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エムグラム診断。ブランディングのためのグロースハック、1ヶ月と1日。

エムグラム診断を開発したLipという会社は、創業して2年半。日本ではじめての、科学的アプローチで日本一相性の合う人をみつけるという夢を追いかけて、特にこの半年間、必死に開発に打ち込んでいました。

その夢の実現のために最も重要なピースである「科学的なアプローチに基づく性格診断・相性診断エンジン」の開発が、最近1つの節目を迎えました。そのエンジンこそが、エムグラム診断です。

その診断精度についてはなんとも一癖ある朝倉祐介さんからもお墨付きをもらった。彼からの1年以上ぶりのメッセージがこれだったのは、正直かなり嬉しかった。

この半年間、とてもリスキーな計画で開発を進めてきて、ようやく人から信用される、科学的で正確な性格診断と認知されるまでには、本当に多くの賭けと緻密な作戦と想定外の苦労がたくさんありました。今は、背負ってきた重い荷物をようやくおろせたような気持ちです。

ブランド確立のためのバズ。バズが目的ではなく。

エムグラム診断のバズについて少し誤解があるようなのではっきり伝えておきたいことがあります。

これは、バズが目的とかユーザー獲得が目的じゃなくて、「エムグラム診断」のブランドの確立、すなわち、本当に信用してもらえる、科学的な性格診断であるということを世に認知してもらうために始まったプロジェクトです。

バズるということが「信用の証明」であり、バズらなかったら、この診断はまだまだ世間の信用は得られない。つまり、ブランドの信用証明の手段としてのバズでした。

エムグラム診断は、4月8日にリリースし、全く世間から見向きもされない状態から、あらゆる改善を繰り返し、今や毎日何十万人もが受けてくれる「科学的根拠に基づく」性格診断にまで成長し、科学的な性格診断として、1つのブランドを確立しました。

プロダクトの信頼を証明しブランド化するためにバズを利用するという事例はあまりなかったように思います。ぼくも過去にいろいろなバズを仕掛けてきましたし、事例も研究してきたけど、こういう事例は記憶にはない。

大先輩より「知見を共有しよう」と。

Lipの創業当初から、大変お世話になっているある大先輩がいるのですが、このエムグラムの流行を受けてご連絡をいただき「今回のノウハウはちゃんと業界の財産として共有したほうがいい」と。

実はぼくはもともとコンピュータサイエンスの研究者なのですが、研究者の世界でも「巨人の肩の上に立つ」という言葉があり。研究者から、スタートアップに転身してからの今まで、この業界では未だ何も「知」を貢献できてなかったのですが、やっと公開して意味のある程度の知見を得られた気がしているので、恥ずかしながら、全部隠さずお伝えしたいと思います。

対象読者は、プロダクトを作る方々、プロダクトをグロースさせる方々、プロダクトのブランド構築・PRをする方々、プロダクトのサポートに携わる方。あとは単にエムグラムのファンの方には開発秘話として。

書いてみたらかなり長くなってしまいました。1つのケーススタディだと思って読んでくれたら嬉しいです。

では、Lipという会社の想いの部分から、その想いとプロダクト、そしてブランディング、バズにつながるストーリーをお話します。

エムグラム診断・開発のきっかけ

エムグラム診断とは、一言でいうと、「マッチング」に特化した性格分析です。個人間のマッチングに特化して、企業向けの性格診断で何十年もの実績がある提携企業とLipとで共同開発しました。

Lipはマッチングサービスの会社で、創業以来大切にしているテーマがあって、それが「内面マッチング」です。見た目も確かに大事だけど、人の内面、ソフトの部分の相性が結局は長期的関係性においては大切なんだけど、どうしても、人と人が知り合う入り口は、見た目に引きずられる。

そうなんです。相手の内面なんて、好きになる前にわかるような簡単なものじゃないし、好きになったときにはもう正しく内面を評価することはできなくなっているし、別れるとすれば数ヶ月〜1年位して、恋愛感情がやっと落ち着いてきたとき。すごく面白いのが、「不細工だから別れた」って話はほとんど聞かないけど、「性格が合わなくて別れた」って話はとても多い。実際、恋人・結婚関係が終わる1番の理由が「性格の不一致」なんですよね。

別れる理由の順位。出典:しらべぇ
http://sirabee.com/2014/12/10/10291/

まぁ、これは恋愛の例ですが、ビジネスマッチングでもなんでも同じです。最初は気持ちが盛り上がって意気投合してやってみるけど、結局うまくやれずに離れてしまったなんてことが往々としてあるわけです。

だから、Lipはずっと「内面マッチング」を実現したくていろんなことを試行錯誤してきました。顔を一部隠すようなアプリはどうか、とか、ぼやかしてブラーにしたらどうか…とか。もう、正直この2年半で相当色んな方法を試した。俗に言う失敗の日々。

ぼくたちのゴールは何なのか

さすがにそれだけ失敗を重ねると、やっぱり「内面マッチング」なんて無理なのかもしれないって思いはじめました。去年の秋頃の話です。

ぼくらは何をしたいのかということを今一度整理しました。ぼくたちのゴールは何なのか。知り合うことなのかマッチングすることなのか。友だちになるのか、ビジネスパートナーになるのか、結婚することなのか。うーん全部違う。

