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サンフランシスコで「マーラー2」を聴く

4ヶ月前に見にいったコンサート。忘れる前に感想でも書いておかなくては。
10月2日 サンフランシスコ交響楽団+トレバー・ウェストンのコラボレーションコンサートだ。久しぶりに日曜日が暇だったので、母と二人で聴きに行った。サンフランシスコ交響楽団は1911年に結成されたオーケストラで、現在はデービス・シンフォニホールで定期公演を行っているようだ。
トレバー・ウェストンはサンフランシスコが開催した「黒人作曲家プロジェクト」でデビューした54歳の音楽家。経歴としては、マサチューセッツの私立大学のタフツ大学から卒業後、学士はカリフォルニアのUCバークレーで獲得。その後も芸術界隈で有名なジュリアード音楽院で教師を務めていたり、別の大学でも音楽学部長だったりと、デビュー前からも既に幅広い活躍を見せてきた方だ。
コンサートは二部構成で、前半がトレバー・ウェストンの最新曲、「Push(プッシュ・押す)」のワールドプレミアだったのだ。
1部では、ウェストン氏作のPushが披露された。題名の由来は有名作曲家ドヴォルザークがアメリカ移住から帰国する時に放たれた名言、「新しいものに対するアメリカ人の熱意は底知れぬものがあるようだ。それは、いわゆる『アメリカン・プッシュ』の真髄である。」を元にしたらしい。
1曲目の「Cycles」は華やかな20世紀初期のアメリカを演出させた感覚。希望を握りしめ、新しい発見を求む好奇心、アメリカの都会へと旅立った世界中の人たち。
2曲目の「the Memoriam」は比較的、切ないトーンが終始コンサートホールを響き渡す。朝に優しい光が窓を差したトーン。
3曲目の「City Quiet」。まるで都会の夜の街。日中は人で溢れている都会が急に寂しく、静かになる切なさが聴こえる。
最後の曲、「Beat Drop」は希望を纏ったアメリカのイメージが感じ取られる。2、3曲目の寂しげな雰囲気とは全く違う。どちらかといえば、飛躍的なトーンが金管楽器の音から響き渡ってた。
2部では、マーラーの交響曲第2番「復活」が演奏された。1部で聴いたウェストンの曲とは全然違う雰囲気が纏っており、さらに立体的な音が放たれてた。この曲のインスピレーションはマーラー自身が1892年に作曲した「子供の不思議な角笛」を元にしたらしい。また、クロプシュトックのオルガンと合唱によるコラール「復活」を聴いた時に感激し、自分の曲にもその要素を足すことにしたんだとか。
4楽章からはオーケストラの他にも独唱が加わってたり、最終楽章には豪華な盛り上がりのフィナーレで曲が閉じてたり、総合的には華やかなコンサートだった。
やはり煌びやかさや風光明媚なのは生のコンサートだな。一瞬一瞬のリアルな空間をホールで感じ取れるのが、いいのかもしれない。
リンク:https://www.sfsymphony.org/Buy-Tickets/2022-23/Salonen-Conducts-Mahler-2 
https://www.sfsymphony.org/Discover-the-Music/Articles-Interviews/Articles/Composer-Trevor-Weston-Pushing-Ahead


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