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中山間地域における地方創生*教育機関連携の意義

皆さん、こんにちは。白石です。

今日は邑南町における地方創生と地域に立地する高校との関係性について
に関連したことを整理してみたいと思います。


邑南町における地方創生

邑南町における地方創生という捉え方をすると、個人的には3本の矢として理解しています。

第1の矢:日本一の子育て村構想

邑南町は全国的にも早い段階で子育て環境整備に力を入れてきました。
2011年度に、日本一の子育て村構想を打ち出して、子育てするなら邑南町、という環境整備に行政が力を入れてきました。
このあと、しばらくしてから3年連続で社会増を達成するなどの効果が生まれています。

子育て村構想の中でも、個人的に大事だなと感じているのは、小学校を統廃合しない、という方針を町長が堅持していることです。
田舎暮らしをしたいと思う若い世代がいたとすると、子育て村構想に引かれる人はここで子育てしたい、子育てするならこの町、と思ってくると思います。
そういった人が、暮らす地域をわざわざ小学校がない地域を選択するか、という話かなと。もちろん、100%選ばない、ということはないですが傾向として子育てしやすい町を期待して来たら小学校がないエリアは選ばない可能性が高いよね、という話です。
小学校を安易に統廃合するとき、こういうことをどこまで実感として議論できるかは重要な気がします。

他方、保護者としては規模の小さすぎる学校では不安を覚える、という気持ちそのものはわかる気がしますが、あまり不安に思わなくていいのではないかと思います。
自分が子どもの頃、比較的大きな小学校でしたが、コミュニケーション能力がずば抜けて高くなったわけではないし、むしろ人と話すことは苦手だった。
人と話すには、素のスキルの高低もあるのでしょうが、個人的な経験からいえば、「体験の引き出し」が多ければ話せることは増えるし、自信にもなると思いますので、小規模校で地域の大人や他校との交流が多い方がそういう引き出しは増えるのでは?と思います。同世代の子たちが多いとその中でのコミュニケーション、コミュニティだけで完結できてしまうから。

第2の矢:A級グルメ構想

邑南町では同時期に「A級グルメ構想」と呼ばれる構想も打ち出し、「耕すシェフ」などの名称で、食と農の分野に特化する形で地域おこし協力隊を公募してきました。
その結果、多くの主に若者が地域おこし協力隊として邑南町に着任し、そのうち一定の卒業生は町内で飲食店を起業するなどして活躍されています。
全国的にどこまで広まったかはわかりませんが、少なくとも中国地方あたりでは「邑南町=A級グルメの町」という認識は一定程度広まっていたのではないでしょうか。
地域づくりの分野では邑南町に関わる前からよく聞くワードでした。

第3の矢:総合戦略と地区別戦略

そして地区別戦略です。
第1,2の矢は若者世代を主なターゲットとした移住・定住促進政策だったと理解しています。
他方、地区別戦略は移住者等を受け止めるエリアコミュニティの自治力向上のための取り組みであると考えています。
自治力向上というのは、自分たちが暮らす地域の現状や問題を明らかにし、共有し、目指す方向性を地域として合意し、そこへ向かうためのアクションを実行し、またチェックするというサイクルを回すことを通じて、自分たちで暮らしの環境を維持したり良くしたりするものであると考えます。
12ある地区がそれぞれ自分たちのエリアの問題をアンケート調査や会議等で共有しながら取り組む事業を決めていく。そして実行し、反省会をし、改善する。
そして年1回、全体で集まって事業の報告会・共有会を行うことで刺激し合う。

地区別戦略(ちくせん)年度末報告会/今年(2023)も開催予定

矢上高校と魅力化、そしてコンソーシアム

こうした地方創生の取り組みの中、地域づくりとは少し距離のある教育分野でも動きがありました。
島根県は隠岐・海士町の隠岐島前高校からスタートした「高校魅力化」の取り組みが島根県全域に広がり、邑南町にある矢上高校も魅力化に取り組んできたのがこの時期です。
矢上高校では将来ビジョンを策定し、現在は第2期将来ビジョンに基づき魅力化を推進しています。
そして、この将来ビジョンで定めた方向性に沿って進んでいくためのサポート組織として「矢上高校と地域の未来をつくる会(コンソーシアム)」を設立したのが令和3年3月。
コンソのコアは、高校の魅力化担当教員、魅力化コーディネーター、行政担当者、運営マネージャーというところ。

コンソーシアムとして魅力化を現在のところでは次のように位置づけています。

いまはコンソーシアムの運営マネージャーも務めさせてもらっていて、コンソーシアムの事業推進にも関わらせてもらっているのですが、地域づくりの感覚とはまた大きく異なる文化であるなあと感じます。

地域における高校の存在感

地区別戦略の伴走支援をしていると、高校生と一緒に何かイベントをしたい、高校生の力を借りたい、という地域はいくつかありました。
他方、大学もそうですが今の学校はとにかく児童・生徒・学生を地域に出していくということを求められているので、高校も地域と連携したり地域に出ていくことが要請されているのだと思います。
地域に出る、地域と連携するという部分について矢上高校は、10年近く前から魅力化コーディネーターの努力によりかなり開拓されています。
そうした意味でも、邑南町において矢上高校の存在感は大きいものがあります。

矢上高校の魅力化・将来ビジョン

この記事を書き始めてもう数週間・・・・。
高校の魅力化・将来ビジョンについてはまたの機会にしたいと思います。

ありがとうございました。

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