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どうして英語ってこんなに難しいの?: (17) ハグリッドとイライザの非標準英語

今回は英語の方言のお話です。また英語の歴史のお話でもあり、アルファベットのHのお話でもあります。

よく知られるように、世界共通語 Lingua Franca である英語は世界の広い地域で話されていますので、いろんなヴァリエーションが存在します。

Lingua Franca

Lingua Francaとは、文字通りに解釈すると、「フランク人の言葉」。

フランク人は現代のフランスの人たちのことを指す言葉。ローマ帝国亡き後のヨーロッパを統一したシャルルマーニュ(カール大帝)の作り上げた王国の名はフランク帝国 (481-814) と呼ばれますよね。

フランク帝国は西はスペイン東部から南はイタリア半島の北部、東はポーランドという大きな国でした。From Wikipedia

そのフランク帝国の言葉は、現代のフランス語やドイツ語の基となった古いヨーロッパの言葉のごった混ぜな言葉でした。

大きな帝国の公式な言葉は神の言葉であるラテン語で書かれるのが常でも、喋り言葉はラテン語やら現地語のごっちゃ混ぜな言葉。方言だらけだったので、共通語として為政者はラテン語を重んじましたが、喋り言葉はやがて洗練されて、イタリア語なりフランス語なりドイツ語として体系化されてゆくのです。

つまり、Lingua Francaとは、外国人から見たフランク人たちの言葉という意味。ここでの外国人とは、フランク王国の南方の南イタリア諸国の人たちや地中海の向こう側のアラブ人のこと。

フランク人と交易した外国人からすれば、フランク人の言葉とは、統一性のない(フランス語やイタリア語やドイツ語などの古い形の言葉)アクセントの安定しない、多様性の多過ぎる言葉だったのです。

いろんなアクセントや発音のクセがあるけれども、みんなが喋っている共通語、それが Lingua Franca なのです。

現代の英語はそういう存在。

別々の飛行機のパイロット同士のコミュニケーションや、世界のどこかの国際会議でも、英語が基本的に使われるのです。

インド訛りもアメリカ南部路訛りもオージー訛りも、またはマオリ人やソマリア人の喋る英語も、みんな英語。

それぞれの土地の個性を備えていて、それぞれに個性的。どれが一概に最も正しいとは言えないのです。

方言は文化であり、個性。優劣の問題ではありませんが、広く理解されるためには、自分の英語のアクセントの特徴を知っておくことは非常に重要です。

一般に英語の発祥の地である英国のBBC放送の英語が最も標準的な英語とされます。アメリカのCCNも、オーストラリアのABCも、現地固有のアクセントを極力抑えた、美しい国際語としての英語を用いて放送しています。アメリカ英語が世界を席巻しているようでも、ディズニーなど世界中の聴衆を意識している映画会社は、癖のない世界共通語としての英語に拘ります。

いわば無個性的で、純粋培養な人口言語ですが、だからこそ、標準=平均の言葉と言えます。

日本語で言えば、NHkのアナウンサーが標準日本語であると言われているようなもの。現代の標準日本語は、標準日本語の基準として採用された東京方言とは少しばかり違うはずです。

いわゆる国際標準英語を喋れるようになっても、母国語のアクセントはどこかに残されるものです。アクセントのない英語なんて存在しません。

英語を母国語としない人のために、Accent reduction programme (アクセントを減らすプログラム)というものがありますが、それは決してAccent Elimination programme (アクセントをなくすプログラム)ではないのです。アクセントのない英語なんて考えられないからですね。

ここから英語のアクセントと発音の癖の問題を考えてみましょう

外国人の英語アクセントと訛りのあるネイティブな英語の違い

よく日本の方はインド人英語が難しいと言われます。

確かに普段映画などで聴き慣れているアメリカ英語とは異なりますし、インド英語の土台となったイギリス英語とも違います。

わたしは英国的英語に日常的に取り囲まれていますが、やはりインド英語は英国式とは違うなと感じます。

インド英語はイントネーションの波の幅が異なります。

美しいわかりやすい英語は、口を大きく開いて、強弱の音節の違いを明確にする、抑揚の大きな喋り方が特徴です。口の周りや口の中の筋肉の使い方が明らかに日本語とは違います。

