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若きアスリートをトップアスリートへ育てるエリートスポーツアカデミー、IMGアカデミー

スポーツ界の頂点を目指す若き才能たちが集うフロリダ州ブラデントン。そこには、世界屈指のエリートスポーツアカデミー『IMGアカデミー』があります。1978年の創設以来、テニス界のアンドレ・アガシ選手やマリア・シャラポワ選手など、数多くのトップアスリートを輩出し続けていることで有名で、日本人では錦織圭選手を筆頭にトップアスリートとして活躍している選手や名門大学への進学を決めた様々な競技の学生アスリートを輩出しています。
広大な敷地に広がる最先端のトレーニング施設、経験豊富な指導陣、充実した教育プログラム。IMGアカデミーは、アスリートとしての可能性を最大限に引き出すために必要なすべてを備えています。厳しい鍛錬と仲間との切磋琢磨の中で、学生たちは心身ともに成長し、夢への一歩を踏み出します。
しかし、IMGアカデミーの門をくぐることができる者は限られており、毎年世界中から集まる優秀な候補生たちの中から、厳しい審査をパスした者だけが、このエリートアカデミーの一員となることができます。
厳しい環境の中で、才能と努力がぶつかり合うIMGアカデミー。そこには、常に向上心を持ち、勝利を目指すアスリートたちの熱きドラマが繰り広げられています。今回は、そんな学生アスリートがスポーツに没頭できる最高の環境、IMGアカデミーについて紐解いていきたいと思います。


歴史と設立理由

まずはIMGアカデミーがどのように誕生したのか、また学業を疎かにせず学生がスポーツに没頭できる環境がどのように構成されているのか、IMGアカデミーの歴史から紐解いていきたいと思います。

1972年、アメリカ合衆国出身のテニスコーチ、ニック・ボロテリー氏がニックボロテリー・テニスアカデミー(NBTA)を創設。
1987年、スポーツ総合マネジメント企業であるインターナショナル・マネジメント・グループ(International Management Group, IMG)がNBTAを買収。
1993年、イングランド出身のプロゴルファー、デビッド・レッドベター氏によって創設された、デビッド・レッドベター・ゴルフ・アカデミーの青少年部門を買収。
1994年、サッカーと野球のプログラムを追加
1999年、競技学生のための共同の教育、大学予備校として、『IMGペンドルトンスクール』を設立
2000年、ホッケーを追加
2001年、バスケットボールを追加
2002年、IMGキャンパスは190エーカー(0.77平方キロメートル)に拡大。
2003年、ホッケープログラムを中断
2010年、アメリカンフットボール、ラクロスを追加
2012年、学校名を『IMGアカデミー』に変更
2013年、陸上競技・クロスカントリーを追加

変遷を紹介しましたが、IMGアカデミーは、1978年にニック・ボロテリー氏によって、フロリダ州ブラデントンに設立された世界屈指のスポーツトレーニング施設兼寄宿学校でした。ニック・ボロテリー氏は高校時代にアメリカンフットボールのクォーターバックを務めるなど、テニスと関わらない学生時代を過ごした異色のテニスコーチです。
マイアミ大学のロースクールに進学するも中退、その後高校時代に少しプレーしたことがあるという理由からリゾート施設のテニスディレクターという立場からテニスを指導するようになり、その後の各地でのコーチ経験を活かして、子供たちの可能性を最大限に伸ばすための全寮制テニスアカデミー、ニックボロテリー・テニスアカデミー(NBTA)を世界で初めて設立しました。
当初はテニスアカデミーとしてスタートしましたが、その卓越した指導と革新的なトレーニングプログラムによって、瞬く間に野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、ゴルフ、ラクロス、サッカー、陸上競技など、様々なスポーツ界でトップアスリートを輩出する名門へと成長を遂げたのです。

IMGアカデミーは現在、450エーカー(東京ドーム約40個分)という広大な敷地にあります。2010年に現在のキャンパスに隣接する土地110エーカーを750万ドル(約11.5億円)で購入、さらに2014年には24エーカーの敷地を購入し拡張に向け工事を行なっているため、これらの工事が完了することで580エーカー(東京ドーム約50個分)の敷地になる予定です。

IMGアカデミーにアスリートが集まる理由

IMGアカデミーは小学1年生から高校3年生まで入学が可能となっており、途中で入学、退学することができます。例えばIMGアカデミーに高校生で入学した場合、年間の学費として93,900ドル(約1,400万円)と非常に高額になります。通常、アメリカでは高校までの公立校に進学する場合学費がかからないなか、安価ではない学費を払ってまでIMGアカデミーに入学をしたい理由は何なのでしょうか。

  • 世界最先端のトレーニング施設:
    常に最新のトレーニング設備を導入しており、学生アスリートに最高の環境を提供しています

  • 経験豊富な指導陣:
    各競技分野の経験豊富なトップコーチが在籍しています

  • 充実した教育プログラム:
    スポーツだけでなく、学業面も充実した教育を提供しています

  • グローバルな環境:
    世界中から集まる学生アスリートとの交流を通じて、国際的な視野を養うことができます

  • 実績:
    数多くのトップアスリートを輩出してきた実績があります

▼IMGアカデミー卒業生のダニエルコリンズ選手が3月に行われたマイアミオープンで初優勝しました。

他の私立・公立校にはない強みがIMGアカデミーにはあるのです。以下でこれらの強みを1つずつ説明します。

世界最先端のトレーニング施設

IMGアカデミーは450エーカーの広大な敷地を有し、最先端のトレーニング施設、充実した寮、学業施設、医療施設などが備わっています。全てキャンパス内で完結することができるため、学生はスポーツ及び学業に専念することができるようになっています。

