最近、健康診断で血圧が高めと言われた方へ

最近、健康診断で血圧が高めと言われた方へ(1/4)

こんにちは。フィジカルトレーナーの大森です。
今回は血圧のお話しです。
健康診断でまず気になる検査は血圧と血液検査ではないでしょうか。

血圧も血液検査も自分の感覚としてはあまり自覚がないうちに、徐々に数値が不安定になっていくものです。
ですから自分が高血圧だという自覚がない方も多いです。

高血圧と呼ばれる分類は日本高血圧学会のガイドラインで基準が作られています。
ガイドライン2019では75歳未満の高血圧基準は以前のガイドライン2014(前回の基準)と変わらず、高血圧基準は従来通りの140/90mmHg以上とする一方、降圧目標は、75歳未満は130/80mmHg未満、75歳以上は140/90mmHg未満と厳格化されました。

また分類名の変更はありますが数値の設定に大幅な変更はありません。血圧は毎日一定の数値でありません。
寝不足や疲労、気圧の変化などでも変化してきます。
また1日の中(朝・昼・晩)でも変化をします。

最近、血圧が高いなと感じた人は、焦らずまずは生活を見直しましょう。

今回のコラムのポイント

決まった時間(朝起きた時など)に2週間ほど数値を記載して経過を観察する
自分のできる範囲で生活習慣(食事・睡眠・運動など)を見直す

最近、健康診断で血圧が高めと言われた方へ(2/4)

みなさんは食事・睡眠・運動は見直されましたか?

上記の3つをザックリ考えると

①食事:塩分を減らす
②睡眠:睡眠負債を抱えないようにすることで自律神経を安定させる
③運動:定期的に体を動かし、自律神経の安定と血流循環の向上、エネルギー消費を増加させる

このような感じになります。

特に遺伝子検査でAGTにリスクを持っている方は、①の塩分のコントロールは必須ですね。

もちろん管理栄養士の方々にどのような食事にするのが良いかなどは、いろいろアドバイスをもらってください。

今回の私のコラムでは①塩分コントロールについて、「運動の分野」から考えていきます。

運動による塩分コントロール

運動の種類によっても変わりますが、そもそも運動を行うとどのような身体の変化が起こるでしょうか。
※ここでは心肺機能、血液循環については触れません。そこは次回に!

簡単にいうと、筋肉がエネルギーを消費するときに「熱」が発生します。
その熱を体から逃がすために、汗をかきます。
よく熱中症対策で耳にする「運動で失われた水分とミネラルを素早く補給」がイメージしやすいですね。

つまり運動すると体温を下げるために汗が大量に出ることで、水分とミネラルが失われるのです。
このミネラルには塩分も含まれます。
ですから、熱中症対策には水分の補給だけは不十分でミネラル(塩分)も摂取することが必要だと言われていますよね。
考え方を変えてみると、身体をしっかり動かして、エネルギーを消費しながら熱生産を行うと、水分とミネラル(塩分)を減らすことができるとも言えます。

もちろん、塩分感受性が高くなりやすい方は、摂取量には気を付けたいです。
でも摂取量ばかりに目を向けずに、消費することに意識を向けることも重要ですね。

そこで、熱生産を増やすために重要なのは筋力トレーニングを行うことです。
特に大筋群と呼ばれる身体にある大きな筋肉のスイッチを入れて活発に動かす準備が必要です。
そこにプラス、軽めの強度で良いので20分程度の有酸素運動が加わるとベストです。

塩分をコントロールするトレーニングプログラム

 ①筋力トレーニング(主に下半身と背中)
  1)スクワット
  2)フロントランジ・サイドランジ
  3)ヒップリフト
  4)ローイング
  ★各種目15回×2~3セットを目安

 ②有酸素運動
  まずは軽めの強度(息苦しくない範囲)で20分ほどの有酸素運動

もちろん、自分の体力に合った運動強度の設定をすると、より効果的です。その際はお近くの専門家にご相談くださいね。
また血圧が高い日や、体調がすぐれないときには無理はしないようにしてください。