インド英語がわかりにくいのは、インド現地の言葉の影響で、現地語を喋る筋肉のままで英語を喋っているから。さらにはマシンガントークと呼ばれるほどに高速です。これはインドの言葉、ヒンディー語がそんな風に話されるから。

インド人はあまり口を動かさない。音の高低があまり明確にはならず、メリハリに乏しい。

それでも発音トレーニングを受けていない日本人の英語とは違って、英語ネイティブには理解されます。多民族国家のインドの公用語の一つですからね。

イントネーションは違っても、リズムが個性的でも、RやLやTHなどの子音の発音はしっかりしているからです。ここが日本人英語とは決定的に異なるのです。

インド人は英語の音を作り出すことに習わなくてもあまり困難さを感じないのですね。おかしなイントネーション。でも英語なのです。下のビデオはインド人英語ネイティブの女性がIndianismはだめだと、ヒンドゥー語のアクセントで(超高速で抑揚のない)英語を話すのはやめましょうという動画。

インド人があんな高速な英語を話すのは、日本人がカタカナ英語を喋ってしまうのと同じ理屈です。

でもインド英語は日本人英語よりも圧倒的に理解される。

外国人の喋る英語でも、ロシア人やポーランド人の下手な英語はそれなりに聞ける。子音や母音の発声にあまり困ることがないからてす。

抑揚のない平板な言語の日本語話者は、ほんとうにたくさんの英語を喋るために不利な条件を抱えています。

抑揚以外にも、例えば、日本語のラリルレロは英語にはない音です。英語のD音に近い音として、英語話者の耳には理解されます。時にはL音だったりもするのですが、いずれにせよ、ヘボン式ローマ字で綴るようなRでもない。

ですので、ある文章を読み上げても、RやLやDがこんがらがって聞こえてしまう。VもBも通じない。次のようなことを相手に伝えたくても、

My English vocabulary is strong enough to read, but because of my accent, they don't really understand me when I speak in English

英語文字をキチンと相手に通じる音で発音できないと、相手にはこう聞こえるかもしれない。

My Eng'ish bocabu'a'y is st'ong enoughu to 'ead, but because of my accento, they don't 'ea'y anderstando me when I speaku in Eng'ish

というような訳のわからない音をネイティブはあなたの喋る英語に聞いているのかもしれない。ちょっと大袈裟に書き換えすぎましたか。でもこんな風に喋っていて気がついていない人はかなりの数になるはずですよ。

英文を読む自分の声を録音して聴いてみてください。その昔、私もやってみて、ショックを受けました(笑)。

日本語は母音中心に構成されている言語なので、母音なしで子音を発音するのは、日本語ネイティブには非常に難しい。母音の数だって限られているし、子音も足りない。

でも同じ感覚でインド人やロシア人が同じ文章を喋っても、きっと通じるのです。誰でも外国語を話すとき、母語に引っ張られてしまうものです。

ドイツ人は英語のWをVと発音するけれども、VはWに近い音で、英語会話でそれほど頻繁に出くわす言葉ではありません。ThやLが発音できないのと訳が違う訳です。

ですので、音素に富むインドの言葉を喋るインド人は英語を喋っても、それなりに英語に聞こえるのです。そしてそんなインド英語はインド人の数の多さゆえに国際社会で市民権を得ようとしているのです。

インド英語も国際語である英語の一方言となりそうですが、日本語のヘボン式ローマ字英語はクレオール化して世界の言語の新しいタイプとして認識されることはないだろうなと思うのですが、日本国の国際的地位がまずます低下して、アメリカの属国などに成り下がり、英語が公用化される日には、日本人英語という新しい英語のヴァリエーションが世界的に認識されるのかもしれませんが。そんなことにはならないと願っていますが。

英語オリジナルな方言

さて、外国人に利用される便利な国際共通語としての英語ではなくて、英語の生まれた土地である英国には、さまざまなアクセントによる方言の存在が知られています。

「名犬ラッシー」の原作を英語で読んでいて、こういう文章に出会い、ウームと唸りましたね。

"Hynes!"
"Yes, Miss Priscilla?"
"Why does the dog run home to them? Isn't she happy here?"
"Why, bless yer 'eart. Miss Priscila, of course she's 'appy - a fine, kennel like she's got. She just runs 'ome because they've trained 'er to do it. That's the way they do - steal 'em back and sell 'em to somebody else before ye could say Bob's yer uncle." 
Priscilla wrinkled her nose in thought. 

