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私は残念な人

私は残念な人だ。

子どもの頃、
当時の歌謡曲はストーリーが見えるような歌詞が多かったので、
ただ歌手が歌っているところを撮ったビデオではなく、
ドラマ仕立てのビデオを作ればいいのに・・・と考えていたら、
マイケル・ジャクソンの「スリラー」のミュージックビデオが発売された。
「これ!これ、これ!
やっと私が思っていることを体現してくれる人が出てきた」と思った。

私は大のテレビっ子で、CMも大好きだった。
だからTV鑑賞中はトイレに行く暇など無かった。
そんな毎日の中で「CMだってドラマ仕立てに出来るんじゃないかな。
例えば第1話を1週間、第2話を1週間・・・って放映していって、
一つのストーリーにするとか」と考えていたら、
「24時間働けますか」のキャッチフレーズで流行した栄養ドリンクが
そういうCMを作ってきた。
「まあ、私が思いつくくらいだから、誰だって思いつくんだな」と思った。

看護学生の頃教えられた褥瘡ケアは「除圧・乾燥・マッサージ」だった。
学内演習で円座(ドーナツ型の細いクッション)作りもやった。
その時、「確かに円座で傷口部分は除圧されるけど、
この円座が当たる部分は圧迫されないのかなあ?
血流が阻害されたりしないのかなあ?」
「そもそも皮膚の下は常に体液があって、潤っている状況で
栄養補給されたり、白血球が戦ったりしてるんだけど、
なんで褥瘡は乾燥の方が良いのかなあ?」と思っていた。
グズグズ考えて、授業が終わる頃には
「ま、こういうやり方が伝承されているということは、
何か上手く仕組みがあるんだろう。
きっとどこかで誰かが上手くやってくれているんだ!」と思った。
卒業して一年後、褥瘡ケアの基準は「湿潤環境」になり
円座による除圧とマッサージはしてはいけないことになった。

学校の症例研究でマズローのニード論を用いたときは、
どうも私の考察と合わないところがあるなあ、
この症例には当てはまらない部分があるなあと思っていた。
先生にはそれをそのまま書けば良いと指導されたが、おバカな私は
「有名な理論を否定するようなこと言っちゃって良いのかな?
馬鹿にされないかな?」と不安になっていた。
後になって、ニード論は大理論なので当てはまらないことも出てくると
世界中の偉い看護師が言っていることを知り、
「なんだ~、私、良かったんじゃん」とニヤリとした。

経済的に明るくない日本が今後世界に誇れるのもは何かと言ったら
精神性だと思っている。
今の精神性がそのまま良いと言っているのではなくて、古くからの、かな?
若い人には馬鹿にされそうだけれど忍耐強さとか勤勉さとか誠実さとか
和を重んじる心とか、大切なものを日本人のDNAは持っている。
よく世界と比較して、世界と違うから遅れているとか何とかいう風潮には
閉口する。
違っていて当たり前なのに。
歴史を見て、文化を見て、バランスを見て、
偏りすぎているものは是正するとして、
それでも良いものは良いのだ。
最近樹木希林さんが同じ事を言われていたと知って
「やっぱり!?」と思った。
日本人の魂とおもてなし文化は誇れると思う。

そう、私の視点は悪くない。
しかし幼かったり、考えることをやめてしまったり、
表に発信しなかったことで終りになってしまっている。
残念だなあ、私。

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