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タッチフット戦術クルーズ

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タッチフットボール(アメフト)の戦術・技術・トレーニングについて解説します
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記事一覧

6人制タッチフットボールのコートは案外に広い

横幅は40ヤード(約36メートル) 縦は80ヤード(エンドゾーンを含めて約72メートル)です。 フィールド上のポジションについては、以下の記事をご覧下さい。

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イッシー センターアクロス0522_22

以下、特徴の詳述 ・若干ターンボール気味のパスに対応して、進行ベクトルを変えずにターンジャンプ ・キャッチ後2歩目ですぐ縦上がりに変える(着地後のつま先の向きが重要です) ・間合いでディフェンダーの動きの180度をとる(場合による。普通は90度をとる)

タッチ&フラッグドリル|頭上を越していくパスをカットしよう

DBの見せ場、頭上のパスカット今回は、下の動画で、ダリアス・ウィリアムズが見せたような、素晴らしいパスカットに近づくドリルを紹介します。 冒頭のパスカットと、33秒からのパスカットで、ジャンプしながらギリギリまで手を高く伸ばしてボールを指先ではじいているところに注目してください。 このようなプレー、つまりタッチ&フラッグフットボールで、「自分の頭上を越していくパス」をカットするときには、指先でボールの「腹」を「横から叩くイメージ」をもっていると上手くいきます。 指先カッ

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2013 シュガーボウル K-SPEX vs RIOTS on YouTube 紹介

今回、われわれ K-SPEX のベストゲームのひとつがアップされることになったので、ご紹介します。 チーム結成年にあたる、2013年のシュガーボウル、大矢一郎氏もスタンドで観戦している注目の一戦です。 思い出深いこのゲームは、選手のミスマッチを好守の戦術で消しきって、プレーコールのタイミングもチャレンジもほぼ完全、選手が十分よく機能した試合です。 このときのRIOTSのQB吉田選手は、私が見た中では女子タッチフットでもっともプレーコールが巧みなQBのひとりです。 相手DFの組織的な弱みを発見し、その弱点をゲームの流れの中でゆさぶりながら攻める名人で、とくに学生チームの弱点をつき勢いを消し去るゲームを何回も見ています。 クラッキなQBとレジェンドクラスのフィジカルなレシーバーを揃えるRIOTSに対して、小柄なエースを生かすための仕掛けを練り込んだ独特なシステムをもつK-SPEX。 そんな両チームのゲームは、隠れた駆け引きに、狙いをしぼらせないK-SPEXと、前後の揺さぶりで探ってくるRIOTSの戦術的好ゲームです。 前半は、K-SPEXの攻撃ラインが連携よく機能しましたが、後半はRIOTSの守備ラインがサックやディフレクトを連発。K-SPEXのパスを要所で封じ、引き分けの結果となりました。 RIOTS C吉田有里 5山本優子 6加藤さちよ 7漬岡風花 9岡崎真理子 15藤岡知沙 18吉田茉充子 38畑智子 51野村佳代 74西古千里 75阿部喜栄 76松田彩子 84濱本知子 K-SPEX C 石田智宏 C ポールバーナミー 1 渡邉智子 2 関根直美 5 菅原禎子 7 今田綾香 8 増子智美 10 渡邉麻衣 17 岩下幸恵 25 古川明穂 26 古屋麻衣 51 三津間恵 52 吉木由香 55 三津間静 83 蛯澤桐子

さくらボウル 最後の3プレーが不必要とされる理由

さくらボウル2021に関して、追記しておきます。 武庫女大が26-6とリードした第4Q、残り時間16秒、敵陣12yds付近で攻撃権を得た武庫女大オフェンスは、ニーダウンせずに3度攻撃しました。 私は、選手の気持ちも理解できるものの、こうした場合に、観客の「居心地の悪さ」はどこから来るのか、その理由を①から④まで述べます。 ①残念ですが、勝敗に何ら影響を与えないと分かっている攻撃は、フェアプレーといえないであろう。アメフト的なスマートさ(限られた時間の中での勝利可能性の最

