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「時をかける少女」大林宣彦監督の傑作

大林宣彦監督の訃報。追悼の意を込めて。

大林監督が4月10日亡くなった。大林監督の最新作「海辺の映画館 キネマの玉手箱」を非常に楽しみにしていた最中でまさかのお知らせ。コロナの状況で、新作が公開延期になることは、予測していました。しかし、大林監督がまさかこのタイミングで亡くなるなんてまさかすぎました。もともと「海辺の映画館 キネマの玉手箱」は4月10日に公開予定でした。その日に亡くなるなんて、まるでこの映画のために生きてきたと思ってしまう、この映画のために命をかけて命の灯を絶やさないよう頑張ってきたのだとそういう風に思ってしまう。重いガンにかかっていたとは知っていたけど、まさかこのタイミングとは…とても悲しいです。そんな大林監督の有名作「時をかける少女」について少し語りたいと思います。追悼の意を込めて鑑賞しました。

作品概要

公開年:1967年
配給:東映
監督:大林宣彦
出演:原田知世、高柳良一、尾美としのり、岸部一徳、根岸季衣、高林陽一、上原謙、入江たか子、岡寛恵
ストーリー:中学3年生の芳山和子(原田)は、同級生の深町一夫(高柳)や浅倉吾朗(尾美)と一緒に理科室の掃除を行っていた時に、実験室でラベンダーの香りを嗅いで意識を失う。それ以降、和子のまわりに不思議な事件が起こる。深夜に起こった地震により、吾朗の隣の家が火事になる。そして、その翌日に吾朗と共に交通事故に巻き込まれそうになった瞬間、和子は前日の朝に時間を遡行する。和子の能力はテレポーテーションとタイムリープと呼ばれるものであったのだ。

原田知世をスターに

角川映画新人募集に応募した原田知世は本作で「セーラー服と機関銃」の薬師丸ひろ子に次ぐ大ヒットアイドルスターとなった。本作で彼女は日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。今見てもかわいらしい彼女の演技、当時もかわいいで有名で若者男性を中心に絶大に人気を誇り、「探偵物語」(根岸吉太郎監督)と二本立てであったが1983年の邦画第二位を記録。大林監督は「アイドル映画の先駆者」とも言われるくらいアイドル映画というジャンルを確立させた功労者ともいえるのだ。本作もある意味、アイドル映画の一つといってもいいのではないかなと思いました。

斬新な撮影技法

本作、冒頭の和子と深町が会うスキー場でのシーンが白黒なのに対して、徐々にカラーに移行する。途中、画面の中心のみカラーで周囲だけ白黒になったりとかなり本作で「遊び」を入れていると個人的に思いました。

また、時をさかのぼるシーンなどではスチールでコマ撮りをしてまるで昔のアニメで使用されているような技法を用いてかなり独創的なシーンに仕上がっていました。

大林監督は商業映画の監督をやる前は、CMディレクターとしていろんなCMを撮影してました。当時のCMは番組間のトイレ休憩というくらいにしか思われておらず、好き勝手いろんな撮影手法を使ってCMを作っていたという。そこで身に着けた、浮かんだアイデアを使っているのかなと思いました。

まとめ感想

時間が経つのがあっという間で、とっても面白かったです。なにより、こんなに「自由」で「遊び」のある映画があるのかと感動しました。大林監督がいかに映画が好きで、撮ることを楽しみにしていたのか、ひしひしと伝わってきました。この映画愛が2020年の今となっても続いていたんでしょうね。「海辺の映画館 キネマの玉手箱」必ず見ます。きっと同じく「映画愛」がずっしりと伝わってくるかと思います。

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