気になったアーティストの作品を購入したいとき、どうするとよい?

「○○さんというアーティストの作品を見てすごくよかったんだけど、作品はどこで買えるの?」
アートを興味を持ち始めた方が持つことが意外に多いこの質問。そもそも「アートって買えるの?」と訊かれることも。今回はそんな疑問に答えてみます。

その作品はどこで見た?

作品を見た場所によっては、その場で作品が買えることもあります。
作品をどこで見たかで場合分けして考えていきましょう。

ギャラリーや画廊で見た

ギャラリーや画廊で作品を見たのなら、大抵の場合、その作品やそのアーティストの作品はそこで販売もされています。
〇〇ギャラリー、〇〇画廊、〇〇コンテンポラリー、〇〇・ザ・バスハウスのような名前のことが多いですね。

その場にいるスタッフの方に、
「〇〇さんの/この作品の購入を検討しているのですが」
「〇〇さんの作品は購入できますか?」
と尋ねてみてください。価格を教えてもらえたり、既に売れていたので他の作品を勧めてもらえたり、非売品と伝えてくれたりするかと思います。

「プライスリストありますか?」と訊くのも一手(プライスリスト=作品の価格表)。ギャラリーによって見せてくれたりくれなかったりはしますが、見せてくれない場合でも「気になる作品を教えていただけたら価格をお伝えします」と案内してもらえます。

注意事項として、〇〇ギャラリーという名前でも、美術館的な会場では作品は販売されていません(例: 東京ステーションギャラリー、オペラシティギャラリー)。チケット売り場のある場所ではだいたい作品は売っていないと思えば大抵は合っています。


アーティストたちの自主企画展で見た場合

アーティストが場所を自分たちで借りて自主企画の展示をしている場合があります。
特に学生アーティストが開催している場合、作品に値段が付いておらず、売ることが想定されていないことも多いです。

この場合は「売ってもらえるかもらえないか」という部分から直交渉となります。私はその場で値段が付くことも見たことがあります。

美術館、パブリックアート、本や雑誌などで見た場合

美術館では作品を売っていません。また、パブリックアートや、そもそも作品実物でなくメディアに掲載されているのを見た場合、このアーティスト作品はどこで買えるのかな、と疑問を持ちますよね。

存命アーティストの場合、次の順序で確認・問い合わせしていきます。

1. 取り扱いギャラリー

アーティストのマネジメントをしているギャラリーや、作品の取り扱いギャラリーがあるかどうかを確認します。
もし取り扱いのあるギャラリーを見付けられれば、そこに問い合わせをするのが近道でしょう。

確認は、

①アーティストの名前を検索する
②出て来たアーティストのプロフィールやアーティスト本人のSNSなどから、最近個展やグループ展をしたギャラリー・画廊の名前を検索する
③ギャラリー・画廊のWebサイトの取り扱いアーティスト一覧をチェックし、アーティストの名前があるかどうかを確認する(ギャラリーにもよりますが、「アーティスト」「取り扱い作家」といったページを確認します)
④お目当てのアーティストの名前があれば、そのギャラリーに作品購入の問い合わせをする

といった手順でするのがよいかと思います。
特に、①、②の手順を踏むことで、一次流通の作品を購入できる可能性が高まります(二次流通以降だと、価格が割高となっている恐れや作品の質の心配が生じたりすることもあります。また、二次流通ではアーティストにお金が入りません)。

ただし、人気のあるアーティストだと、ウェイティングリストに登録することになったり、そもそも購入予約があまりに多く売ってもらえないという場合もあります。

2. 作家から直接

取り扱いギャラリーが発見できなかった場合、アーティストのSNSやWebサイトの問い合わせ欄、公開されているメールアドレスなどから作品購入したい旨のメッセージを送ってみましょう。

見逃していただけで実は取り扱いギャラリーがある、という場合にはアーティストがそのギャラリーを紹介してくれるかと思います。
なかった場合は直接作品購入を打診・交渉することになります。
支払方法や作品の受け渡し方法などを話し合いつつ、購入の話を進めてみてください。

注意点としては、もし直接会って作品の受け渡しをする場合、双方の安心のため、密室で二人きりにならないよう気をつけましょう。

3. アート通販サイトを通じて

「〇〇(アーティスト名) 作品 購入」のように手っ取り早く調べると、作品販売をしているアート通販サイトがヒットするかも知れません。
価格も表示されており、購入のしやすさやが魅力といえるでしょう。1.で挙げたギャラリーがプラットフォームを通じて販売している場合もあるため、一次流通作品を購入することも可能です。

ただし、購入前に作品の実物を確認できなかったり、二次流通作品だったりする場合もあり、注意が必要です。

4. 二次流通(セカンダリーギャラリー、オークションなど)

物故作家の作品を購入したい場合や、人気アーティストの作品をすぐにでも購入したい、という場合には、二次流通に乗った作品を購入する手があります。

セカンダリーギャラリーは、書籍で言う古本屋と近く、他のコレクターなどから作品を仕入れて来て販売するギャラリーです。3.で検索したときに出てくる通販サイトにも、二次流通を主としているところがあります。

また、価格の折り合いが付きそうならば、オークションに参加するという手もあります。国外オークションにオンラインで参加することも出来ますし、国内には毎日、シンワ、SBIといったオークション会社もあり、プレビュー(下見会)で事前に作品をチェックすることも可能です。ただし、オークションには落札手数料がかかります。

二次流通の難点は、価格が高く付くこと、そしてアーティストには購入代金が還元されないことでしょう。
アーティスト側に立つ人間としては、1.,2.のような手段で作品を購入して貰えるととても嬉しく思います。

まとめ

以上、ざっと作品の購入方法をまとめてみました。「こういう場合はどうなの?」というような疑問があれば、Twitterやメールなどでもお気軽にお尋ねください。

「よくわからなかったけどこのアーティストの作品欲しいのでどうしたらいいか教えて」みたいなお仕事も承っております。

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