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【夢喫茶*Dream Cafe*(6)夢占い的でない初夢のひもとき方】

明けましておめでとうございます


本年もどうぞよろしくお願いいたします。

私が住むイギリスでは今年もニューイヤーズイブのカウントダウン前後、町中で花火が上がり、光と爆音の中で新年を迎えました。この新年の風習、何か清々しい気持ちになり結構気に入っています。

さて、新年の風習といえば、日本では「一富士、二鷹、三茄子」と、初夢によって一年を占うというものがありますが、皆様はこのお正月前後で何か印象に残るような夢を見たでしょうか?

今日はお正月にちなみ、「何かの始まりのときにみる夢」や「夢占い的ではない初夢への取り組み方」について少し書いてみようと思います。
 

夢占いと夢分析


以前日本に帰国した際に、『夢の本』(ホルヘ・ルイス・ボルヘス著、河出文庫)というのを書店で見かけて思わず購入しました。古今東西の書物の中から夢にまつわる部分を集めたアンソロジー形式となっていて、夢に対する逸話やさまざまな文化における夢の捉え方が紹介されている本です。

日本でも昔の人々が真剣に夢を受け止めていたことが文献などを通して伝わっています。他の文化でもそうですが、特に昔は夢を「神仏からのお告げ」「吉兆を占うもの」とみる傾向が強かったようです。ものすごくシンプルに言うと、

「この夢を見たので良いことが起きる/悪いことが起きる」

と一喜一憂する感じでしょうか。

一方で近代になってからは、良し悪しではなく、

「この夢は自分の内面や人生について何を伝えようとしているのだろうか」

というような夢への眼差しが強くなりました。こちらは、フロイトやユングなど精神科医、心理学者によって夢分析という形で広がり、今では各派に分かれて様々な夢への取り組みがなされています。「夢からヒントを得て、個人として成長していこう」というような姿勢は、特にユングがパイオニアとなって発展したものですが、この夢喫茶シリーズもそのような視点から夢についてお伝えしています。 

物事の始めにみる夢


ユングは、「精神分析や心理療法の初期にみる夢(イニシャル・ドリーム)には、その後のセラピーの過程や全体像が示されている」と考え、重要視していました。
 
彼は同様に、「人生の初期、つまり幼少時に見る夢も個人がその後の人生で取り組むテーマや過程について示している」として、子供の夢に関して研究を重ねました。これは、「子供のときに夢で見たことが本当になる」と文字通りに夢を受けとめるという話ではなく、あくまでも「夢の象徴的な意味を探り、それがその人の内面や人生とどうつながるかを見ていく」という視点です。
 
私が学んだプロセス指向心理学も、創始者のアーノルド・ミンデルがユング派分析家だったので、トレーニングの一部として子供の時の夢について時間をかけて取り組んだり学んだりしました。
 
今回のテーマである初夢も、「一年の初めの夢がその後の一年のことを暗示する」と考えるという意味では、上記と似ています。ただし、初夢の場合は一般には昔からの風習に習って「縁起が良いかどうか」という視点から見られることが多い、という違いがあります。
 

現代版・初夢のひもとき方のヒント


特に良い感じの初夢を見た時などは、個人的にはそのワクワク感や高揚感も大切にすると良いと思っています。そして、そこから一歩進めて心理療法の考え方も取り入れて探っていくと、より豊かに今年を生きるためのヒントが得られるかもしれません。

このときのコツですが、まずは昔からの初夢への視点(「この夢を見たら=この意味」「この夢を見たから良いこと・悪いことが起きる」)から、以下のような視点にシフトしてみましょう;

「この夢が、今年の自分にとって大切なテーマを伝えてくれているとしたら、それは何だろう」
 
例えば、「富士山の上から街を見下ろしている」という初夢を見たとします。

「今年は良いことがあるかも!」と素直に喜んだら(笑)、次に「この夢はどのようなテーマについて象徴的に語っているのだろう」と考えてみます。正しい答えはありません。

ある人にとっては、

「高い視点に立って物事を眺める」

というテーマが見えてくるかもしれません。

また、同じ内容の初夢を見た別の人は、夢の中の「街を見下ろしている」という部分よりも、「自然の中ですがすがしい気分がした」ということがより印象的だったかもしれません。その場合は、

「自然とのつながりを大切にする」

というテーマが見えてくる可能性もあります。

このようになんとなくテーマがわかってきたら、次に、「これまでの自分はそのテーマに関してどうだっただろう」と考えたり、一年を通してそのテーマについてより意識していってみます。例えば、

「最近、目の前のことに囚われてしまって、高い視点から全体を眺めてみることは忘れていた」

「これまで自然とのつながりを意識することは少なかったなー」

など。

最後に、そのことに関して自分にできそうなことを実行に移してみましょう。それを今年の目標にするのも良いですね。例えば以下のような感じです。

・「高い視点に立って物事を眺める」というテーマ:
→ 何か煮詰まった感じがしていると気づいた時に、心の中で、高い所から自分と自分がいる状況を眺める、ということをやってみる

・「自然とのつながりを大切にする」というテーマ:
→公園、森、山、海などに行って自然とつながる時間を増やしたり、心の中で過去に大自然の中に行った時の感じを思い出してみる

両者の場合とも条件が許せば、実際に高い山や富士山に登って、高い所から下界を見下ろしているときの感覚や、自然と一体になっている感覚をしっかりと味わうのも良いかもしれませんね。 

まとめ

いかがでしたか?今回は初夢を縁起を占うために使うことから一歩進めて、新年をより豊かに生きるためのサポートやヒントとしてみていくことについてお伝えしました。

<まとめ>

1)この初夢が、今年の自分にとって大切なテーマを伝えようとしてくれているとしたらそれは何か、という視点からみてみる
2)そのテーマについて、自分はこれまでどうだったかと考えたり、一年を通して意識してみる
3)その理解にもとづいて、(適切・可能であれば)これまでと違う行動を試してみる

 
初夢は、元旦の夜などに限らず、だいたいお正月の前後ということで大丈夫です。夢のひもとき方やコツについては、よろしければこちらの記事もご参照ください。

自分で夢の意味をとらえるのが難しい、サポートを受けながらゆっくりと夢をひもときたい、という方には個人セッションも提供しています。ご興味のある方は夢の内容は書かずに、お名前と夢セッションをご希望な旨を下記までメールにて坂元までご連絡ください( (at)の部分を@に変えてください)。
    hitomi (at) soulremedy.me  


皆様の2023年が実り豊かなものになりますよう心からお祈りしております。ここまでお読みくださりありがとうございました。

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