お互いの内面を知ることが難しすぎる

これが問題だってことに気がつきました。つまり、互いの性格なんて、相当時間かからないとわからない。だったら、内面を知る部分にテクノロジーで手助けをすればいい、ということなのかもしれない。なんて答えにたどり着いて、ものすごくワクワクしました。

よくよく考えたら、企業はかなり科学的なアプローチでつくられた性格診断を社員に受けさせている。で、かなり大きなリスク要素である性格・性質的不一致を「事前に」取り除いている。

同じことだと思った。つまり、好きになる(=入社する)と、何があってもしばらくやめることが難しい(=退職は難しい)から、予めフィルタリングすればいいんだ。と。

それは実に単純明快なことなのですが、問題は、Lipではそんな性格不一致を検出できるようなテクノロジは持っていない。これが地獄の開発の始まりだったのです。。正直、手を出してはならないようなものに手を出してしまった感じでした。

まずはmitsukariの表さんに相談

ぼくの友達というと恐れ多いのですが、大先輩に表さんという素敵な人がいます。mitukariという、企業と応募者のフィットを予めわかるようにしてくれるサービスを開発していて、超頭キレッキレで、でも声のドスがめちゃめちゃ効いてて、飲み会で独り言が多いけどその独り言はぼくにしか届かない。表さんのこと、とても尊敬していて、本当に大好きな人。

この1番右が表さん、1番左はぼく。バンザイは個人投資家・千葉さん、赤スカーフはみんなの師匠、大きな口をあけているSmartHR宮田さん、スマイルカ超イケてる薬局王子の中尾さん、みんなぼくを支えてくれた大切な仲間たちです。

ぼくは統計学にはある程度馴染みがあるので、表さんのお話を伺えば、性格診断はどのように作ればいいかはわかった。が、本当にまともな診断をするためには、何より基礎となる回答データと、それだけじゃなく、分析結果と実際の行動・思考を比較し、割と何年とかけて熟成させるものだとわかった。つまり、これから全部Lipだけ作ってたらいくらお金があっても足りないということがわかったのです。

パートナー探し

そんなわけで、インターンの子たちが超頑張って、診断を一緒に作れそうなパートナーを多大な時間をかけてリサーチしてくれました。いろいろ書きたいけど、とにかくどこも高すぎて話にならない。すごくシンプルに言うと、コンシューマー向けのおもちゃのような診断か、企業が従業員向けに導入する超高いやつかしかないんです。おもちゃ診断は論外だから、とにかく、実績と知見があって、かつ共同開発できそうなところを何度も何度もアタックして、やっと話を聞いてくれるところがみつかる。やっぱり、こういうときにスタートアップのような無名の会社ってきついなぁって思いました。

ぼくが投げる無理難題を全部受け止めてくれたインターンの子たち。左から、さや、ゆうと、ひさひろ、いくみ。みんな本当にすごく優秀でガッツがあって。みんな随分育ったね。本当に。

力強いパートナー発見

五反田に会いにゆきました。五反田は滅多に行かない場所なので、何か新しくて不思議な空気がしていて、ちょっとドキドキ、ワクワクした。

出てきたM社長は、いやーなんていうかめちゃくちゃ特徴的で、すごく気さくな人でした。こちらも、なんとかどうにかならないかと思って熱心に説明しているうちに、M社長の本性がみえてきました。生粋の、統計・心理のオタクで、長いこと人材紹介業を営んできたから、人と人の相性ってのがよくわかるらしい。話を聞けば、ぼくらと全く同じことをやっていて、長期間やってみてダメになるってのをなくすために、精密な性格分析をやれないか?ってことで企業向けに性格診断を提供する事業を始めたのだとか。聞けば、1千万人以上の回答データを持っていて、それに加えてリアルな離職率・離職理由などのデータからなる圧倒的な財産をもっていました。

いろいろと話しをしていると、恋愛・出会いのための精密な診断をM社長もずっとやりたかったらしい。けど、それは個人的なオタク的興味であって、事業として展開するのは無理だったのだとか。ということなどなど、ここでは賭けない話がいっぱいあって、とにかく意気投合。MTG時間は予定時刻を大幅に過ぎて終わりました。

後日、とにかくすごいものを一緒に作ろう!ってことで合意しました。

地獄のような開発がはじまる

そうして、昨年末頃から、その、マッチングに特化した性格診断の開発がはじまります。正直、うまくいくのかどうなのかよくわからないプロジェクトなので、投資家たちにまともに説明できることじゃないから、とにかく「今はがまんしてください」って感じで開発に熱中。とにかく、信じられるのは1,000万人の性格データに基づく、統計的には正しい何らかの数値が出てくるエンジンの後ろ盾があるということのみでしたが。

ある程度作ってはテスト、作ってはテスト。最初の方のバージョンは数百問もあるから、テスト受ける方もしんどい。し、何人にもやってもらわないとまったくなおせない。これは正直しんどいテストが続きました。テストするためのお金はかかって仕方ないし、テストしても返ってくる声はふわっとしているし、正直終わりが全然見えなかったのです。

けど、これをやりきるしかなかった。

一旦出来上がったエムグラム診断

性格診断エンジンは、3月末ごろにはある程度形になってきました。人ににみせても、「当たってるかも〜」って言ってもらえるようになったし、時間が無限にあればもっともっと調整したいことはいっぱいあるけど、もうこれ以上の開発時間をかけられない。とにかく一旦世に出してみようってことになりました。

