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八番筋カウンシル。

Y字型を逆さにして「八番筋」と名付けられた商店街で、自らカウンシルと名乗っている青年会の連中。訳あって仕事を辞めて実家に帰ってきたタケヤスは葬式の手伝いに駆り出された先で「はなっから酒飲んでるだけやったら葬式なんか来んなや」とぼやく。そういえば十五年以上前に亡くなったヨシズミの爺さんの葬式の時はショックで何も喉を通らなかった…という話。

古き良き商店街が一致団結して再生するような爽やかな話かと思ったら、「狭い交友範囲でいつまでもくすぶってる残念な大人達」と「商店街の外で働くのもそれはそれで大変なうえに複雑な家庭環境」の両成敗のような話。多すぎる登場人物の全員が満遍なく問題を抱えてて困る。人生って難しい。「君は永遠にそいつらよりも若い」を読んだ時のような言葉では言い表せない読了感だった。

いつか寂れるであろう商店街で繰り広げられる人間模様が愛しくも怖くも感じられる。ローテンションな関西弁は独特なテンポで心地よいし、過去と現在を行き来しながら徐々に紐解かれる確執や遍歴など、見せ方や構成が秀逸でワクワクしながら読む事が出来た。


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