みえない世界に戻る決心

自分の大改造のため、見える世界に一歩踏み出した心理カウンセラーが、

5年の奮闘の末、

みえない世界に戻る決心をした話。


心理カウンセラーをして10年たったとき。

それは同時に生涯教育の講師をしての10年だったのだけれど、ある決心をした。


「これまでの延長線上にない、11年目を歩もう」ということ。

では、どうすればいいのか。

がつかめないままに、発進した。


最初に大きく一歩を踏み出したのは、講師業を学びに東京へ何度も足を運んだこと。

次にマインドマップというものを、学び直しに行き、インストラクターの免許を持ったこと。

経営を学んだこと。


つぎ足し、つぎ足し、学びに学んだ。

アピールすること、お金儲けすることがひどく苦手だった。

引っ込んでいたい気持ち、というかおとなしくしないと、叩かれるという恐怖。

おとなしくしていたつもりでも、なにかと叩かれていたのだけれど。

お金に対する執着のなさ。

いや、執着やほしい気持ちはあるのだけれど、そこまで儲けたいという意欲がないのだった。

これらにより、自分にとって一番遠いところにあるものを学んだ5年間だった。


新しい世界、新しい出会い。

「いなまつさん、どうしたんですか?」

「何があったんですか?」

と聞かれ続ける、見た目も中身も変革された5年だった。


経営を学ぶ会のパーティで、

「いなまつさんはね、お金儲け、向いていないと思うよ。別に儲けたくないでしょう?」と言われた。

「わかります?」

「わかるよ。この先生(わたしが経営を学んだ先生)までだね」


普通は落ち込むところかもしれないけれど、正直ほっとしたのだった。

どうにも、やっぱり意欲がわかないから。

虎ノ門ヒルズでのキラキラしたパーティにも行ってみたけれど、

なるほど、こういう世界があるんですね。勉強になった、もう十分です。

出し物の歌や踊りやらが、たのしい。

という感想で終わり、つくづくアーティスト体質である自分を思い知ったのだった。


しかし、何も得られなかったかというと、とんでもなく、

エンターテイメントな学びの提供や、自分らしさを表現する方法、

わたしのように経営に意欲がわかない人たちへの協力はできるようになったのだった。

大儲けはしないけれど、やりたいことを続けるため、搾取されないための経営法である。

わたしの経営の先生は、みんなをしあわせにするための経営を教えてくれたので、わたしも学び続けることができたのだ。

また、講師業を教えてくれた先生は、「オンリーワンであること」を大事にする経営を教えてくれたので、それも役に立った。

自分らしくあるということが、オンリーワン。

オンリーワンである自分を存分に生かし、みんなをしあわせにする経営。


これなら、「お金儲けには向かない」わたしにもでき、方法を伝えることができた。


そうやって、5年が過ぎた今、

もうそろそろいいよね。

そういう「こころの声」が聴こえた。


心理をはじめとする、みえない世界に生きてきたわたしが、見えるものの世界にまみれてみた5年から卒業するときである。

見える世界で鍛えられ、足腰がしっかりした自分を携え、これまた楽とはいえない、でもやはりしっくりくるホームでやっていこう。


みえない世界よ、ただいま、帰りました。






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