Lassie Come Home, Chapter 5
犬番のハイネスはスコットランドの方言を話す男。
プリシラお嬢様に問い詰められてしどろもどろに言い訳します。
Hが発音できないので、Happy は、'appy,  Homeは、 'omeとして喋ります。
他にも、yerはyourで、'emはThemと、Thも省略されたりもします

また以前読んだ「ハリーポッター」シリーズでは、主要キャラである巨神族の末裔のハグリッドは、英国西部英語 Western Country English の訛りを喋ります。後述の地図で示される西南端の地方で話されている英語。

原作では、上記のラッシー同様に、Hの単語の冒頭のHをアポストロフィで置き換えたり、Ingの最後のgを欠落させる(舌を巻き上げて)などして、ハグリッドの訛りを表記します。初めて読んだ時には読みにくくて苦労しました。

映画でもスコットランド出身のロビー・コルトレーンが見事な方言アクセントを駆使してハグリッド役を演じました。

第三巻には、ロンドン下町訛りの、Knight busのガイドのスタン、いわゆるコックニーを喋る青年が登場します。

Stan Shunpike

ハリーポッターを

‘Arry Potter

と呼ぶのです。映画よりも原作の方が彼のセリフが多くて、よりコックニー Cockney を楽しめます。

以上のように、英語方言として認識される英語に共通する典型的な特徴は、語彙や微妙なアクセントの違いを除けば、次の3点に集約されます。

  1. Hの欠落

  2. 過剰なR

  3. 三単現の使い方の違い

H-Droppingとは

フランス語ではHは発音されないというのはよく知られていますよね。イタリア語でもHは発音されません。

フランス語人が英語を喋ると、発音トレーニングを受けない限り、日本人がRやLやThやVやFを発音できないように、Hがあやふやな英語になります。イントネーションも日本人英語のように平板になりがち。

抑揚アクセントのないフランス語を母語とする話者は、英語やドイツ語を喋るのには不利なのです。

英語は歴史的にフランス語の影響を色濃く受けた言語ですので、Hを発音しない綴りの単語がありますよね。

Hour, Honour, Heir, Honest

こういう単語は明らかにフランス語系。

語中ではHは音を伸ばす表現にも使われますが、いつだってそういうわけでもない。

When, Where, Echo, Rhythm, Rhino, Vehicle, School, Stomach, Scheme, Technical, Psychology

と上げてゆけばキリがありません。

でも面白いのは、フランス語っぽいから、Hを発音しないと高級に聞こえるかというとそうではないことです。

フランス語を日常的に喋っていた宮廷以外では、Hの音を発音しない英語が発達して、イギリス各地の方言として、その名残りを現代にまでとどめているのです。やはり為政者の都合でこうなったのでしょうか。

Hのスペルの言葉でHを発音しないことは、田舎発音として美しくないとされます。

イギリス本当におけるHを発音しない地域の図式化。
西南部とスコットランドとイングランドの大部分はHを発音しないのです!

コックニーは教育を与えられなかった労働者階級の中で発達した英語とされています。ロンドン下町のコックニー訛りでは、ハリーがバスガイドに「アリー」と呼ばれるわけなのです。

(労働者が集まる)ソーホー広場の彼らがHなしで喋るのを聞いてごらん

H音の欠落は英語のみならず、世界の言語のいろんな方言でも見かけることのできるものです。

江戸弁を駆使する江戸っ子は、「ひ」を「し」と無意識に発音しますよね。舌の位置の問題でもあり、息の吹き出し方の問題でもあります。「ひ」と「し」を交互に自然に発音すると、「し」では舌が下前歯の裏に就くことが分かりますが、そのままでもわたしは「ひ」の音を発声できます。何が難しいのか、自分にはよくわからない。

誰にでもできることではないのでしょうか?英語舌を持っているからかもしれません。

英語を母国語としない人で、HeとSheを区別できない人もいます。

Hは日本人には別段難しくない音なのですが、世界の言語の中では、複雑な音のようですね。スペイン語のXやドイツ語のBuch (英語のBook) のchの音はHよりも深い喉の奥から息を吐き出す音。Hは意味深い音なのです。