今回のコラムのポイント

摂取量を減らすことも大事
消費量を増やすということも大事

最近、健康診断で血圧が高めと言われた方へ(3/4)

高血圧の方に、お伝えしている生活習慣を見直して欲しい内容は以下の3つでしたね。

①食事:塩分を減らす
②睡眠:睡眠負債を抱えないようにすることで自律神経を安定させる
③運動:定期的に体を動かし、自律神経の安定と血流循環の向上、エネルギー消費を増加させる

前回のコラムでは①についてお伝えしました。

さて今回のコラムでは②の睡眠負債を抱えないようすることで自律神経を安定させることに着目していきます。

睡眠負債を抱えないようにすることで自律神経を安定させる

高血圧については前述の通り、AGTのリスクの把握は重要でした。

今回着目する、睡眠についてはOPN4やPER3の影響も考慮していきましょう。

さてそもそも血圧と自律神経の影響についてですが、若者の貧血(立ち眩み)や高齢者の一時的な高血圧の症状は、寝不足の時などに多く発生しています。

人間の体は自律神経の交感神経と副交感神経が常にバランスを取って体を調整しています。

しかし、寝不足のような症状が続くとその体内バランスを不調にさせる原因となります。

通常は体が動くときに交感神経が優位になり、身体が休む時に副交感神経が優位になります。

しかし、寝不足などで自律神経のバランスが崩れると、身体を休めるはずのタイミングで体が興奮したり、身体を興奮させたいタイミングでリラックス(怠いような感じ)してしまうこともあります。

そのバランスの崩れが立ち眩みや、めまいのような症状として現れてくる場合もあります。

それだけ睡眠というのはとても重要ですね。

さて長くなりましたが、今回のコラムでは心地よい睡眠の入り方について解説します。

前述の通り、

①OPN4は光の影響で体内時計が崩れやすいリスクを持っている

②PER3は体内時計が崩れやすいリスクを持っている

でしたね。

①の方は光の影響を受けやすい体質ですから、就寝前のスマホやテレビはかえって体を興奮させて寝つきを悪くする恐れがあります。

②の方は体内時計が崩れやすい体質ですから、規則正しい生活をすることが重要ですね。

ここでいったん整理すると…

光を浴びる=目が覚める=交感神経が優位になる=興奮する
暗くなる=眠くなる=副交感神経が優位になる=リラックスする

これが基本です。

人間の身体の構造的に、興奮を一瞬で起こすことはできますが、リラックスを一瞬で行うことは難しいです。

眠たいときに、ドキッっとすると一気に目が覚めることがあるのが証拠です笑。

つまり、一度体を興奮させてしまうとリラックスするまでには時間がかかるということは、ぜひ覚えておいてくださいね。

①OPN4にリスクがある人ができる対策

①の方は就寝前に光を浴びてしまうと、興奮した体がリラックスしにくく、寝入りが悪くなったり、浅い眠りになりやすくなります。

どうしても、寝る前ぎりぎりまで、スマホやテレビを見なくてはいけない状況があるのであれば、いまはやりのブルーライトをカットする眼鏡やシートをはることもおすすめです。

あと時間の短縮も重要ですね。

ちなみに、時差ボケを直す方法として推奨されているのは、朝起きて日の光を浴びて、体内時計を整えることです。

②PER3にリスクがある人ができる対策

②の方の体内時計を安定させるためには、まずは寝る時間を決めることは重要です。

あとは人が眠りに入りやすい状況を作り出すこともおすすめです。

睡眠に入るときの身体のリズムは、体温が一度上がってから、落ち始めているときに眠りに入りやすいというデータがあります。

ですから、入浴後一定時間経過後に就寝するリズムを作ると、体内時計や、寝入りに良い影響を与えると考えられますので試してくださいね。

ただ注意したいのは以下です。

熱いお風呂は体がかえって興奮します。
また体温よりも低すぎる温度も身体は興奮します。
そして水分が不足しても身体は興奮します。

お風呂の温度調整や、長風呂による水分不足にも注意は必要ですね。

今回のコラムのポイント

血圧を安定させるためには自律神経を整えることが重要
自律神経の安定には質のよい睡眠が重要
質の良い睡眠を取るためには、体内時計を整えることが重要

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前回までのコラムで高血圧の方に、お伝えしている生活習慣を見直して欲しい内容は

