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ありえないほどうるさいオルゴール店。

運河が有名な北の町にひっそり佇むオルゴール店。耳利きの店主があなたにぴったりの音楽をオルゴールにいたします、と書かれている。
導かれる様に店に立ち寄った客達はちょっとした土産物のつもりでオーダーしてみたが…という話。
本人すら自覚していなかった心に流れる音楽に耳を傾ける事で、忘れかけていた大切なものに気付く人生模様。

所謂、安楽椅子探偵系のコージーミステリって感じの設定なのだけどコメディ要素は少なく、自問自答するキッカケを与えてもらうような、良く言えば優しい物語。装丁とタイトルのセンスが良過ぎる。

作品の肝であるオルゴール店の秘密については伏せられたままで余韻が残ったまま進んでいたのに、急にタネ明かしされて、更に最後にもう1話で終わるという謎の構成。とはいえ、オルゴールを売るだけという介入要素が乏しく変化のつけ難い設定にも関わらず各話にバリエーションを付けているのは凄い。

そこまで泣ける話でもないけど読了感が爽やかで癒やされる感じ。謎解きかファンタジーに舵を切ってくれた方が個人的には好きだった。


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