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チバユウスケ著:『EVE OF DESTRUCTION』<ROOTS編>を特別公開

 ソウ・スウィート・パブリッシングは、2022年9月にチバユウスケ(The Birthday)の著書である『EVE OF DESTRUCTION』(イヴ・オブ・デストラクション)を刊行しました。
 この本は、日本屈指のロック・ボーカリストであるチバユウスケさんが自身の音楽人生において欠かすことのできない重要なレコードの数々をさまざまなエピソードとともに紹介した書籍です。所有する貴重なアナログ・レコード・コレクションの写真と共に、チバさんが自身の言葉で“音楽愛”を掘り下げており、10代の頃に出会いロックにのめり込むきっかけになった作品から、「今聴いてもブッ飛ぶ」と語る名盤、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTで活動を共にした盟友・アベフトシさんに教えてもらったというアーティストのレコードまで、12のジャンルに分けて掲載しています。
 弊社では、チバさんの音楽愛に溢れた言葉の数々を少しでも多くの人に伝えたいという想いから、チバさんが自身の原点である音楽作品や、ギターに対するこだわり、音楽制作との向き合い方などについて書き下ろした『ROOTS』のパートを特別公開いたします。


INTRIDUCTION

 この本は、俺が主に10代から20代途中までの間くらいの頃に聴いていたレコードを紹介するものです。このレコードたちのおかげで今の俺があるのかもしれない。もちろんそれだけではないけれども。
 この本を君が手に取って、なんかしら素晴らしい音楽に出会えたら幸いです。ジャケットを見るだけでも楽しいと思うよ。ジャケットから音を想像していいかもなと思ったら、ぜひ聴いてみてください。きっと何かが広がるはずさ。

音楽は、音は、ずっと君に残るよ。
チバユウスケ

ROOTS

 ロックの魅力にのめり込んでいくきっかけになったのは、ジョニー・サンダースとストレイ・キャッツ。知ったのはほとんど同時期で、10代の頃に仲間から「こんな音楽あるよ」って回ってきたカセット・テープが出会いだった。いろんな曲が入ったカセット・テープを仲間内で回して聴いていたんだ。楽しかったね。
 ジョニー・サンダースのライブ盤『Live At The Lyceum Ballroom 1984』は「Pipeline」から始まるのもカッコよかったし、「Do You Love Me?」は今聴いても最高。
 好きになった理由は、単純に音を聴いてカッコいいと思ったから。ひとつ心残りがあるとしたら、最後の来日公演を観ることができなかったこと。「いつかライブを観れるだろう」なんて思っていたら、死んじゃったんだ。そんなふうに思うのは、ジョニー・サンダースくらいだね。

 ストレイ・キャッツは、色っぽかった。のちのちシングル盤を含めてレコードを集めていくんだけど、10代の頃にテレビで流れていた「Stray Cat Strut」のMVを観た記憶がある。カバーも素晴らしくて、1stアルバムの『Stray Cats』に入っている「Ubangi Stomp」(ウォーレン・スミスのカバー)はストレイ・キャッツがきっかけで知ったんだ。
 間違いなくロカビリーの世界を知る入口になったバンドなんだけど、その頃の俺はパンクに興味が行ってしまった。歪んだギター・サウンドでパワー・コードをかき鳴らすパンクのほうがわかりやすかったし、すぐに弾けたし、ビートも速かった。いろんなロカビリー・バンドを聴くようになるのは、もう少しあとになってからだね。

 ジョニー・サンダースやストレイ・キャッツを聴くようになってすぐ“めんたいビート”に出会った。中でもザ・ルースターズとザ・モッズ。初めて聴いた時は、言葉では説明できないくらいシビれた。ひょっとしたら自分が“バンドをやりたい”と思うきっかけのひとつになっているかもしれない。だからこそ根源的なところで、とても大切な存在だよ。
 ルースターズは、とにかくやりたい放題って感じがカッコよかった。『Insane』の2曲目「We Wanna Get Everything」を聴いた時は本当に驚いた。当時、俺の仲間にはあんなにもドラムを叩けるヤツいなかったから、スタジオに入った時に「もっとやってくれよ」なんて言っていた記憶がある。 ルースターズが爆音で鳴らすビート・ロックには、ロックンロールやパンクの要素が入っていて、今聴いても当時の自分に一発で戻される。大好きだね。最高だよ。

