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8才の少女は、その歌を歌い続けた(前篇) 〜 SDGs・探究への招待 #134 ~

 以下の内容は、勤務している高校で全生徒向けに実際に配信した記事です。高校名や直接特定につながりそうな部分等は伏せたりぼかしたり削除させてもらいました。また、1回で一気に配信したのですが、noteでは500字~1000字程度に分けて掲載します。校内の生徒向けの文章です。内容・表現等、偏っていたり適切でないところもあると思いますが、ご容赦ください。


3/5【Project ●●SDGs Vol.128 】 3.11


 1・2年生のみなさんはもちろん、卒業生のみなさんにも、読んでほしいです。

 2011年12月のことですから、3.11からまだ一年も経っていないころです。NHKスペシャルで『震災孤児1500人』という番組を見ました。たまたま録画していて、今日までに何十回も見てきました。

 その番組では、2人の震災孤児を取材していました。今回はそのひとり、「海音(かのん)」ちゃんのお話をみなさんにします。

 取材当時、彼女は小学2年生、8才でした。ですから2年生のみなさんと同じ年齢です。

 海音ちゃんは、両親と、2つ上の姉を津波で亡くしました。そして取材時点では、被災を逃れた祖父母に引き取られて暮らしています。祖父母は70歳を超えています。

 お父さんは仕事中に津波に呑まれました。
 お母さんとお姉ちゃんは、海音ちゃんを学校に迎えに行って行き違いになってしまい、車で海音ちゃんを探しているところを津波に呑まれました。

 震災から間もなく、お母さんの遺体が見つかりました。お母さんが遺骨となって海音ちゃんのもとに帰ってきたとき、海音ちゃんは「ママ、ママ」と言いながら、遺骨を撫でて声を立てずに泣いたそうです。
 その日から、海音ちゃんは二度と泣くことがなくなったそうです。

 番組の中で海音ちゃんは笑顔を絶やしません。普通の思い出話はたくさんしますが、家族を亡くした気持ちは決して話しません。そういう姿を見て祖父母は「海音の気持ちがわからない」と嘆き、心配します。 

 海音ちゃんは、寝るとき、一緒に寝るおばあちゃんに、「おじいちゃんとおばあちゃんは、いつまで一緒にいてくれるの?」と時々聞くそうです。祖父母は「私たちも先が長くないから、一体この先この子はどうなるのか」と嘆息します。


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