余談ですが、診断の名前を決めるのもまた大変でした。コードネームとしてmingoo(ミングー)という名前をつけていたのですが、関口に「ちょっと知性が無い感じがするし、本当にそれでいいのかなぁ?」とやんわりと手厳しいことを言ってくれた。

PR・ブランディングの天才で、Lipの共同創業者の関口舞さん。彼女のセンスにぼくはいつも助けられています。

で、色々と考えて、Matchingに特化した、診断(〜グラム)ってことで、エムグラム(m-gram)という名前に。ぼくのMatsumuraにもちなんでいるし、関口舞のMaiにもちなんでいるし、パートナーのM社長にもちなんでいる。(ちなんでいるっていう日本語は正しいのかな。)そして、関口に諮って…「いいね!」と言われてほっとした。最終的に設問数は105問に落ちついた。

エムグラムを使ったマッチングサービス

さて、ついにエムグラムの相性判断エンジンもできあがり、実際のマッチングをやれるタイミングが訪れた。準備周到にある程度のユーザー数は確保してある。ということで、ついに、相性判定ロジックが動き、ペアづくりできるはず…

かずや(エンジニア):ゆうすけさん、マッチングができません。
ぼく:それはいかなる事だ?
かずや(エンジニア):条件がきびしすぎます。

プログラムは正しく動いていたんです。そう、単純に、相性の判定要件を満たさずに、ペア候補が出力されないだけだったのです。でも、ちゃんと科学的に相性がいい人をさがしてこなきゃいけないんだから、そこの条件を緩めることはできない。

事前のシミュレーションよりも、実際の人の性格はバラバラで、バラエティに富みすぎていて、マッチングプールの母数が全然足りなかったのです。何たることや。ただでさえ、マッチングサービスのコールドスタート問題はハードルが高いのに、これでまた何倍もハードルが上がってしまった。

とにかく、何にせよユーザーを集めなくてはならないので、「精密な性格診断に基づくマッチング」という売り込みで、テストマーケを実施。。。もちろん、苦戦は承知だったけど、とてもじゃないけど反応が悪い。

ともだち1:「あぁ、占いみたいにやるの!?」ともだち2:「あぁよくあるやつね」ともだち3:「私、そういうやつ使ってるよ」ぼく:(涙)

とか。「(涙)全然うちの性格診断は全然違うんだよ。ガチなんだよ。科学だんだよ。。」と言いたかったけどぐっとこらえました。

ある記事を思い出しだんです。「Appleと他のメーカーの違い」みたいな記事で「機能の良さを売りにするのはいかにも日本のメーカー」みたいなことが書いてあり、まさにそれと同じことだと思った。

注)念の為。ぼくは日本のメーカー大好きである。小学生の時はいつも電器屋さんに通って、カタログを全部持って帰ってきて、型番からスペックまで全部覚えて、比べるのが日課。

何よりも体験で証明しなくてはならない。

とにかく自信があるのは、105問にこたえてもらえば、ある程度ちゃんとした診断ができるということ。もう少しちゃんと言うと、相当なチューニングを繰り返してきたし、いいものだと信じないと正直やってられない感じだった。確信をもつには、反応のサンプルが少なすぎてどうにもこうにも。

だから、もうここまできたら、とにかく多くの人に「この診断がちゃんとしている、ちゃんと自分のことをわかってくれる診断なんだ!」ということを体感してもらうのが何より近道だと思った。マッチングだの何だのは全て後回しにしなくてはならない。

ところが、それは決して近道とは言えない近道だったのです。。。

#エムグラム診断  ブランディングバズ・プロジェクトのスタート

というわけで、「エムグラム診断」がバズる必要が出ました。実はこれまで、いろいろとバズを作ってきたけど、ちょっと今回は意味合いが違います。ただ単に、バズるってことが大切なのではなく、きちんとした、かなり精密な診断であるという認知をされるようにしないと、バズることで逆にブランドを毀損させてしまう。エムグラム=バカ、だと思われたらもう一巻の終わりなのです。

エムグラム診断ブランディングバズ・プロジェクトの成否の判断基準は明確だった。それは、Facebook上で流行するかどうか。

みなさんのフィードを見ていただくと分かるとおり、Facebookにおもちゃのような診断の結果を貼り付ける人は今や誰も居ないのです。たまたま人のを見て、やるかもしれないけど、絶対に貼ってくれない。みんな、バカだと思われたくないからね。

だから、ぼくの知り合いの人たちに直接お願いすることなく、巡り巡ってぼくのフィードで何個か流れてくるようになれば成功。

このゴール設定は、とてもいいゴール設定だったと思う。一口にバズといっても、Twitter, Facebook, Instagramで流行するのでは全く意味が違って。今回の場合は「信用」がテーマ。とすれば、実名的、リアル自分がさらけ出されているFacebookでのバズがゴールなのである。バズを考えるときはどこをゴールにするかぜひ考えてみると良いと思う。

しかし、これがとんでもない苦労の始まりだったのです。もう、無理の7乗みたいな感じになってきて、正直、賭けのレベルになってきているのは何となくわかっていたんですが。。。

#エムグラム診断  バージョン1の大失敗

急ピッチで、エムグラム診断を、相性マッチングのサイトからスピンアウトさせ、性格診断の結果がわかりやすい表示になるように、OGP(Facebookにはりつけたときに出てくる写真)とか、文言とかとにかく超整えてリリースしたのは4月8日。でした。これが、本当に最初の最初のバージョン。