女子タッチフットボール全日本王座決定権 さくらボウル2021について 結果 武庫川女子大学 26-6 虹翔♾

快足TDと2インターセプトで魅せた虹翔 虹翔の攻撃は、武庫女大の早いラッシュを浴びつつも、隙間にパスを通しながら、特長であるエース#18モエ選手の快足TDにつなげたところはとてもよかったです。 第3Qに、全部を使い切る長いオフェンスドライブを見せましたが、あれを始めに出せていれば、戦術的に効果的だったでしょう。 ディフェンスも、あれだけ速い武庫女大のラン&シュートに対応した箇所が多く、その中で#42梅原選手が2本のインターセプトをとっています。好選手揃いだと思います。

「弾道」を意識してパスの投げ分けを上達させるドリル

タッチフット 2020ファイナルタッチ 一般女子決勝の記録

今回、ファイナルタッチの一般女子決勝をオンラインで見る機会を得ましたので、戦術面で気づいたことの記録をしておこうと思います。 最初に、選手・関係者それぞれに葛藤を抱えたシーズン運営の中で、タッチフットボールを愛し、できる限りの活動をした皆さんに敬意を表します。 結論 右サイドの慎重さが攻防に影響虹翔∞ 25 - 13 ワンパック ワンパックは強い、しかし、守備の右サイド(SCB側)がやや慎重だったため、意図せず全体の動きが「反時計ローテーション」になり、その結果、QBロ

動画あり|対空力について考え、鍛える~タッチフットの『それ以外の部分』

空中戦に強くなるには?タッチ&フラッグのコーナーバックの皆さん、いつもレシーバーに取り負けていませんか? 私もそうでした笑 しかし、それは対空力のスキルを高めることで改善することも、賢く回避することもできます。 下の図を見て下さい。 (画像出所:NFL YouTube channel) この空中戦を制した、ホプキンスは身長185cm、他方ビルズの3人のDBの身長は #21 ポイヤー 183cm #23ハイド 183cm #27ホワイト 180cm と、ホプキンスはサ

タッチフット 2020秋 関西一般女子決勝の記録

今回、関西一般女子トーナメントの決勝を見る機会を得ましたので、感じたことを個人的に記録しておこうと思います。 このゲームでは、チームを引っ張る選手の気迫と、コンディション、タッチにおけるフラッグ経験者のプレー特徴が目を引きました。 試合のおおまかなポイント優勝チームは「虹翔∞(にじかけるえいと)」 強豪の関西アウィリーズとの対戦で、先制したのち一度は逆転される難しいゲームを19対18で制しました。 虹翔∞は、QBのミヤ選手、そしてNTのモエ選手の二人のコンディションが良

タッチフットボールで使う カットバックトレーニングの分解

リクエストがありましたので、今日はわれわれの『カットレ』(カットバックトレーニング)を少し分解して紹介します。 このトレーニングは最終段階のものですので、基礎的な動きが知りたい人は、これ以前のカットレを参考にして下さい。 足運びとボディバランスが必要試合で効果的なカットバックの、①間合いに入るときの足運びと、②その後の縦上がりの感覚を習得します。 まず正確に跳び、ボディバランスを身につけます。慣れてきたらスピードを上げていくといいです。飛ぶスピードは、女子で以下のビデオ

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タッチフットの『それ以外の部分』~カットバックの縦上がりトレーニング

私たちはアスリート能力に自信がなかったので、『それ以外の部分』での優位性を追求してきました。 この動画は、タッチフット初心者にカットバックを身につけてもらうための、最後の段階のドリルです。間合いに入るときの足運びと、その後の縦上がりの感覚を習得します。 ※練習中なので、精度は高くありません(特に縦上がりができていません)。 これは、スポーツで初めてカットバックを踏むという人に、効率的なステップを理解してもらうメソッドです。 当時はアメリカのYouTubeやアメフトの英書テキストが情報元でしたが、カットバックを基本から説明する資料は見つかりません。 ハンドボールの日本代表コーチに聞いても、女子選手向けのカットバックメソッドは「特にない」とのことでした。 そこで、実際のゲームのビデオからステップの理論を確かめて、誰でも基礎から学べるようにしました。 ところで、ランアフターキャッチを「団体戦術」として考えたときに、優れたキャリアーとは「ブロッカーの背中をうまく使える」キャリアーです。 ブロッカーの背中を上手く使うためには、状況判断と競技特性に合わせた効率的なステップワークが必要になることは言うまでもありません。 では、タッチフットボールの競技特性に合ったステップとは何なのか。それは次回にします。

