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【雑誌】『てれびくん』が「芸術」と「わいせつ」の違いについて哲学してきた

10年以上、不定期に小学館の『コロコロコミック』と『てれびくん』を手に取る環境に暮らしているが、しばしば連載漫画に度肝を抜かれてきた。
 
以前『コロコロコミック』では、明らかにトランプ元大統領(当時は現役)をモデルにしている「いるよ!大統領トラップくん」という漫画が連載されていた。
 
主人公は大統領顔でラップ上手な小学生。局部を丸出しにして連続逆上がりをしたり、丸出しのまま人の顔の上に着地したりする、非常に際どい内容であった。youtubeチャンネルでアニメも公開されていたが、現在はきれいに削除されている。
 
賛否両論を巻き起こすフランスの風刺マンガか……などと突っ込みながらヒヤヒヤと傍観していたが、2018年、同誌はモンゴル帝国の皇帝を局部の名前のダジャレにするマンガで炎上していた。(そりゃ、そうだ)
 
そして最近、久々に声を出してビビったマンガがある。(というか、実際、声を出して読み聞かせさせられた)
 
それは「ジ・アメイジング・マッパマン」である。

11・12月号掲載の第4裸(4話ではなく、4裸と表記)、すんごかった……。

ダビデ像のレプリカが突如動き出し「芸術だから」と言いながら局部を「ぶらぶら」(原文ママ)させて街中を歩いている。そこに正義の「マッパマン」が真っ裸で登場する。
 
その模様はテレビで中継されるが、なぜかマッパマンだけモザイクがかけられる。ダビデ像は、芸術だからモザイクは不要なのである。

生中継ゆえ、マッパマンの動きにモザイクが追いつかず、オロオロする報道局の人もいる。

『てれびくん』公式アカウントより

ダビデ像とマッパマンの攻防を見せつけられながら、「わいせつ」と「アート」の境界線とは何か、と読み手を混乱させてくる。
 
どこからが、わいせつでどこからが芸術か。まさかの『モザイクジャパン』(坂元裕二脚本のドラマ)的な展開なのであった。意外と深い……。
 
ちなみに、広告会社の資料によれば、『てれびくん』のコアな読者層は4~6歳。
 
テレビくんの発行頻度は2カ月に1度になり、付録を充実させて価格が倍になり、以前と比べると発行部数は激減している。
 
ベテラン作家による「不謹慎」と「ギリギリセーフ」を試すような取り組みを見守りつつ、間もなく発売される最新の『てれびくん』を買おうか迷っている。
 
だって、高いんだもん。


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