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エリア名をデザインする(前編)

AkeruE(アケルエ)のネーミングと共に施設内の各エリアの名前も考えました。現在、アケルエには8つのゾーンそれぞれに名前がついています。

これらはコンセプトづくりの比較的早い段階で考えて、各エリアの詳細を検討をするにあたってのタグラインとし、また空間設計やプログラムを具体化していく上での拠り所となるように企画。この分散する8つの世界観が関係しあってアケルエの全体像を構成するよう計画しています。エリア一つ一つは独立した機能をもちますが、それが隣り合って相乗効果が生まれる空間構成とエリア名をデザインしました。

アケルエは、様々な「センス・オブ・ワンダー(自然のなかで不思議なものに出会った時の驚きやワクワク)」に出会えるようにと企画しています。そこで、自然界、宇宙にまつわるものをネーミングの基本原則とし、STEAM学習を導入することから、数学や物理の歴史の原点であるギリシャ語やギリシャ神話をベースに統一しようと考え出しました。(AkeruEを逆から読んだEurekaもギリシャ語であり、アルキメデスが「ひらめいた!」叫んだとされています。)

まず、子供の想像力と創造力を養う学びに必要な、「不思議に出会う」「つくって遊ぶ」「伝えてつながる」というクリエイティブ・ラーニングの要素に必要なモットーをつくる。それと同時に、8つのゾーンと機能に落とし込むことで、それぞれの意味づけ、ネーミングに取りかかりました。

そして名付けたのが、GAIA(ガイア)、TECHNITO(テクニート)、CHAOS(カオス)、ASTORO(アストロ)、PHOTON(フォトン)、COSMOS(コスモス)そしてE(イー)とWORMHOLE(ワームホール)です。それぞれのネーミングの根拠と由来を紹介しましょう。

GAIA

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GAIA(ガイア)は、アケルエを訪れて最初に感じてもらう "センス・オブ・ワンダー" です。地球の循環する生態系を感じてもらう象徴的なオブジェ「アクアポニックス(Grow-Room)」など生態系や生物多様性にまつわる展示の設置を構想していました。地球の生態系はセンス・オブ・ワンダーそのものです。子供たちが広い宇宙に生命=地球が存在する奇跡とそのエコシステムの不思議に触れて、そこから様々なインスピレーションを得てくれたらとガイア(GAIA)としました。

CAOS

ガイアと同じフロアには、ものづくりが出来るアトリエ(レーザーカッターや3Dプリンターを設置)と、コトづくりやコラボレーションを促進するコ・クリエーションスペース(共創空間)を企画。クリエイティブな活動は、カオスな(=混沌とした)状態から生まれるという経験から、共創空間(=多様な人が集い交わり、共に何かを生み出す場)を、ギリシャ神話のカオス(CAOS)と命名。ちなみに「ガイアはカオスから生まれた」とされています。この場所で老若男女、多様な価値観の人が交流して、一緒に何かを企ててもらえるようにと名付けました。

カオス(古希: Χάος)とは、ギリシア神話における原初の神である。主神ゼウスをはじめとするギリシャ神話体系における原初の神であり、全ての神々や英雄たちの祖にあたる。 オルフェウスによれば、このカオスは有限なる存在全てを超越する無限を象徴しているという。 カオスの名は「大口を開けた」「空(から)の空間」の意味を持つ。(Wikipediaより)

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TECHNITO

ものづくりエリアは、ギリシア語の「TECHNITO(=人工のを意味する)」としました。テクニック(技術)の語源にもなったテクネ(テクノ)。テクネには、内在する原理を正しく理解した上で何かをする(あるいは作る能力)といった意味や、金細工師が持っている実用以上の装飾能力という意味があり、「テクネ」はアートの語源にもなっている。NHKにテクネという素晴らしい番組があることを考慮してテクニートと決定。

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アケルエはパナソニックセンター東京の2階と3階につくることが決まっていましたので、2階には、全ての創造の源であるカオス、カオスから生まれたガイア、そして地球上で人工的にものをつくるテクニートという構成となりました。ここに総合的なインフォメーション、コミュニケーションのE(イー)と名付けたカウンター(チケット販売、カフェ・物販の機能など)を加えることに。Eは、数学・物理・化学の分野で様々な意味を持ち、特にエネルギーを表し、もともと施設の同じ場所にあったe-feelカフェのオマージュでもあります。

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こうして、ギリシャ語を由来としてエリア毎の特徴と機能、個性を表現し、意味づけるネーミングを進めていきました。後編では、3階のネーミングの紹介とその垂直統合を紹介します。

後編はこちら

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