見出し画像

「ひんやりとした空気が本の全体をまとう~『森のノート』~」

『森のノート』 酒井 駒子 著 (筑摩書房)   2017.12読了
 
酒井駒子さんの独特の絵が大好きで著作が出ると、ついつい手に取ってしまいます。
子どもを中心に描かれていることが多いのですが、表情がすごくいいのです。
また絵のタッチもすごく好きです。
それまで多くの絵本での作品を見てきましたが、まずはその中の絵の表現を見とめるのが常です。
 
こちらはエッセイ本ではありますが、いつもの駒子さんの世界観が今回も溢れています。
 
おそらく高原の中の別荘なのだろう自宅で暮らす中で、繰り広げられる自然との共存。
風の音と生き物たちがいとなむだけの密やかな音なき音。
そんな静かな中で、耳を澄まし目を凝らす……。
自然への畏敬の思いもありながら、常に身近な森への愛があふれています
 
その文章にみられる生き物たちへの愛情は、つねにひんやりとした空気感とともに、どこか冷静にやや離れた場所から届けられます。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?