Hという音、一般的な日本語話者には難しくない音で幸いでした。

My Fair Lady (1964)

さて動画で英語発音の面白さを楽しく学ぶには、やはりMy Fair Lady。

ハートフォードに、へアフォードに、ハンプシャーでは、ハリケーンは絶対にありえない
(アートフォードに、エアフォードに、アンプシャーじゃあ、アリケーンなんてのは、あるわけないのよさ)
こんな感じに響くのかも(笑)

典型的なコックニー話者のイライザは、Hが発音できない。舌の動きの癖なのでしょうね。

誰もTike(タイク)ではなく、Take(テイク)が正しいと教えないと嘆くビギンズ教授
Why can’t the English learn to speak?

イライザは、スペイン Spain をスパイン Spine と発音してしまいます。長母音の「エイ」を「アイ」と発音してしまう。

The rain in Spain stays mainly in the plain!

日本語話者には「エイ」は難しくないのは良かったですね。
でもこの文章、日本語話者は、RainのR, MainlyのL、それにTheやPlainのPlが難関ですね。

ビギンズ教授は、寝る前にこの文章を五十回読むことという課題をイライザに与えます。彼女の努力はやがてこの歌に結実します。

My Fair Ladyは英語発音学習者のためのバイブルのような映画です。

大好きな映画で、名場面の名セリフを諳んじているほど。

喋る言葉で人を差別する階級社会への風刺として最高な作品!

コックニー訛りだといい仕事に就けないとか、地方の方言を喋る人が差別されるのは万国共通ですが、英国においては、上流階級英語を喋ることは上流階級社会への参加の最低条件なのです。

英国以外でも、標準英語の発音とアクセントができないと、教職などには就くことはできないのです。

Bernard Shaw (1856-1950)

もともとは英文学者のバーナード・ショー の戯曲「ピグマリオン」が原作ですので、英文学としても超一流な英語がちりばめられている作品。いろんなセリフ、暗記する価値はありますよ。

ショーは1925年にノーベル文学賞を与えられています。

バーナード・ショーは英語がスペルの余りに不規則なことをあてつけて、FishなどGhotiと書けばいいじゃないかと語った不遜な人物。

英語の達人だから言えること。ユニークな文学者ですね。

  • EnoughやRoughやToughのghは、Fと同じ音。

  • Womenのoは、I(短いアイ)と発音されます。

  • MotionやNationやNotionやPortionのtiは、Shの音です。

組み合わせるとこうなるのです。ああ英語って!

Hの行方

面白いのは、コックニーアクセントのHの欠落は、オーストラリアやニュージーランド英語にはかつて存在したそうですが(現在ではあまり聞かれません)、アメリカ英語には歴史的にほとんどなかったいうこと。

英国からのアメリカ移住者はHを発音する地域の人たちが新大陸へと渡ったのですね。

オーストラリアのよく知られたトゥダィという発音も、ニュージーランドにはないですし、どこの地域の英国から移住してとの英語方言が世界中に広かったのかを考えることは興味深いことです。

マイフェアレディ、日本語版で、亡くなられた神田沙也加さんの映像をみつけました。「日は東、ヒナゲシ」という風に日本語に見事に翻訳していますよね。ハヒフヘホの「ヒ」が発音できないという江戸弁話者のようなイライザなのですね。

Too much Rs

これはイギリス英語とアメリカ英語の違いとしてよく知られています。

アメリカ英語にはやたら喉の奥を鳴らす深いR音があらゆる伸びる音に含まれます。このRは、Hの欠落とは異なり、書き言葉として表記は不可能。

Firstと書いて、書かれてある通りにRを発声しているのが、アメリカ式。

イギリス式ではRはサイレント。しかしながらアメリカ式の方が書かれた通りに発音されるかというとそうでもない。

Forehead(ひたいのこと)と書いて、カタカナでフォリッド、またはファリッド

/fάrɪd, or fˈɔːrid/

と呼ぶのがアメリカ式。Hの欠落からHeadを「ヘッド」という読み方はしないのです。

イギリス式では

/fˈɔːhèd/ フォーヘッド

Hは発音されます。

でもコックニー式だと、きっとフォエッド。もしRを含むならば、フォレッドになるでしょうか。

Wouldn't it be loverly?

