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見た目と裏腹に。<夫婦世界一周紀101日目>

旅行中は新陳代謝の繰り返しだ。無尽蔵に増えていく各国のお土産たちに反比例するように、常に旅の持ち物を見直し、処分していく。

帰国間近となって、いよいよ家族や近所の人たちに渡すようなお土産のスペースを確保しなければならず、ものすごい勢いで持ち物を整理した。ニウエから飛び立つ時にこれは要らないよねと現地の人にプレゼントしたのは虫除けスプレーだった。

ところが、これが間違いだった。乗り継ぎのための滞在をしていたブリスベンが夏だということは知っていたが、現地の人もびっくりの酷暑に見舞われていたのだ。昨日まではそこそこ秋っぽい気候だったというから運が悪い。日本で言う蚊柱みたいなものがそこかしこに立ち上がり、宿の窓の隙間から絶え間なく蚊が侵入してきた。そんなに暑くならない土地なのか部屋にはエアコンがなくて、むわっとする湿度は去りし日のスリランカを思い出す。この上なく不快だ。

世界旅行に行く前、特に怖さを感じていたのは感染症だった。予防接種は受けたものの、マラリアに関してはもっとも危険と言われる地域には行かないこともあって特に準備しなかった。毎日錠剤を飲まなければならず、副作用もある。酒と薬は相性が悪い。タイ滞在中にビールが飲めないとと聞いて即刻却下したのだ。

そのかわり、先輩世界旅行者がしきりに勧めていた押すだけベープだけはしっかり持っていくことにした。最強濃度、ストロングのやつだ。スリランカの宿では部屋で一回プッシュしただけでアリがのたうち回るのを見て効果を確認出来た。多分呼吸困難を誘発する成分でも入っているんだろう。その後に出てきた巨大グモには直接吹きかけてもうんともすんとも言わなかったので、大型の動物にはてんで効かないけれど、重宝していた。

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外に出ることが出来ない今、旅をできること自体に価値が生まれつつあります。僕たちが見てまわった世界はもうないかもしれないけれど、僕らが家にいる時にも世界は存在していて、今日もトゥヴァだってニウエだってある。いつか全てが終わった時に、あそこに行きたいと思ってくれる人が一人でも増えたらいいなと思って、価格を改訂しました。 無料で公開したかったのですが有料マガジンを変更することが出来なかったので、最安値の100円に設定しています。

2018年8月19日から12月9日までの114日間。 5大陸11カ国を巡る夫婦世界一周旅行。 その日、何を思っていたかを一年後に毎日連載し…

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