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2022夏の映画合宿 in 高崎

皆さんこんばんは。
いかがお過ごしでしょうか。

わたくしはと言いますと、帰省していた地元から東京へと舞い戻り、脅威のラインナップを見せつけてくる今夏の上映会の数々に、必死こいて追いつこうとする幸せな日々を送っています。

直近ですと、長らく楽しみにしていた『ロミー・シュナイダー映画祭』に行って参りました。平日の上映会にも関わらず、大先輩方(=おじい様・おばあ様)が劇場を8割型埋めるという光景を目にし、なんだか心が温まった次第です。


それはさて置き、私は今月中頃に少しばかり遠方に出かけて参りました。今回は、その小旅行について綴りたいと思います。






私は8月中頃、母と共に群馬県高崎市へ1泊2日の小旅行へ出かけました。その目的は、

『生誕90周年上映 フランソワ・トリュフォーの冒険』

を、鑑賞することです。


6月に都内で行われていた当上映に、当時多忙を極めていた私は結局1本も見に行くことが出来ず、意気消沈していました。ところが、噂には聞いていた「シネマテークたかさき」なる地方のミニシアターで夏休みに遅れて上映されるというではないか… 

しかも、上手いこと2日間で「ドワネルもの」が全制覇できるようなスケジュールが組まれているではないか…

ということで、両親を口説き落とし、連作「ドワネルもの」5作品を全て見るため"だけ"に、母とふたり遥々高崎へと向かった訳であります。(都内でアンコール上映が行われることを知ったのはその後のことでした。。汗)

そう、「2022夏の映画合宿 in 高崎」
でございます。


2022年8月/ マチルダ撮影

やってきましたシネマテークたかさき。
期待高まる店 (?) 構えです。

2022年8月/ マチルダ撮影

やってます、やってます。
いつもの定位置に座席を確保し、いざ鑑賞。


まずは、
12:05~ 『アントワーヌとコレット 〜20歳の恋より〜』と『夜霧の恋人たち』の併映です。

理屈っぽい読書家なのに、素っ頓狂な思考回路のアントワーヌが愛くるしい。向かいの家に引っ越すのは流石にやりすぎだろと思いましたが(笑)。



次に、
14:30~ 『家庭』

『大人は判ってくれない』を別枠としたとき、私はこの作品が最も好きです。日本が持ち出されていることが深層心理に影響しているのではという指摘は否めませんが、当時のフランス社会が表象した"日本"の姿に気品があって誇らしいからです。日本人女性も「勝手にしやがれ」と言えるのです。




そして翌日、
12:05~ 『逃げ去る恋』
アントワーヌ・ドワネル5部作これにて完結。

正直、前半の回想シーン過多はいかがなものかと思いますが、懐かしのオールキャストで逃げ去る恋を捕まえようと奔走していて、なんとも微笑ましい最終作でした。



ラストは、
14:10~ 『大人は判ってくれない』です。
初めて見た時とはまた違った印象を受けました。新たな発見も沢山ありました。

私は、フットボールの最中に逃げ出したアントワーヌが海へと走るシークエンスが非常に好きです。この一連のシーンは恐らく、人間の脳化学的に最も心地良い尺では無いと思います。少しばかり執拗に描写する少年の運動を捉えたこの映像から、それまで抑圧されていたアントワーヌのアイデンティティが解放されていくような感覚を私は見出しました。


大人は判ってくれない。
その現実に虐げられた彼もいずれは大人になります。この世とは何て皮肉なのでしょうか。

しかし、その事実から逃げも隠れもせずに、フランソワ・トリュフォーとジャン=ピエール・レオーは長い年月をかけて物語を紡ぎ続けました。それを、彼の生誕から90年後に生きる私たちが目撃できることは、とても幸せなことだと思うのです。




私の母は、特段映画が好きなわけでは無いので、トリュフォーと言っても「はて?」と言った様子でしたが、さすが私の倍以上の歳月を生きているだけあります。分からないながらに自身の人生経験と重ね合わせて楽しんでくれたようでした。


母と映画と夏の思い出。
非常に良い時間となりました。



最後まで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、恋のサラダにドレッシングをかけまくっちゃいたいぐらい嬉しいです。

ありがとうございました。

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