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タッチフットの『それ以外の部分』~スナップ前にDFのゾーンをずらす仕掛け

今日も思いつきでタッチフットの楽しさについて書きます。 前回「シフト」で使ったプレーを、今回はモーションに変えて、ディフェンダーの認知のずれを誘います。 前回紹介した動画 https://note.com/ishidatomohiro/n/n424f0193079a と今回の動画は、別のゲームですが、同じシチュエーション(ゴール前3ヤード、DFは3-3システム)です。<左右は逆です> 前回のプレーでは、レシーバーがシフトして、SF(3-3のDBの中央)の視線を外したところへのGパスでしたが、今回はレシーバーがモーションして、タイトエンドくらいの位置まで動かしたところで即スタートします。 前回は、3-3のDBのうち中央に位置するSFの視点を外すのが目的でしたが、今回は、画面手前側の左CBのゾーンの変化の瞬間をついています。 微妙な位置へのモーションによって、アサインメントミスが生じ、左CBのゾーンがドロップダウンする(下がる)左エンドのゾーンとかぶり、中央のゾーンが空きました。 細かく言うと、DFは手前側のエンドが引いてのエンドゾーン4分けという任務です。 セット → 左CBの任務は左から2番目のゾーン → モーション → 一番左のゾーンに変わるか変わらないかのところ → スタート → 一番左のゾーンに変更するもエンドに伝えることができない → モーションマンに2人カバーした →中央のゾーンが空く → センターにパスがヒット ところで前回のDFはエンドゾーン3分けに漏れをセーフティー、という任務でした。相手のアサインメントを完全に見切ることはできませんが、ある程度は傾向を調べて、DFの認知をずらす仕掛けを考えます。 相手チームは、日本一の常連で、本当にタフでタイトなディフェンスを敷いてきます。ガッチリ向き合うとオフェンス選手にほとんどスペースを与えてくれない厳しい相手です。 こうした、技術優位、スピード優位などの優位性がなかなか発揮できない状況でも「認知の揺さぶり」を仕掛け続けることで、ディフェンスを崩すチャンスが生まれてくると考えています。 ▼その他の「揺さぶりの戦術」については、 https://note.com/ishidatomohiro/n/n40109760cf68 に書いてありますので見てください。

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タッチフットの『それ以外の部分』~横に入るブロック練習のファーストステップ

タッチフットの楽しさについて続けます。 今回の動画は、パス以外のゲインを優位に運ぶためのブロック練習のまさにファーストステップのドリルをおこなうシーンです。ブロック練習をする初日の映像です。 これは、初めてタッチフットをする人に、効率的なブロックの概念を理解してもらうためのメソッドです。われわれの最強ブロッカーはいつもここから生まれます。 練習では「縦に組まずに横に入る」ことを確認します。ブロックできても縦に組むのは次につながりません。この動画のようにDFが次の瞬間に動くであろうポイントに入り込むことを身につけます。 この戦術的なポイントは「体力を使わずに判断を向上する」ところです。 全国のうち限られた3~4チームを除いては、最後に必ず自分よりも運動能力が高い選手とマッチアップすることになります。(私たちはいつも全国ベスト8かベスト4でそうなります) そのときにフィジカル優位で身につけたプレーは通用しないため、あらかじめ体力を使わずにフィジカル劣位で通用するプレーを体得します。 (われわれはいつも小チームで攻守兼業の中、大きなチームと戦いますので、その意味でも『エコモード』とよぶスタミナを使わない戦術を必要とします) タッチフット(アメフットもフラッグフットも)のパスゲームは「パスを捕球するまでのゲーム」と「パスを捕球してからのゲーム」という二種類のゲームがミックスされた構造だと以前述べました。 そのうち、捕球してからのゲームを優位に進めるファクターは、ブロックと走法(カットバック)です。 タッチフットは自由なスポーツなので、自分で好きなように上達すればよいと思いますが、チームの全員が素質によらずに確実なレベルアップをするには、適当で易しい練習メソッドが役に立つのは言うまでもありません。