エムグラム診断の最初のバージョン

本当に、こんな画面を晒すのも恥ずかしいんですが、もう、本当に結果は散々。

まず、エムグラム診断のLP到達から、診断完了するまでのコンバージョンは30%程度(すなわち70%以上が途中で離脱)、そして結果のシェアボタンを押してくれる人は8%くらい(実際にシェアした人はほぼ皆無)。バイラルレートで言うと、言えないくらいの小さい数字。リリース翌日には、圧倒的に無理だなとすぐわかりました。

簡単に言うと、結果画面が全然つまらなかった。これでいこうと思った自分は今となっては本当に恥ずかしい。文字が多いし、文字が多いし…文字が多いし。

いかにも、研究者出身のぼくがやりがちな失敗。でも、この診断の良さ伝えるのには、きちんと言葉で説明するのが1番だと思ったのです。思っちゃったのは許してほしい。でも間違いとわかったのだから、改めればいいよね。

バージョン2, 3, 4 … 

そんなわけでとにかく毎日何時間もかけて、細かく数字を見て、いろんなこと考えて。もう、なんというか、シェアされるにはどうしたらいいのかを四六時中考え、バージョン2、バージョン3へと。

バージョン3の画面の一部。多分だれも見たことないと思う。

会う人にみせては、意見をもらって、の繰り返し。実はこれが1番の苦行。相手の顔を見たら、もう、一瞬でわかるのです。心から面白いと思っているのかどうかが。3人にみせて、1人もそれが出てこないのは、経験上全くダメ。

正直、ダメとわかっているものを人に見せ続けるのは激烈に辛いです。プロダクトやっている人なら共感してくれるんだけど、本当に生のお客様は正直。でも、それに耐えてとにかく民の声を聞き続けなくてはならない。

ということを、サンフランシスコのスタートアップスクールのTradecraftに在籍中、うまくいっているスタートアップの人たちは口を酸っぱくして言っていた。

プロダクトをもって世に出よ。

で、いろいろな人にインタビューするのだけど、ほぼ全員口をそろえて言うのが、「タイプがない」ということ。所謂、MBTIテストや、動物占い、〜タイプ診断などのように、人々は何かに分類されることをとにかく好むらしい。しかしながら、エムグラムのアルゴリズムは、そういった分類をすることを目的として作られていない。そりゃ、いろいろとこじつけたら、それらしい動物を当てはまることは可能ですよ。でも、105問に回答させられて図太いパンダとか言われたら、もう一生さよならになっちゃう。そんなのは10問で決めろって感じ。そんなのはエムグラムじゃない。

バージョン4は大成功の確信を得たが。

バージョン3までの大失敗の連続で、とにかく人はみんな、自分のことを「簡単」に知りたいんだっていうことはわりました。でも「タイプ分け」はエムグラムとはちょっと違うと思った感じで。(ちなみに、この、「感じ」を連発する人は頭の回転が早いらしいですよ。ご参考までに。)

そういうわけで、今一度、診断から得られる生データを眺めなおしました。エムグラム診断は、14要素の性格特性(活動性や、対人性向、思考の特徴など)について、陽性か、陰性かがわかります。例えば活動性が陽性ならば、行動的な人で、陰性ならば熟考的な人という感じで。さらにその度合(日本人の平均とどれだけ乖離しているか)もわかります。なぜなら、エムグラム診断のエンジンの裏には、1,000万人以上のリアルな回答データがあるからね。

で、その各種特性を、全部言葉でつなげちゃったらどうかという話になったのです。つまりぼくの場合は「とても合理的でとても革新的で理想主義で…」のように。これはシンプルで面白い!って話になりました。

なんかすごく、ぐぐぐぐっとくるものがありました。なかなか複雑で一言で説明するのが難しい「性格」というものを一文で表現できるというのはとってもシンプルで新しい!

さらに、うちの超スーパー天才エンジニアの伊林チャンさんの発案でそれを最近流行っているFacebookの背景+文字投稿のような感じにしたらどうか?と。すなわち、こんな具合に。

「これは確実にいける!!」と2人とも超有頂天。画的に美しいし、FBでなんか流行ってる感じあるし、少なくとも、いままでの100倍くらい良い感じがするし、バカっぽくないし、わかりやすい!

こちらは天才エンジニア伊林チャンさん。ディズニーが大好きで毎週末行っているらしい。ぼくと同じ高専の2学年後輩の悪友でもあります。

やはり、バージョン4も失敗。岐路に立たされた。

有頂天になっていたバージョン4も結果的にはダメでした。

なんか男2人で会議室でこんなことではしゃいだり、ダメだったり。正直バカっぽいなと思ったけど、いいんですよ。これがスタートアップなんです。

シェアボタン押下率は20%程度、今までの4倍くらいにはなっていました。画像のクリエイティブがよくなったこともあるし、あとはシェアボタンの位置、大きさ、全部最適化を繰り返してきたので。

で、このフォーマットはある程度、「自分をもっとみて、知ってほしい」というニーズには刺さるようにはなってきた感じがありました。というのは、実際のシェアがある程度なされているようでしたので。しかも20%なら、こういった診断系のシェア率としては悪くないです。

