見出し画像

#12 スポーツドリンクはどう選択するべき!?

 前回まで数回に分け、熱中症の仕組みや予防、その対処法についてご紹介させて頂きました。暑い環境下での運動は発汗量が増えることで体温調整に支障をきたすリスクが上がります。そこで今回は、運動中のスポーツドリンクの種類やその役割に関して情報をシェアさせて頂こうと思います。

スポーツドリンクの種類

 スポーツドリンクには大きく分けて2種類あり、それぞれの濃度によって役割や摂取のタイミングが異なります。スポーツドリンクとその他のドリンクとの大きな違いは塩分と糖質の含有量のバランスにあります。塩分を含まない水分を多量に摂取することは体内のミネラルバランスを崩し逆に熱中症のリスクを高めてしまう可能性もあります。各成分の濃度やバランス、役割などを整理することで自分に合ったドリンクを選択できるようにしましょう。

種類別にドリンクの濃度をまとめてみたのでご参考下さい。

スポーツドリンク  
  【アイソトニック=濃い】
  ○濃度が濃い(甘い/塩味が強い)
   糖質→4-8g/100ml中
         塩分→0.1-0.2g/100ml中
  ポカリスエット/アクエリアス/エネルゲン etc
 【ハイポトニック=薄い】
  ○濃度が薄い(糖質は控えめ)
         糖質→2g前後/100ml中
   塩分→0.1g前後/100ml中
  イオンウォーター/アミノバイタルGold etc
その他
 【経口補水液】
  ○濃度が薄い(塩味が非常に強い)
         糖質→2g前後/100ml中
   塩分→0.3g前後/100ml中
       OS-1/アクアソリタ etc

アイソトニック・ドリンクの役割

 このドリンクは、糖質の含有量が多いのが特徴です。糖質は運動時にエネルギー源として利用される為、運動前や運動中のエネルギー補給として活用されています。しかしながら、濃度が濃い為、消化に負担がかかることから練習前や試合前の摂取がオススメです。但し、運動の強度や時間の長い(マラソンやトライアスロン、自転車etc)競技においては、競技中の糖質補給として活用することもできます。
糖質を多く含むドリンクを活用する際には、練習などで事前に試した後に消化で問題がないようであれば試合で活用することをおススメします。
運動中は、多量の発汗により水分と塩分が失われることがあります。水分とミネラルのバランスが崩れることは、体がつったり痙攣することにもつながります。
喉が渇いてからでは、軽い脱水状態になっていることもあるので練習や試合中は定期的に水分と塩分の摂取をしておくことが重要です。スポーツドリンクを選択する際には、塩分が含まれていることが非常に重要なポイントとなるので、成分表の確認を忘れないようにしましょう。

ハイポトニック・ドリンクの役割

 このドリンクは、アイソトニックに比べて糖質と塩分の濃度が半分程度になっているから吸収が速いのが特徴です。消化への負担も低いことから運動中のミネラルや水分補給に適しているドリンクということができます。運動時間が長くなる場合には、エネルギー補給も考え、アイソトニック・ドリンクと併用して利用するのもオススメです。

経口補水液

 このドリンクは、上記2つの種類のスポーツドリンクとは役割が異なります。主に失われた水分やミネラルを補給することが第一の目的となり、電解質濃度(ナトリウムやカリウムetc)が高く、水分と電解質の体内への吸収を速める為に糖質の濃度は低く抑えられているのが特徴です。熱中症の症状(めまいや立ちくらみ、倦怠感、痙攣、体温上昇 etc)が出た際には積極的に補給するようにしましょう。

まとめ

 これから夏に向け急激に気温が上がり、熱中症のリスクも高まります。水分摂取に関しても情報を把握しておくことで効率よく水分補給ができるようにしておきましょう。最後に、この情報が親御さんや監督・コーチの方々のお役に立てば幸いです。

P.S.
 長男は宿題を計画的にやり、長女は僕と一緒でギリギリに一気に片付けるタイプ。性格は遺伝するのか、しないのか。

 プロフィール
大城英稔(おおしろ ひでとし)

学歴
東京都 玉川大学文学部教育学科健康教育コース卒業
米国 マーシャル大学大学院 運動生理学専攻 卒業

略歴
スポーツおきなわ 代表理事
沖縄国際大学 非常勤講師
沖縄県スポーツ協会 医科学スタッフ
沖縄県テニス協会 医科学委員長
元国立スポーツ科学センター常勤トレーニング指導員
元Bリーグ琉球ゴールデンキングスストレングス&コンディショニングコーチ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?