 バンドを始めたばかりの頃にカバーしていたんだ。当時は、一緒にやってた仲間から「お前はギターを持ってないから歌え」って言われてさ。最初は俺も「ギターがやりたい」って言ったんだけどね。そんなところからバンドで歌う人生が始まって、いまだに歌ってる。

 モッズも大好きだった。2ndの『News Beat』の1曲目「ゴキゲンRADIO」から2曲目の「記憶喪失」への“つなぎ”はぜひ聴いてほしい。演奏が“ガーッ!”って始まって、曲が終わったと思ったらすぐに次の曲になだれ込むんだよ。そこがたまらなくカッコよくてさ。その感覚は、今もずっと変わらないね。これを10代の頃に聴いたら間違いなくブッ飛ぶと思うよ。

 この本で紹介している作品は、今聴いても興奮するし、自分のバンドでカバーするのも楽しかったけど、彼らと同じことをやろうとは思わなかった。生意気に聞こえるかもしれないけど、ガキの頃からずっと“俺が作った曲が一番カッコいい”と思っていたからね。その気持ちは今でも変わっていないよ。 初めて作った曲は「探してよ」みたいな、そんな感じの曲だった。16歳くらいの頃だと思う。「イッツ・オンリー・ロックンロール」って曲も作った気がする。ギターを手に入れて、コードを覚えるとオリジナルをやりたくなるじゃん?「このコードだったらこういうメロディが合うんだな」ってことが感覚的にわかってくるしさ。その頃から歌詞も書いていたよ。

 初めてギターを手に入れたのも15〜16歳くらいの頃。スクワイアの黒いテレキャスター。その頃にはもう「俺は一生音楽をやっていくんだろうな」って思ってたよ。不思議と「俺にはこれしかない」って確信があったから。今、こうなっているから言えることかもしれないけど、「楽器があって良かった」、「この声があって良かった」って本当に思う。そうじゃなかったら悪い道に逸れていたかもしれないね。

 なぜテレキャスターを選んだのかは覚えていないけど、おそらくジョー・ストラマーの影響があったように思う。もしくは友達に「これがいいんじゃない?」って薦められたのかもしれない。そのテレキャスにはイギー・ポップのステッカーを貼っていたんだけど、どうやらそれがカッコよかったらしく、仲間のひとりから「俺のグレコのES-335タイプと交換してほしい」って言われて、あげちゃった。

 これまでに使ってきたギターは、テレキャスター、ジャガー、ジャズマスター、エコー(820-4V)。すべてぶん投げて壊れてしまった。不思議と以前と同じモデルを使う気にならなくてさ。できれば違った新しいギターを弾きたいと思っていた。ギブソンのES-335も使っているんだけど、太い音がGWF(The Golden Wet Fingers)に合うと感じたんだよ。ギターは、常にバンドで出したい音のイメージに合わせて選んでいるよ。

 俺がグレッチを使っているのは単純に弾きやすかったから。あと見た目がカッコいい。今でも覚えているのが、昔ギターをぶん投げて壊してしまった時に、次に使うギターについてアベ(フトシ)に相談したんだ。そこで「原点に戻ってグレッチ使おうかと思ってるんだけど」って言ったら、アベが「俺がテレキャスでチバがグレッチっていうのはカッコいいじゃん」って言ってくれてさ。そのあとすぐにテネシーローズを手に入れたんだ。

