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強迫性障害の子どもの声と、その家族へ(後編)

いつものように、ゲームもYouTubeもない、一番話がはずむお風呂での会話。

私「ぴぃ、〇〇ちゃん、ぴぃと同じ、ミッケで学校行けなくなってるんだって。」

ぴぃ「え?どんな感じ?」

私「不安が強くて、何度も確かめたり、誰かを傷つけたかもって怖くなって、パニックになってしまうことがあるみたい。」

ぴぃ「ぴぃと同じじゃん。こんなに近くに同じミッケの子がいるなんて。」

私「〇〇ちゃんは、まだ3年生だから、怖い気持ちをうまく言葉にできない状態みたいなの。」

ぴぃ「そりゃそうだよ、ぴぃは4年生の時だったけど、それでも何が何だか分からなかったよ。ただ怖いだけで、それが誰にもわかってもらえなくてつらかった。病気とわかった今も、誰もわかってくれなくてつらいのは同じだよ。」

私「そっかぁ、誰にもわかってもらえないのはつらいよね。ママはね、〇〇ちゃんのママのお話聞いて、すごく気持ち分かるってことが多かったの。ぴぃは〇〇ちゃんの気持ち、わかってあげられる人になれるんだね。」

ぴぃ「わかるよわかる。一番わかるよ。〇〇ちゃんに怖いよね、でも時間がたてば大丈夫なこともあるよって教えてあげたい。学校のことも、考えちゃうかもしれないけど、考えない方がいいよって言ってあげたい。」

私「〇〇ちゃんはきっとまだ、ぴぃほど病気のことを受け止めきれてないかもしれない。今は怖いことたくさんあるけど、学校に行くために頑張っちゃう時期だと思う。考えない方がいいって伝わるかな・・・。」

ぴぃ「そうだね、ぴぃも必死だったわ。きっと今は何を言っても伝わらないかもな。」

私「ママ、ぴぃが言葉にできない怖さで一番辛かった時、ぴぃの気持ちをわかってあげられなくて、そんなの怖くないとか、イライラして、余計に苦しめてしまったり、悲しませてしまったことがたくさんあったと思う。」

ぴぃ「それはしょうがないよ。ママも病気のことちゃんと知らなかったんだから。」

私「〇〇ちゃんのパパとママに何か伝えられるとしたら、何があるかな?」

ここからは、ぴぃが感じていた思い、私達に望んでいたこと、一気に話し始めた。(簡単にまとめると以下↓)

・どんな些細なことでも怖がっている時は本当に本当に怖い思いをしている。
・怖がっているときは、何を言われても怖いから、怖さを受け止めてあげてほしい。
・怖くないとか、大したことないと否定したり、怒ったりしないであげてほしい。
・強迫観念は、時間の経過でクリアできることが多いから待ってあげてほしい。
・大丈夫だよと、抱きしめてあげて、時間が経つのを待つか、ゲームとかで気を逸らしてあげてほしい。
・〇〇ちゃんの安全地帯になってあげてほしい。そばにいてあげてほしい。
・怖さに耐えることはストレスでしかないから、できる限りいろんなことに制限をかけないであげてほしい。(ゲーム時間、早寝早起き等)
・やりたいことをやれてる時間は不安が軽減されて安心している状態だから、安心させてあげてほしい。

これ丸ごと、一番最初に知って起きたかった。

後に、心理士さんから言われた事もたくさん含まれてる。

とにかく「安心」が一番ほしかったんだなと、改めて気付かされた。

病気のこと、ぴぃの気持ち、分からなすぎて、「そんなの大丈夫だよ」と小手先の安心に走っていた自分を思い出す。

イライラしたり、突き放したり、逆ギレしたり、安心を欲しがるぴぃに不安を重ねてしまっていた。

聞きながら、胸が痛くなる思いだった。

「今なら〇〇ちゃんを少しでも楽にしてあげられるかもしれないから。力になりたいから、今伝えてあげてほしい。」

とぴぃは言った。

とりあえず、ぴぃが言っていたこと、そのまま伝えた。

ただ正直、家族はこの対応を落ち着いてできるかといえば、難しい時もあると思う。

母親にしてみれば、母として自信を失って、自分自身も見失っていたとしたら、心の余裕もなくて、受け止められるほどのエネルギーがわかない。

ゲームやYouTubeに制限をかけないことも、昼夜逆転を見守ることも、不登校を受け入れることも、自分が整っていく過程でようやくできるようになったのだ・・・私は。

正直、ぴぃの気持ちを伝えたことが、余計にプレッシャーになってないか、伝えてよかったのかどうかという迷いが今もある。

でも、ぴぃが一番辛かった時、ぴぃの気持ちが分かってあげられなくて、何もできなかった自分に後悔が残っている以上、伝えておきたいという気持ちが上回る。

だから、ママちゃんに「自分に優しくする」ことも、添えてみる。

もしかしたら娘ちゃんのことに必死すぎて、そんな余裕もないかもしれない。

でも今の私が、ぴぃの未来に希望を持てていることで、自分に優しくすることが本当に大事なことだったと身をもって感じている。

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