとても眩しく映った。 「私がおかしいんだろうなぁ。」 そう思いながら、月日を重ねるに連れて、旅行で訪れた人に問われると求められる以上の答えを返すようになり、移住してきたひとには地元あるあるを笑いをまじえながら繰り返すような技を身に着けていた。

正しい家族と間違った家族

小さい時の話です。海外ドラマの「フルハウス」が好きでした。知ってます?3人のお父さんが子育てをする家族の話。楽しそうだなぁって、もし家族をもつならあんな楽しい家族がいいなっておもってました。 小学生くらいのころだったと思います。母親にお母さんしかいない友達の話をしたら、母は小声になって「かわいそうだね」って言ったんです。理由はわからないけどもやもやしました。これは中学生のころですが、父と全く会話をしなくなった時期がありました。そのとき、提出物の保護者の欄に母の名前を書いたこ

不在通知 カミイケタクヤ 展

主人のいない「無人アトリエ」で鑑賞者がたった一人で作品を鑑賞する。カミイケタクヤさんの個展「不在通知」に行ってきた。 会場は香川在住の彼自身のアトリエ。コロナだからというより以前から考えていたものとのこと。 予約後に送られてきた案内文に従って、アトリエの扉を開けて足を踏み入れる。なにも悪いことしてないのに、いけないことしているみたいだった。 作品を観て、しまった、と思った。 この作品は触りたくなる。 監視の目がないこの空間は普段の展示より自制心が試される。だから頑張って

機構図に出会う はじまり

図書館のないまち うちのまちに図書館がないことは知っていた。図書館がないまちにすみつづけるということが辛いけれど住み続けているのは、生まれ育った街だからとしかいえない。そのことが良いことなのかどうか、居心地がよいのかどうかを常に問いかけている。 コロナで身動きが取れなかったある日、町役場に勤めていた友人にLINEを送った。国から各市町村に補助金が分担されるという話を聞いたからだ。 「舞台の企画書とか、補助金の申請とかってどこに持っていけば協力してくれるの?」「うちのまちに

一つの街の文化を変えるのってとりあえず50年は必要で、プロデューサー的な人が3人いるのがいいって話を聞いたことがある。モノ王国づくりより、三者三様、出自も毛色も違ったほうがいいってこと。理想論だけど、その業界が活性化するために共存共栄ってこと。