 人の意見っておもしろいんだよ。だから、ちゃんと耳を傾けないといけないって思っている。その言葉に自分の気持ちが引っ張られてしまうことも多々あるけど。ただ、当たり前のことだけど“決定”は俺自身がしなきゃならない。ライブや曲作りに関しては、バンドでもソロでも最終的には自分がイメージした形になるんだろうけど、表現する作品にはメンバーやスタッフを含めた全員の気持ちが入っているから、その意見は絶対に聞かなきゃいけないと思っている。俺もみんなの感じたことを知りたいからね。そこはとても重要だよ。俺の音楽でもあるけど、メンバーやマネージャー、エンジニア、関わってくれるスタッフも含めた“全員で”作っている音楽でもあるからね。今は。

 これまでの人生で、ギターに関してはシガ(ケイイチ)がいて、アベ(フトシ)がいて、イマイ(アキノブ)がいて、フジケン(フジイケンジ)がいて。ドラムに関しても、クハラ(カズユキ)、(中村)達也くん、(佐藤)稔くん。ベースも照さん(照井利幸)、(ヒライ)ハルキ、(滋野)岳ちゃん、ウエノ(コウジ)とか。俺は本当にメンバーに恵まれていて、ずっと好きな奴としか一緒にやっていないんだよ。おもしろくないヤツとはやりたくないしね。しかも俺が思ったことを表現してくれる人たちだし、そこに彼らが表現したいことも乗っかっているから相乗効果がおもしろい。だから俺はとにかくカッコいいと思う曲を作って持っていくだけ。それを全員で完成させて、出すようにしてる。

 イマイくん、稔くんとは、1996年に新宿LIQUIDROOMの2周年イベントで、ミッシェルがフリクションとSuper Junky Monkeyと対バンした時に出会った。その時のフリクションでギターを弾いていたのがイマイくんで、ドラムが稔くん。それから8年後の2004年にROSSOで一緒にやることになったんだよね。4人でやる前のROSSOは、俺と照さんとMASATOの3人編成だったんだけど、今までの音楽人生の中で唯一のトリオ・バンドだった。あんなにも一生懸命ギターを弾いたのは、あとにも先にもあの時だけだよ。おもしろかったね。

 これは余談になるんだけど、メンバーからよく、俺の弾くギターは「ちょっと変わっている」って言われるんだ。シガにも言われたし、アベにも言われた。フジケンには言われていないけど、おそらく「変な音の当て方をするな」って思っているんじゃないかな。

 俺が好きになる音楽の基準は“音がカッコいいかどうか”。今とは違ってバンドが演奏している映像なんて簡単には観られない時代だったしね。聴こえてくる“音”がすべてなんだよ。

<2024年1月31日までの特別価格>
Kindleで電子書籍『EVE OF DESTRUCTION』が発売中。

■著者プロフィール

チバユウスケ
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのフロントマンとして1996年にデビュー。以来、ROSSO、The Birthday、MIDNIGHT BANKROBBERS、The Golden Wet Fingersといったバンドを結成し、一貫した強烈なロックンロール・サウンドと唯一無二の歌声で、日本のロックシーンを牽引してきた。2022年8月には、ソロ・プロジェクト・YUSUKE CHIBA -SNAKE ON THE BEACH-として4枚目のアルバム『SINGS』をリリース。
Official Web:https://rockin-blues.com/

『EVE OF DESTRUCTION』/チバユウスケ

■目次
・INTRODUCTION
・ROOTS
・PUNK
・PUB ROCK
・GARAGE
・ROCK
・DOMESTIC
・SKA
・ROCKABILLY & PSYCHOBILLY
・BRITISH
・SOUND TRACK
・US ALTERNATIVE
・JAZZ
・T-SHIRT
・POSTSCRIPT

■書籍情報
タイトル:EVE OF DESTRUCTION(読み:イヴ・オブ・デストラクション)
著者:チバユウスケ
発売:2022年9月13日前後 / ※全国の書店やECサイトで随時予約受付・販売
定価:2,750円(本体2,500円+税)
仕様:B5変型判(7インチ・アナログ・レコードと同じ180×180mm)/160ページ/4C/並製
ISBN:978-4-9912211-1-8