  • テニスコート55面(室内・屋外にハード、クレーコート)

  • 天然芝サッカーフィールド16面

  • 天然芝野球場4面、(内野サイズ)練習用グランド4面(室内練習場)

  • 室内・屋外バッティングケージ12個、投球マウンド15個

  • 天然芝ゴルフ練習場(18ホールゴルフコース)、パッティンググリーン、アプローチ練習グリーン

  • 天然芝ラクロスフィールド2面

  • 天然芝アメリカンフットボール場2面

  • バスケットボールコート4面(室内)

  • ウエイトルーム

  • 屋内マルチスポーツコンプレックス(アメフト・陸上・サッカー・ラクロス等、観客席5000シート付)

  • 全天候対応400Mトラック(8レーン)

  • その他: フィットネスセンター、プール、スパ、図書館、学業施設、売店など

▼キャンパス内をドローンで撮影した紹介動画


経験豊富な指導陣

IMGアカデミーには、各競技分野で活躍した経験豊富なコーチやトレーナーが揃っています。最新のトレーニング理論に基づいた指導と、個々の学生に合わせたきめ細やかなサポートを提供することで、学生アスリートの能力を最大限に引き出しています。実は日本人の指導者もIMGアカデミーに在籍していたことがあります。中村豊トレーナーはマリア・シャラポワ選手の専属指導者として活躍をしていたことや大坂なおみ選手のチームなおみの一員であったことで知られており、日本人指導者で初めて2度のグランドスラムシングルス優勝に貢献した人物です。彼はニック・ボロテリーの勧誘を受け、2005年から2010年までIMGアカデミーのトレーニングディレクターとして、マリア・シャラポワ選手や錦織圭選手を担当し、2018年から2020年にかけてはストレングス・コンディショニング部門の総括を務めていました。日本人は指導者だけでなく学生も多く所属しており、テニスだけでなく、野球やバスケットボールでも日本人選手が所属していました。

▼IMGアカデミーに入学するとどのような生活が待っているのかがわかる動画になっています。


充実した教育プログラム

スポーツのためのアカデミーと聞くと、スポーツには特化して学業を疎かにしていそうと思われる方が多いかと思いますが、IMGアカデミーでは、スポーツだけでなく学業面でも充実したプログラムを提供しています。大学進学率98%のIMGアカデミーには、フロリダ州認定の高校課程と大学進学準備プログラムが準備されており、スポーツの能力だけでなく学力に応じて進学する大学を決めるため、優秀な成績を収めた学生は名門大学への進学も可能です。また、海外からの留学生も多いことから、留学生専用のアカデミックカウンセラーが常駐しています。英語のレベルが一定のレベルに達していない場合は、留学生向けのELL(English Language Learners)という英語をサポートするクラスを通常授業と並行して受講することができます。

2022-23年度の情報では、IMGアカデミーから226名の学生がNCAAディビジョン1の大学へ進学しました。また学業面で優秀な学生も多く、トップ25ランクのアカデミック大学またはリベラルアーツカレッジへの進学者は26名、アイビーリーグへの進学者が6名、さらには、42カ国、66名の学生(在学生、卒業生を含む)が"The National Honor Society"(NHS)というアメリカの優等生協会に入会しました。

"The National Honor Society"(NHS)には条件が4つあり、
①人間性が優れている(Character)
②学業成績優秀(Scholarship)
③リーダーシップに秀でている(Leadership)
④奉仕活動に熱心である(Service)
これら全てに秀でた学生が入会することができ、進学の場合に有利に働きます。さらには奨学金がもらえたり、名門校からスカウトされたりすることもあります。

▼National Signing Dayという高校生アスリートが進学先を決めて正式に書類に署名する日の投稿です。

IMGアカデミーのアメリカンフットボール・プログラムは、全米一の育成と大学進学実績を持っており、2010年から始まった本プログラムからは134人の選手がディビジョンIの学校に進学を決め、18人がNFLにドラフトされています。

▼2023-2024シーズンで各進学した大学で活躍する学生及び学校名のリスト(アメリカンフットボール)


グローバルな環境

IMGアカデミーには、毎年世界中から1,400名を超える学生アスリートが集まり一緒に生活をするため、通常の学校では経験することのできない異文化交流を経験することができます。また、各年代のトップレベルの選手が集まっているため、常に仲間と切磋琢磨し、競争の毎日を送ることができます。さらに、IMGアカデミーには毎年短期留学制度が設けられており、世界中から学生アスリートがIMGアカデミーに集結します。
まさに、ここにしかない環境があるのです。

最後に

IMGアカデミーは、世界トップアスリートを目指す学生にとって、夢を実現するための理想的な環境が整っています。厳しいトレーニングと充実した教育プログラムを通して、学生アスリートは心身ともに成長することができ、それぞれのスポーツで最高のパフォーマンスを発揮することができるようになっています。今回IMGアカデミーの紹介を通して、アメリカではスポーツへの投資が積極的に行なわれていることを改めて感じましたし、成長には環境の構築が大切なのだと実感しました。

今後、IMGアカデミーはより大きく、より世界に影響力のある学校に成長していくと思いますので、これからも注目していきたいと思います。

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