Rで面白いのは、なんといってもこの歌です。

Lovelyラヴリーがラヴァリーと聞こえるのは、Rのため。延びる音にRをやたら入れてしまうとこんな風にもなるのです。

Loverlyという綴りになって、Love(愛)がLover(恋人)に。

寒い冬の街角で暖かな春と素敵な彼氏を夢見る歌、ほんとに素晴らしい名曲です。素敵な掛詞です。

All I want is a room somewhere(ただ欲しいのは部屋をひとつ)
Far away from the cold night air(どこか夜風にふかれることのないところ)
With one enormous chair(とっても大きな安楽椅子があるの)
Oh, wouldn't it be loverly?(ねえ、素敵じゃない?)

Lots of chocolate for me to eat(チョコレートもたっぷり)
Lots of coal makin' lots of heat(暖かにしてくれる石炭もたっぷり)
Warm face, warm hands, warm feet(暖かい顔に、手に、足)
Oh, wouldn't it be loverly?(ねえ、素敵じゃない?)

Oh, so lovely sittin' abso-bloomin'-lutely still(ああ、素敵、椅子の上で絶対に、花が咲くまで、じっと動かないで座ってるの)
I would never budge till spring(春が窓枠のところに訪れるまで)
Crept over the window sill(決して動いたりしないわ)

Someone's head restin' on my knee(誰かの頭がね、私の膝の上にあるの)
Warm and tender as he can be(暖かで、優しい彼)
Who takes good care of me(私を大事にしてくれるわ)
Oh, wouldn't it be loverly(ねえ、素敵じゃない?)
Loverly, loverly, loverly, loverly

筆者拙訳
Absoluteという単語の間にBloomingが組み合わさっています。
なかなかの造語力ですね、イライザは。英語でこういうのは珍しい。
Oh, so lovely sittin’とこの部分だけ、Loverlyでないのは余りに早口で歌うからですね。

Ain’tという表現

貧乏な女の子に関わろうとしない人なんか、紳士なんかじゃないわよ

三番目は、上流階級で正しいとされる英文法が、ある地方や労働階級では通用しないということ。

ain’t は、am not、are not, is not の短縮形だと定義されています。has not にもhave not にも使われて、主語がHeでも、Sheでも、Itでも使用可能。便利ですが、Informalな語法。

デューク・エリントンの「スイングしなけりゃ意味がない」は、It don’t mean a thing if it ain’t got that swing ですよね。

こういう語法は大学受験やTOEFLなどの試験には出てこない英語語法かもしれませんが、上記の名犬ラッシーやハリーポッターを読むには必要な知識。

まあ英語にも日本語と同じくらいにいろんな方言があり、日本語以上に標準とされる標準語から外れた音が認められる国際語の英語。

でも日本語話者は、英語の子音を全て発音できるようにならないと、通じる英語にはならないのです。

日本人にはHが発音できなくて困るということは、自称江戸っ子の方以外はほとんどあり得ないでしょう。

日本語の文法書は、Ain’tやHe don’t を教えない。または間違っていると教える。

そもそもRはできないし、英語ネイティブだけど、正しいとされる英語を喋れない方々の大変さはには共感しないけれども、英語を母語としても、英語をきちんと喋れない人がいることを知っておくことはいいですよね。

英語も日本語もどちらもそれぞれに特有の難しさを抱えているのです。

「ハリーポッター」のハグリッド、「マイフェアレディ」のイライザ、の二人に学ぶ英語方言のお話でした。

世界共通語 Lingua Franca。日本語訛りの英語も可愛いですよ。でも相手に通じる英語を喋れるようになることは不可欠。きっと誰にでも喋れるようになります。

あなたはネイティブのように喋れる必要はない。でも共通語を駆使できる人であることは、あなたの人生を本当に豊かにしてくれるんですよ。世界中の人と語り合えるのですから。

現代の英語とは、アメリカという国限定の言語でも、イギリスという地方の言語でもないのです。

Loverlyな人生は、英語はLingua Francaであるという認識から始まります。


ほんの小さなサポートでも、とても嬉しいです。わたしにとって遠い異国からの励ましほどに嬉しいものはないのですから。