が、その先からの流入が全然足りないのです。だからシェア率は悪くないけど、バイラル率は低い。従ってバズらない。広がらない。この、超精密な超真面目な科学的診断は、きちんとしたルートでバズらない限り、ブランド構築にならず全く意味が無いのです。

もう、社内的にはかなり冷ややかな状況になりました。

全くの余談ではあるが、ぼくは、山崎豊子さんの不毛地帯が大好きである。全くもってこの状況を(作中の)近畿商事の油田開発を手がける、壹岐正と自分を重ねあわせてみていた。4つ目の井戸(4号井)まで掘って、それが当たらなくて、大門社長に5号井を掘らせてほしいと懇願するも…「もうねぇ、サルベスタンはギブアップや。」と見放されてしまうのである。

言葉としてはきこえてはこなかったけど、「もういい加減に、性格診断の信頼獲得のためのバズプロジェクトは諦めてほしい」という声は聞こえた。実際ぼくももう、ほぼほぼ諦めてて、とりあえず、性格診断の利用者を広告で獲得する方向に舵を切りはじめた。

こういう時いつも頼りになるのが、中川元太くんで、一口にマーケティングといっても色々あるんだけど、彼は、ぼくには経験のない部分について、超・面倒を見てくれている。彼もまた関口舞の大ファンで、本当に、Lipは、彼女の人脈のおかげで成り立っている。

こちらは中川元太くん。元セプテーニで、今はXavier(ザビエル)という会社をやっている。本当にいつもありがとう。

ちなみに、広がり具合については、このようなテーブルを用意して、あるシェアポストからの1次流入2次流入等々を緻密に計算して、広告で1診断ユーザーをつれてきたら、最終的に何人に広がるかを計算していた。SNSでのシェアは時系列的に見ていかないと、数字がよくわからなくなるので、以下のようなフォーマットが役立つと思います。

専門の人じゃないとよくわからないかもしれないですが、まぁ別に悪くはない広がり具合。ただ、別に診断ユーザーを獲得したいのではなく、獲得したいのは信頼のブランドなので全然だめ。

最後のチャンス、バージョン5

実は、Lipは#2015bestnine, #2016bestnineというサービスで 、世界中を大バズの渦に巻き込んだ経験がある(累計2,000万UU以上あった)。インスタグラムの1年間の写真9枚を1枚にタイル状にしてあげるだけの単純なものである。どのくらい広がったのか、わかり易い例で言うと、ドナルド・トランプ大統領(当時はまだ)やオバマ夫人にまで浸透した。

今一度、bestnineを研究し直しました。

まず、利用者を引きつけるには魅力的に思われるには、画的に美しくなくてはならない。そして、見て一瞬でわかるものでなくてはならない。

偉そうに書きましたが、ちょっと考えたらそんなこと誰でも思いつきそうなものです。

バージョン3のように長々と文字を書いても、読むのは自分だけ。今のひとたちは、誰も長い文章は読まない。だから、動物占いとか、そういうものがある程度流行る。

さらに思ったのは、自分だったらどうなるのか、他人との比較が簡単なのことも大事だなって。そう、ほら、「自分だったらどうなるんだろう感」すっごく大事なんですよ。

ということで、Illustratorの画面とにらめっこすること丸1日。今となっては見慣れた、こんな画面が出来上がった。

その時のぼくのイラレの画面はこんな感じ。素人仕事で恥ずかしいのだけど、ぼくなりに配色とか頑張ったつもりで。(だれかもっとよくしたいよ助けて…)。ほかにも、Instagramで流通されるように、画像を重ねたりとかいろいろ試した形跡があります。Facebookの投稿部分の真似をした形跡もあります。(色選ぶの大変だったなぁ)

これができあがったのが、5/2のお昼頃。

正直言って、あまり自信はなくて、これでダメだったらこの路線でのブランド獲得は諦めようって思っていました。もう限界な感じってありますよね。だから、バージョン4ときのような「いける!」的な自信もなかったし、後は天命に委ねよう。って感じでした。

5/3はGW。この頃ずっと子供と遊んであげられない、というかぼく自身遊びたかったけど遊べなくて、5/3は朝から動物園にゆくことになっていたのですが、終電をのがし結局朝帰ってしまったので動物園は延期に。

家族はかなり不満そうだった(何も言わなかったけど不満そうだった。本当にいつも申し訳ない。)けど、5/3はとにかく寝させてもらって、夜9時頃になって活動開始し、アクセス状況を見ると…なんか盛り上がってきている。リアルタイムアクセス数が二桁増。まずはTwitterから広がっているようでした。

バージョン5ではTwitter用の施策として、以下のような部分を表示するようにしていたのが良かったですね。どんな感じでシェアされるのがわかるようにしてあげると、Twitterシェアボタン押下率が数倍に伸びた。「シェアボタン押す前にどんな感じでシェアされるのかを可視化する作戦」は皆さんもやってみると良いと思います!

実は、このあたりは、2015-2016bestnineをやっていたときの知見が活きていて、というのは、Instagramでシェアを広げるのって難しくて同じような作戦を使ったことがある。事前にわかりやすくする作戦は実に使えますよ!

