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聴き屋の芸術学部祭。

文芸サークル第三部ザ・フールに在籍する柏木は「無料で何でも聴きます」という看板を掲げ「聴き屋」として3日間の芸術学部祭で個人活動をしている。そんな柏木の元に集まってくるのは個性豊かなサークルメンバーや聴き屋の客達。空き教室で黒焦げの死体が見つかったかと思えば、結末の無い戯曲の結末探しに付き合わされたり、模型部で起きた悪質な悪戯の深層を推理したり。コミカルで多忙な柏木君の日常を描いた短編集。

聴き屋からして秀逸な設定。あとがきで作者自身が語っているけど、とにかく見本市さながらに色んなジャンルの話を敢えて取り揃えてみました的な作品。故にサークル活動を伴う大学生活がこんなにも楽しそうなのかと憧れてしまいそうになる。小気味の良いボケとツッコミがいかにも大学生っぽいけど、なぜか微妙な読み難さを生み出してる気がする。そこへ行くと東川篤哉のセンスの良さよ。

意外と伏線回収を緻密にやってるんだけど、それ以上にマンガじみたキャラが目立ってしまい印象には残らず、爽快な読了感には繋がらず。完全にキャラ小説として世界観毎楽しむのが正解なのかな?判断に迷う。装丁やイラストはすごく良いと思う。


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