今のぼくの話 ~久しぶりの遠出~

 家から徒歩とバスと電車で片道1時間半くらい。今のぼくにとってはなかなかの遠出です。

 岩見拓馬の弾き語りイベントに参加するために昨日、その遠出をしました。

 イベントの開催場所はフルクタス酒場。スパイスの効いた創作料理と数種類のクラフトビール提供が売りの、大阪メトロ本町駅から程ない距離にあるお店です。
 岩見拓馬について、彼はぼくがいちばん好きな音楽アーティストで、7歳違いのぼくの大事な友人です。ぼくは普段彼をわみさんと呼びます。
 ただのいちファンからスタートして、付き合いはいつの間にやらもう4年。ぼくをぼくたらしめんとする要素でわみさんをきっかけに得たものは少なくないです。

 ぼくが闘病中の1年とちょっとの間、わみさん関連のイベントが幾度も開催されて、その度に行きたいと思い断念したか。ずっと心待ちだった分殊更今日のイベントが楽しみで楽しみで、終わった今しっかりと幸せになりました。幸せになってどっと疲れた。
 疲れた理由は体力不足は然ることながら貧血が大きい。体の回復は上々ながら赤血球の数値だけが伸びない。悩みです。

 寛解&退院して2ヶ月が経って、ぼくは相変わらず病人です。

 同日の朝8時にNHKで「病院ラジオ」を見ました。広島の日赤病院で、サンドウィッチマンのお二人がパーソナリティ役、ゲストは入院患者や外来患者が入れ替わり立ち替わり。がんに罹った方の出演が多かったです。観れば観るほど他人事とは思えない内容が流れて、朝食を食べ終わっても番組の最後までテレビの前から動けませんでした。
 イベントで久しぶりに「Music」を聴きました。「Music」はわみさんのオリジナル曲で、曲の一節に「辛いこともたくさんあったし 息苦しくて涙もこぼれた」という歌詞があります。その言葉で一気に我がことのように歌に惹き込まれました。元々好きだった曲をもっと好きになりました。

 生活の端々で病人としてのぼくを感じます。

 前回の記事「ポジティブ人間が白血病になった話」、反響があって嬉しかったです。あそこで「白血病に罹ったぼく」は一旦書き切ったつもりでした。次の記事は白血病とは無縁のことを書こうと。結局筆が進んで、ぼくは今回も“罹患したぼく”と一緒にこの記事を書きました。
 切り離そうとして、切り離せなかったんでしょうか。
 白血病は大嫌いです。でもぼくは病人であるぼくを嫌いじゃない。ぼくは今のぼくと今のぼくの周囲が好きで、病人のぼくも、ぼくを今のぼくたらしめんとする要素だから。
 切り離したかったわけじゃくて多分、闘病経験がいかに自分の中で大きいか知らなかったんだ。知って、改めて病人になったぼくを受け入れようとしたんだ。
 ぼくぼくぼくぼく(笑)。

 イベントの話から逸れちゃった。

 イベント時の店内の情景を共有したい。お客さんはキャパいっぱいの13人でL字の大きなカウンターに並ぶ。ぼくの位置は店に入って奥辺り、全員の顔が見渡しやすい。わみさんと店主のふるくくんはカウンターの向こう側。わみさんが演奏する度にぼくを含むファン達は意識が釘付けになって、ふと見回せばその様子が顕著に見て取れて楽しい。
 フルクタス酒場のごはんを頂くのは1年ぶりでした。ぼくはカレーとハンバーグを頂いて、とても美味しかった。オススメしたくなる美味しさ。他にもメニューがあって、お腹が許せばもっと注文したかったな。
 13人の注文をほぼワンマンで捌いたふるくくん、お疲れ様でした。フルクタス酒場開店1周年おめでとうございます。
 ありがたいことにその場の皆さんから退院を祝ってもらいました。はじめましての人も多い中。ご厚意で占いの宣伝とか、お誘いとか、とかとか、色々頂いて、こんなに恵まれて良いのかって。温かったです。

 行って良かった。行き帰りでどれだけ疲れても行って良かった。これまで頑張って生きようとして良かった。
 この感動は幸せで、過程から結果まで全部大事で、これは今のぼくだからこそ受け取れたものだと思いました。そう思える今があることにありがたいと思いました。
 人も歌もごはんも全部良かった。もちろんまた行きたい。

 って感じで、今回を締めようと思います。
 前回の記事が「これまで」だったから今回は「今」かな。今のぼくの話。久しぶりの遠出でした。

 岩見拓馬とフルクタス酒場をご存知ない方は是非チェックしてみて。

〈岩見拓馬〉


〈フルクタス酒場〉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?