あとは、105問の診断の導線をかなりチューニングして、最初は離脱率70%くらいだったのを、一つ一つの要素を見直し、最終的には離脱率は30%程度まで持ち上げることに成功していたのも、拡散が広がる大きな要因。

このあたりについて、圧倒的に最高のアドバイスをくれたのが、日本が誇るグロースハッカー、チケキャンの松浦想さん。彼は昔、Zingaで働いていた時にグロースハックの鉄則として、

グロースハックは指標を2倍にできる施策だけをやること

と教わったのだとか。今回はこれを徹底的にやることによって、無駄な策を打たずに、効果的な部分にだけ集中できたのです。グロースハックというと、ついつい、細かいテストやらをやっているうちに、1ポイントの指標改善とかで満足しちゃいがちなんだけど、「指標を2倍にできる部分だけ」に絞るのは、時間が限られているチームでは絶対重要な鉄則。

5/4にサーバーが限界を超える

5/3の診断受験者数は1.6万人になり、やっと流れが向いてきました。せっかくなので晒しますが…それまでの受験者数の少なさのヤバさと、このプロジェクトチームに流れていた空気感をどうかぜひ察してほしい。。。(辛かった。)

そして、5/4にはさらに一桁多くの受験者となりましたが、今度はサーバーの限界に。いや5/3の段階でもメールシステムがやばくなってしまったり、いろいろあったけど、5/4はアクセス数が多くなりすぎて、チャンさんが必死だった。同じくLipの超凄腕エンジニアのかずやも必死。エンジニア見習い中のたなみんな全員必死。

でも、Twitterの東京トレンドと、日本トレンドの両方で1位を独占し、かなり緊張感のある状況が続き疲れたけども、みんな心は躍っていました。

そしてこの5/4日は、なんとか乗り切った。この頃、ちゃんと受験できなかった方々には本当に申し訳なく思っています。ごめんなさい。せっかく105問回答したのにダメだったとか、本当に許されないことだなって思う。ぼくがユーザーだったら本当に許せない気持ちになると思う。本当にごめんなさい。

「1万1千リツイート」の大炎上。利用規約の表示に問題があり、エムグラムの信用を失墜させかけた。

5/5には別の問題が起こりました。Twitterで以下のようなことが話題になり始めていたのです。

エムグラム診断をやると、マッチングサービスに自動的に登録されるという、利用規約になっていることが発覚。みんなやめておこう。

というような。これは全くの事実誤認ではあるのですが、その原因を引き起こしたのは「利用規約の表示方法」だった。完全に当社の手落ち。エムグラム診断の画面で利用規約表示をすると、マッチングサービスの方の利用規約が先に表示されるようになっていて、ユーザーに誤解・心配を与えてしまうような表示となっていた。

ご指摘をくれたのは、「母・みちよとのメールが面白すぎる件」で有名なうっちーさんで、すぐに社内で対応に当たった。そしてすぐに、うっちーさんにもご連絡した。

うっちーさんは、このあとすぐに、この事実誤認が広がらないよう対応してくれて、炎上していた1.1万リツイートの元ツイートを削除してくれて。なんとかエムグラム診断の信用失墜の危機を乗り越えました。

しかし、これは本当にぼくの手落ちで、日頃からリーガルはちゃんとしなきゃいけないと言っているし心がけているつもりが、完全にこれはアウト案件。たまたま、うっちーさんがすぐに当社をフォローするように助けてくれたのでよかったが、普通ならこれでこの会社死ぬところだった。うっちーさん、本当にありがとうございました。(その他のご指摘を頂いた皆様にも、心よりお礼申し上げます。)

学び。顔が見える対応はカスタマーを安心させる。

ぼくはTwitterに慣れていないので、Twitterでのこういった騒動には正直頭を抱えました。どうしていいかわからなかった。が、関口に過去に、口を酸っぱくして言われていたことがあって。

とにかくトラブルがあったら、事実誤認で何であれ、それを引き起こした原因は自分の側にあると思ってきちんと対応しないとだめ。しかも、ちゃんと然るべき人が対応しなきゃだめ。トラブルの状況下で自分の正当性を主張するのはソーシャル的に完全にアウト。

と。

ネットの世界って、お互いに「人」が見えない中で、いろんな情報をやり取りしているから、何かちょっとでも不安要素が出てくるととてつもなく怖くなる。ぼくも何度も経験した。え、あのサービス、ヤバイサービスだったの?って。

今回の学びは、そういうネットの社会だからこそ、きちんと顔を出して、誠実に対応することが、とても利用者を安心させるのだということでした。そして、顔を出してちゃんと説明をしたら、とたんにすごく暖かいツイートをもらうようになったりして。インターネットの世界って本当に面白い。

だから、サービス運営者の方々、特にまだブランドやその信用が確立されていないサービスの場合は特に、きちんと顔を出してゆくのも一策かもしれないということは伝えたいと思います。そういえば、サンフランシスコにいた頃、スタートアップやってる友達はみんな積極的にサービスの顔になっていた。

そして5月9日。遂にFacebookで投稿を見かける!

