季節外れの大きな風が吹いてきて、飛行機のエンジンを埃まみれにしたせいで、ハワイからの出発は8時間以上遅れ、僕たちは乗り換えの飛行機を失い、経由地のシドニーで足止めをくらうことになった。

最初は憤慨していたが、よくよく確認してみると、僕は今日どこの宿も予約していないことが分かった。ハワイからシドニーに移動する際に時差によって1日分長くなり、ニュージーランドに行くとまた1日分短くなる。ちょうど日付が変わるか変わらないかのところが着陸時間だったこともあって、勘違いしていたのだ。

下手したら入国審査で引っかかっていたかもしれないし、空港近くで法外な金額の宿に泊まることになってしまっていたかもしれなかった。たまたまカンタス航空が定めている100%航空会社側の責任ということで、無料のホテルがあてがわれた。

なんという幸運だろう。ほっと一息ついて受付のカーペットに目をやると、そこには大きなアヒルのシルエットがあった。ぎょっとして見返すと、それは見間違いでもなんでもなく、確かにカーペットに印刷されていて、どうやらそのホテルのシンボルマークらしかった。

部屋は二人で寝るには十分すぎるキングベッドに、ガラス張りの浴槽が鎮座するスイートルームだった。

うーちゃんのおかげかもしれない。

そう思わずにはいられなかった。