波の荒い磯に下りると、目の前にヒラメがほよほよと泳いでいた。水深50センチのところに体長50センチ。目の錯覚かと思うほどでかい。

ロマンを感じる海ではあるけれど、やっぱりここは異国だし南国だ。

「サメ？いるいる。近くで魚の内臓を捨てる奴がいて、この辺りを4メートルくらいのサメがいつも周遊しているんだよね。一度追いかけられたことがあって肝を冷やしたなあ」

怖いのはサメだけではないらしい。太さ20センチを超える丸太のようなオオウツボとか。咬まれたら致死量の3倍の毒を持つらしいウミヘビとか。

「ウミヘビはいるけど口が小さいからほとんど咬まれないよ。子供は尻尾を掴んで回して遊んでいるよ」

現地の人の話はアテになるようで全く説得力がない。現に僕は犬に追いかけ回されて肝を冷やしたし、そもそも現地の人だって犬に噛まれてるのに安全だの一点張りだ。自分の身は自分で守るしか無いということだろう。

とはいえ、海はすさまじく美しかった。水深6メートルくらいの海のそこがはっきりと見えて、アジの大群にでくわしたり、時々ウミヘビに遭遇したり。沖縄の海も霞むほどの圧倒的な美しさだ。さすが透明度100メートルは伊達じゃない。