その後数日、一旦Twitterでの流行は続いていただのですが、ぼくのFacebookのフィードには誰の診断結果もながれてこなくて。だから、実はこのプロジェクトはプチ成功程度で終わったんだなって思っていました。

やっぱり、実名でちゃんと表示したいくらいのものではなかったのかな、とか。あの9枚の画面がファンシー過ぎたかな、とか。もうちょっと新しいバージョンにしようかなとかも考えたけど、そんなことしている暇があったら他のことやらなきゃいけない状態だったし。

と、思っていた矢先の5月9日。遂にぼくのFacebookのウォールに流れてきたのです!それは、同郷(北海道旭川市)の後輩である梅木さんの投稿でした。

このとおり、1人の投稿のコメント欄の中で、結果を見せ合ったり、比較していたりして。思った通りのコミュニケーションがうまれている!!しかも実名のFacebookで。。。ぼくはこの画面が見たかった。この1ヶ月間、これをみるのがゴールに頑張ってきたんだ!!!

1ヶ月と1日でプロジェクトは一旦成功。

先の表を見返すと、「#エムグラム診断のブランドを確立するプロジェクト」は発足から、当初設定のゴールを達成するまで1ヶ月と1日でした。普通の会社のプロジェクトとしては短い期間かもしれないけど、普通の会社と違うのは、スタートアップで1ヶ月を失うことは通常許されないくらいヤバイということ。その1ヶ月間の人件費、その1ヶ月を収益事業に注力していないことによる収益減のダブルパンチ。その後の経営の選択肢は圧倒的に狭まるのです。

だから、まさに天国か地獄。ぼくにとっては、まるで石油開発のようなものでした。

今やリアルタイムアクセス数が2万人を超えそうな状態に。

まず、エムグラム診断自体の開発で4ヶ月。そして、最後のブランド確立プロジェクトで1ヶ月。合計5ヶ月、約半年間本当にみんなよく頑張ってくれました。

起業家の先輩の方々からも本当にありがたいメッセージをたくさんいただき…

Zawatt→メルカリ(ソウゾウ)の原田さん。4月、忙しい中浦安の大江戸温泉に一緒に行ってくれてとてつもなく強い励ましをいただいた。原田さん、本当にありがとう。

プロダクトは起業家にとって、我が子同然。だから、それを褒めてもらえることほど嬉しいことはないのです。そして、今回は特にその感動もひとしおであり、「科学的相性診断」の要である性格診断部分をきちんと信用してもらえたっていうのは、本当にこれ以上の喜びはない。


ここからが本当のチャレンジ。やっと、日本ではじめての科学的な相性マッチングがはじまる。多くのユーザーがマッチングを心待ちにしてくれています。

エムグラム診断は、毎日数十万人が受験するとてつもない性格診断になってしまいました。一方で、偽物スパムが出現したりして、毎日が戦争です。

しかし、その程度のことは、誰でもマニュアル通りに対処すれば大丈夫。ぼくらの本当のチャレンジは、学問的に「相性」に向き合うことです。

そういう観点で見ると、この、日本ではじめての科学的な根拠に基づく相性マッチングが始まる瞬間というのが如何に特別な瞬間か、伝わるのではないでしょうか。

そうです。研究は、実際のデータを使うことで、何百倍も面白い研究ができるんです。机上の空論で、シミュレーションするだけよりも、本当にひとつでも多くのデータ、実際のデータが集まることで、「知」を創造できるのです。

私たちは、(1)エムグラム診断、(2)m-gram相性マッチング、を多くのお客様にご利用いただくことを通して構築される科学的知見を活用し、日本の未来づくりに貢献したいと思います。どうか一緒に、あの悲しい「性格の不一致」をなくしましょう。別れることを減らしましょう。離職を減らしましょう。チーム分裂を減らしましょう。離婚を減らしましょう。ドキドキ、ワクワクする体験を増やしましょう。すべて、一つ一つきちんとデータに真摯に向きあえば、必ず出来ると、ぼくは信じています。

そして、Lipは人が足りていません。「相性を科学したい」方、ぼくと会ってください。

最後に、この記事に便乗で情けないのですが、ぼくのチームはいま本当に危機的に人が足りていません。

常勤メンバーは、ぼくと、3人のエンジニアの4名しかいません。ということは…全てのポジションが空いているってことなんです。エムグラム使って面白いことしたい方、本当に誰でもウェルカムな状態なんです。

いまはこの半分しかいません!

ぼくらの強みは「本気で相性を科学する」というビジョンをもっていること。この会社で、相性を見極めるテクノロジがこれからどんどん進化したら、いままでは現実ではなく夢の類だった「運命の出会い」を本当に、科学的に、そして低価格でだれもが享受できる世の中をつくれると思っています。

ちょっとでも興味あったら気軽にこのフォームからご連絡いただけると嬉しいです!なんならミートアップとかも開催しますので!いまたくさんの方からご連絡いただいているので、ちょっと返信遅くなりますが、必ずご連絡します!

相性を科学したい人はこちらからご連絡ください!



