すめらみこといやさか

ネトウヨ系の「日本スゴイ」のニュースなんかで、よく「世界に冠たる日本の皇室」という記事があるけど、万世一系かどうか知らないけど、これだけ続いて来た理由はただ1つ。

天皇が独裁者でなく、たぶん権力者ですらなかったから。

だから天皇を倒そうという意図はほとんど存在しなかったし、自分が天皇になろうとする人間もいなかったのだ。

日本国憲法が「アメリカ製の押しつけ憲法だ」という議論がよくあって、それはそれなりに事実なのではあるが、その中に「天皇は国民統合の象徴であって」という、いわゆる「象徴天皇制」の記述がある。「象徴」とは「シンボル」の訳である。これをネトウヨな人々は「けしからん」「天皇は元首だ」「日本の伝統に反する」とか言ってるのだが。

「菊と刀」で知られるように、アメリカは太平洋戦争のかなり早い段階から来たるべき日本占領に向けて日本についての研究を行っていた。その中で、この「天皇はシンボルである」という結論を導き出したわけだ。これは慧眼と言うべきだろう。これは、ネトウヨな人々が言うように、日本を骨抜きにし、弱体化させるために「押しつけた」のではない。歴史的に研究して導き出した結論である。

少なくとも、戦中の日本人よりも、アメリカ人が、天皇の本質を正確に把握していたことに驚かされる。「シンボル」とは、けだし名言である。

しばしば指摘されるように、大日本帝国憲法に規定された大元帥陛下としての天皇(軍服の天皇)の方がむしろ異形でありイレギュラーなのだ。西欧の元首、エンペラー像を無理矢理翻案したのが明治以降の天皇であり、これが「日本の伝統」に反するものであることは、少し歴史を勉強すれば容易にわかる。
かの三島由紀夫が、この「大元帥陛下としての天皇」を嫌悪していたことは、知る人ぞ知る話である。

天皇の弥栄を真に祈念するのであれば、「権力からの解除」こそが最も大事であり、それこそが日本の伝統であることを知るべきである。

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