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握力はあなたの体のバロメーター【DoctorTのスポーツ・エクササイズ医学】

こんにちはDoctorTです。夏休みももう終わりですね。みなさんはどのような夏を過ごされましたか。

私は、中学生のソフトテニス、ソフトボールの大会救護に行きました。
テレビの画面越しではなく、自ら屋外の会場に出て今の暑さが尋常でないと肌で感じました。夏のスポーツの実施については考え直すときが来ている気がします。

さて、今回のテーマは、そんな暑さとは関係のない話題ですが、「握力」です。


医療者向けの英語サイトMedscapeの記事を参考にしています。

握力なんて小学生の時の体力テストで測って以来という方もいるのではないでしょうか?

そんな握力ですが、握力計で簡単に測れて数字で客観的に判断できるので注目されています。

握力は体全体のことを反映している

確かに握力は、体の先っぽにある手で物を握る力です。でも、体が弱くて、握力だけが強いひとはちょっと思いつかないですよね!

握力から、体の他の部分の筋力を正確に知ることはできませんが、大まかに全身の筋力や機能が落ちているかどうかは推定できるのではないかということです。

こないだ、公園でうんていをやってみましたが、子供の時はスイスイできたのに全然思うように手が運べませんでした。体の重さもあるでしょうが、握力が弱ったと感じました。みなさんもそんな経験ありませんか?

年令による握力の変化

6−80歳のアメリカ人7119人を対象にした握力に関するある研究(Petersonら2016)によると、男性の場合は6歳頃から25歳にかけて急激に伸び、女性は15歳くらいまで徐々に伸びるという結果が出ています。男女とも中年以降低下。男性の方が落差が大きいという結果でした。

男性は<26kg、女性は<16kgで握力が弱いと言われていますが、もう少し、体格による握力への影響も考慮して(握力÷自分の体重)で握力の変化を見たのが下の表です。

握力と健康

握力と健康の関係は、タイアの圧とタイヤの状態に似ていると言っています。

「タイヤに穴が空いていると空気圧が下がるけど、圧だけではどこに穴が空いているかわからない。」

これと同じで、体に不調があると握力が落ちる。でも、どこが悪いかは握力が示すわけではない。ということです。

若くても年を取っても健康の指標として使えるかもしれない

高血圧やがんといった体の疾患だけでなく、うつ病など精神的な問題でも握力は低くなるようです。確かに病気を抱える頻度は高齢になるほど多くなります。ただ、持病の少ない若者の握力と健康の研究も進められていて、若くても握力と健康には相関があると考えられてきています。

上の研究を行ったPetersonは握力がその人の健康状態を反映しているのであれば、これを健診の項目に入れられるのではないかと考え、握力のさらなる分析をしているようです。例えば握力の左右差が大きい場合、何度も繰り返して測定していく中で低下の幅が大きい場合など、それにリンクする全身の状態がないかを調べているみたいです。興味深いですね。

握力が低くなっていたらどうするか

握力を鍛えるためにハンドグリップで毎日鍛えてほしいわけではありません。

最初にお伝えした通り、握力は全身の筋力など機能を反映しているので、自分の体、さらにそれを作り出している自分の生活を一度見直してもらえたらと思います。

日常的に体を動かしていますか?
なにかできることはありませんか?

どんな運動で握力が上がるかをまとめた研究もあります。(Labottら2019年)

もちろんノルディックウォーキングのように、ストックなどを握って行うスポーツにおいて握力は上がりますが、それ以外の運動でも効果があります。

特にいくつかの要素(筋力、バランス、柔軟性、有酸素能力)を含む運動で、より効果があるようです。ヨガや太極拳はいいですね。詳しくは、以前の記事「ちゃんと取り入れたい運動の4要素」を参考にして下さい。

まとめ

  • 握力は体全体の筋力や健康を反映している

  • 低下していたら一度自分の体と生活を振り返ってみよう

  • 全身を動かす運動で握力も改善する

握力が落ちると生活の中でできないことが実は増えてきます。ビンの蓋開けもそうですね。握ることに絡んだことが徐々にできなくなってきたら、それは握力が落ちてきているからかもしれません。一度自分の体力や健康を見直してみましょう!

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