以下の3つと書いてきました。

①食事:塩分を減らす
②睡眠:睡眠負債を抱えないようにすることで自律神経を安定させる
③運動:定期的に体を動かし、自律神経の安定と血流循環の向上、エネルギー消費を増加させる

前回のコラムでは②についてお伝えしました。
さて今回のコラムでは③の運動の効果について着目していきます。

血圧を下げるための運動

血圧を下げるためにはどのような運動が良いかわかりますか?

前回までのコラムを考えると、「生活に運動を取り入れる」「散歩する」だけでは不十分であることはイメージできたでしょうか。

実はですね
人それぞれ必要なものが違うんです。
運動習慣を身に着けても、散歩を行っても効果がでないこともあるのです。

ここであえて、身体のパターンを3つに分けてみます。

①心肺機能の低下が起きている人
②筋力低下が起きている人
③血液循環が悪い人

上記の方々にはそれぞれやるべきことが変わります。

ハッキリ言えば、寝たきりの状態から運動を始めるのであれば、どのようなものを行っても効果はでます。

しかし、ある程度日常生活を繰り返している人にはそれなりの負荷をかける必要があるのです。

①心肺機能の低下が起きている人がやるべきこと

運動不足などによる、心臓、肺の機能が低下していることにより心肺機能に負担が掛かって人です。

この方たちがまず行うことは体を動かす頻度を増やすこと。

まずは苦しくない程度の強度で、短い時間から体を動かすことをお勧めします。

頻度もまずは週1。慣れてきてから週3日ぐらいまで実施できるようになってくると良いです。

おすすめプログラム
 
〇ウォーキング、自転車、プール
 〇心拍数120程度(人によって数値は異なる)を目安に実施
    〇10~15分
    〇息が切れない程度の強度

上記の頻度で少しずつ運動に慣れてくれば、2ヶ月ほどで変化は出てきます。その後の強度、頻度は、また調整が必要です。

②筋力低下が起きている人がやるべきこと

全体的に筋力が低下し、ウォーキングなどの運動を繰り返すと、関節の痛みが出やすくなります。

また全身の筋肉がポンプの働きをして、心臓の負担を軽減してくれます。

冷え性のヒトにも大きな影響を与えますのでしっかりと筋力が働くようにしていきたいですね。

おすすめプログラム
 〇筋力トレーニング
 〇スクワット、ランジ、腹筋、背筋、ローイング(背中を多く使う種目)
 〇15回×3セット
 〇筋肉に少し疲労が溜まるように実施
 〇週2~3日は実施

上記の頻度で少しずつ運動に慣れてくれば、3ヶ月ほどで変化は出てきます。その後の強度、頻度は、また調整が必要です。

③血液循環が悪い人がやるべきこと

 基本的には①②の二つの影響が重なって出ている場合が多いです。
 特に自律神経などの影響も多くでている可能性がありますので、しっかりとした強度設定が大切です。

おすすめプログラム
 〇エアロバイク
 〇心拍数110以下
 〇10分
 〇疲労を感じないが、汗が出てくる強度 ※自覚的にはかなり軽めの負荷がちょうどいいです。
 〇できれば2週間毎日実施

上記の頻度で少しずつ運動に慣れてくれば、1ヶ月ほどで変化は出てきます。その後の強度、頻度は、また調整が必要です。

さて、みなさんはどのパターンに当てはまりますか?
分からない方はお近くの専門家に相談してみてくださいね。

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