謝辞

この半年間の苦闘を支えてくれたのは上記の方々だけではありません。ここでは書ききれないのですが、それでも、特にお世話になった人たちに御礼を申し上げます。

FiNCの溝口さん。いまのLipは溝口さんなしにはありません。本当に最高のLip応援団をつくりあげてくれたのは彼に他なりません。そして、いつも厳しく優しく声をかけてくれて経営の目線を高くしてくれる。ここまでがんばれたのは、本当に彼のおかげなのです。いつも頼りっぱなしで本当に申し訳ないくらい。

デザイナーの内山さんと、フロントエンド開発の丸茂さん。内山さんは、松浦さんの紹介でデザイン面を手伝ってくれている。そして丸茂さんも同じく松浦さんの紹介で、フロントエンド実装を手伝ってくれている。あの105問の回答をサクサク回答できるようにデザイン・実装してくれたのはこの2人なのです。本当にありがとう。これからもどうか助けてください。

博報堂DAC・茂木さん。茂木さんはユーザーテスト・ユーザーリサーチのための人集めをしてくれたり、エムグラムの開発を超絶助けてくれました。実際、そういう人集めって本当に大変で、めんどくさいし、なかなか報われないのだけど、そういうことをきっちりちゃんとやってくれるのは、本当にうれしかったです。ありがとうございました。

iSGSの五嶋さん。五嶋さんはLipが「内面マッチング」に執着して頑張っていることを本当にいつも暖かい言葉で応援してくれて、何度失敗しても、何かにつけてお誘いいただき、声をかけてくれていました。ぼくは、人から可愛がれるのが上手じゃないので、全くと言っていいほど人から誘われることはないのだけど、五嶋さんだけはなぜかお誘いをくれて、いろんな悩みを打ち明けています。

CAVの波多江さん。波多江さんはうちの会社の担当キャピタリスト。もうかれこれ2年半お世話になっていて。実は、波多江さんはある頃からLipの事業に全く何も口を出さなくなった。お立場を考えたら、何かいろいろと言わなきゃいけないプレッシャーをかけられているとは思うんだけど、あるタイミングから、すごくどっしりと見守ってくれるようになった。何か言われるのが嫌とかそんなつまらない話じゃない。信じてくれているって心から感じられるようになった。もちろん会ったときには素晴らしいアドバイスをたくさんくれるし、色々指摘もしてくれる。でも信頼されていると感じる上での言葉は、全く感じるものが違うのだ。ぼくは、この2年半で波多江さんとそのような関係を構築できて本当にうれしい。

Femtoの磯崎さん。磯崎さんどんなことを話しても、何を相談しても、本当に偏りなく、120%率直な意見をくれる。そして、ぼくがどんなにバカなことを言っても、まったく後腐れなく、ちゃんときいてくれる。だから、ついつい甘えてつまらない相談を磯崎さんにはしてしまうのだが、まったくもっていつも同じく接してくれる。これぞ、大人というような本当に信頼できる人なのです。エムグラム開発中にもいろいろとぶれたことを言ってしまったのだが、それをピシャリ!と正してくれたのは磯崎さんでした。ちゃんと相談してよかった。。。

インキュベイトファンド和田さん。ずっと信じて応援してくれて有難うございます。たぶん、1番、心から信じてくれているような気がしています。(これだけで和田さんには伝わると信じる。)

プライマルキャピタル佐々木さん。お年始の会、お誘いいただいたのに2年もいけず、本当にごめんなさい。本当にこんな状況だったのですが、ぼくからすると滅多にない誘いの機会を断ってしまったことは、とても申し訳なかったです。来年こそはちゃんといけるようにがんばります。

D4Vの井上さん。何かとデリケートなことや他の誰にも言えないような相談事についても、本当に全部そのまま受け入いれて聞いてくれて。どれだけ気持ちを支えられたことか。関口もぼくも本当に井上さんの大ファンです。心の支えです。どうか今後とも見守っていただけたら嬉しいです。

あとは、当社の個人株主のみなさま。ずっっっっっと見守り続けてくれて、有難うございます。日頃の不調法、心よりお詫び申し上げます。

そして、千葉功太郎さん。ぼくは30過ぎてスタートアップの世界にきているので、この世界でまともに友達がいなかったのですが、千葉道場のおかげで、たくさんの仲間ができて、本当にみんな助けてくれて。千葉さんがいなければ、絶対にここまで粘れませんでした。なかなか皆さんに恩返しできるようになるまで時間かかりそうですが、がんばります。そして、本日は千葉さんの誕生日!おめでとうございます。

最後に、Lipのファミリーのみんな。まずは、Lipを卒業した、こうへい、さとみ、いくみ、さや。エムグラム診断の開発を支えてくれてありがとう。在職中に完成させられなくてごめん。でもみんなの頑張りはぼくが絶対にこの先いかして、ちゃんと世の中のために役立てるね。本当に素晴らしい仕事、貢献をありがとう。あとは、いまもLipを支えている、チャンさん、かずや、たなけん、ゆうと、ひさひろ、よんよん。これからも一緒に夢を追いかけ続けてくれたらうれしいです。あと、舞。2年半もの間Lipを二人三脚で支えてくれてありがとう。長い苦闘だったね、本当に。。。そのうち、一旦の祝宴をしよう!

あとはLipファミリーの家族の皆さんにも感謝を申し上げます。

最後の最後に、ぼくのファミリー。家に居ても、全く話を聞いておらず申し訳なかったです。この半年の激烈な開発を乗り越えられたのは、まさに2人のおかげです。これからもしばらく大変なんだけど、遠くない未来になんとかするつもりです。あと、昨日、人間ドックにだけは行ってきたので許してほしいです。


むすび

とにかくまだまだ、エムグラムはスタート地点。どうか今後も優しく見守ってください。そして、この記事が少しでもプロダクト開発をする方々にとっての、1つの知見となれば幸せです。


株式会社LIP
代表取締役社長兼CEO
博士(情報科学)
相性科学者 松村ゆうすけ

Facebook(Yusuke Matsumura) / Twitter(@spyuchan)

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